海外ETFのメリット・デメリットと口座開設から購入までの流れ

最近は日銀の買い入れなどでETFは、ニュースでもよく耳にするようになりました。

しかし日本国内のETFは、流動性のあるものがほとんど、日経平均やTOPIXといった日本株指数連動するタイプに限られているのが実情です。

ETFの本場アメリカをはじめとする海外ETFは、流動性の高さや投資対象の充実度など、国内ETFにまだまだ足りない魅力を備えた商品が多く存在します。

それならば海外ETFに投資しない手はありません。

この記事では、これから海外ETFにチャレンジする前に、まず知っておくべきことを解説していきます。

はじめての海外ETF投資が、成功するようお手伝いできれば幸いです。

1、海外ETFとは?

(1)ETFとは

海外ETFについてみていく前に、まずはETFとはどんなものかを確認しておきましょう。

ETFには国内ETFと海外ETFがありますが、仕組み自体は同じです。

ETF(Exchange Traded Fund)とは、証券取引所(Exchange)で取引される(Traded)投資信託(Fund)のことです。

投資信託の一種であり、証券取引所に上場しており株式と同じように売買できるため、「上場投資信託」とも呼ばれます。

投資信託には、様々な資産に少額から投資できるとメリットがありますが、ETFには「低コスト」で株式市場の取引時間中は「リアルタイム」で売買できるとメリットが加わります。

ETFの運用スタイルはインデックスファンドと同じであり、TOPIXやS&P500といった指数(インデックス)に連動するようにポートフォリオが構成されます。

またTOPIXやS&P500のような株価指数のほか、債券や不動産(REIT)、コモディティ(金・原油など)といった様々な指数に連動したETFがあります。

また株価の中でも特定のセクター(消費財・金融など)の指数に連動するETFなどもあります。

  • 様々な資産に少額から低コストで投資できる指数連動型の投資信託
  • 株式市場に上場しており取引時間中はリアルタイムで売買できる

(2)海外ETF

このETFは「国内ETF」と「海外ETF」に分けることができますが、これはETFが上場している市場が国内(東証)か、海外(米国NASDAQなど)かという違いによります。

つまり国内市場以外の市場に上場しているETFは、すべて海外ETFです。

そのETFがなにを投資対象(インデックス)としているかは関係なく、海外資産へ投資する国内ETFもあれば、国内資産へ投資する海外ETFもあります。

海外ETF = 海外の市場に上場しているETF

(投資対象が国内か海外かは関係ない)

2、国内ETFと海外ETFの比較

では、国内ETFと海外ETFにはどのような違いがあるのか、世界のETF残高の7割を占めている米国ETFと比較してみます。

国内ETF米国ETF
市場規模約36兆円
(東証・2018年末時点)
約380兆円(約3.6兆ドル)
(ICI・2018年1月時点)
銘柄数228銘柄
(東証・2019年2月12日時点)
1982銘柄
(ICI・2018年11月時点)
投資対象日本株指数連動型
残高全体の約95%
(東証・2018年1月時点)
米国株指数連動型
残高全体の約58%
(ICI・2018年1月時点)
取引(決済)通貨日本円米ドル
取引単位1口単位1口単位
売買手数料
(1注文あたり・税抜)
国内現物株式と同じ約定代金の0.45%(*3)
(最低5ドル・上限20ドル)
為替手数料
(片道1ドルあたり)
0.25円(*3)
上場市場東京証券取引所NYSE
NYSE Arca
NASDAQ
取引時間9:00~11:30 12:30~15:0023:30~6:00(日本時間)

国内ETFは急速に規模を拡大してはいるものの、米国ETFと比べると市場規模や銘柄数にはまだまだ大きな開きがあります。

日本株指数連動型ETFに投資するのであれば国内ETFが優れていますが、海外ETFには投資対象の充実度や流動性の高さなど、国内ETFにはない魅力があると言えます。

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3、海外ETFのメリット・デメリット

(1)海外ETFのメリット

①様々な投資対象に投資できる

国内ETFにも様々な指数に連動したETFはあるものの、活発に取引されているのはTOPIXや日経平均株価といった日本株指数連動型です。

国内ETF残高のほとんどは日本株指数連動型ETFが占めており、国内ETF=日本株指数連動型ETFという状況です。

米国ETF(海外ETF)では米国株指数連動型の割合が最も多いというのは同じですが、グローバル株式や債券、コモディティなどを対象とした商品が充実しているのが魅力です。

②運用コスト(信託報酬)が割安

指数に連動する投資信託にはインデックスファンドもあり、投資信託の中では運用コスト(信託報酬)が割安な部類に入る商品です。

市場で直接取引するETFには、販売会社(証券会社)への販売手数料が発生しないことから、同じ指数に連動するインデックスファンドよりも、一般的に運用コストが安くなるメリットがあります。

管理報酬・信託報酬(年間)
海外ETFバンガード S&P 500 ETF (VOO)0.04%
インデックスファンドiFree S&P500インデックス
(大和投信)
0.243%

③日本時間の夜間(米国ETFの場合)にリアルタイムで取引できる

海外ETFは、そのETFが上場する現地の株式市場の取引時間中であればリアルタイムで取引することができます。

米国ETFであれば日本時間の23:30~6:00が取引時間となるため、日中仕事で取引できないと方でも、リアルタイムで取引しやすいというメリットがあります。

ただ深夜となるため、デメリットと感じる方も多いかもしれません。

(2)海外ETFのデメリット

①国内ETFよりも売買手数料が割高

海外ETFの売買手数料は、売買手数料無料(ノーロード)のインデックスファンドや国内ETFと比べ割高となります。

また売買手数料には最低額が設定されていることが多く、少額の取引では売買手数料が相対的に割高になる傾向があります。

一方で保有期間中の運用コストは格安であるため、頻繁に売買せず長期保有に向いた商品だと言えます。

②為替手数料・為替変動リスク

海外ETFの取引通貨は外貨(主に米ドル)となるため、為替手数料が発生します。

また為替レートは変動するため、円換算するときに為替差益あるいは、為替差損が生じるリスクがあります。

③金額指定の売買が難しい

海外ETFは原則口数単位での売買となるため、投資信託では一般的な毎月1万円ずつといった金額を指定しての定額積立が難しいという問題があります。

またETFの分配金(配当金)は決算時に投資家に支払われることになっており、分配金を自動的に再投資する仕組みがありません。

そのため分配金を再投資するのであれば、支払われた分配金で新たにETFを購入する必要があります。

この場合売買手数料が再度かかりますし、金額指定で購入できない海外ETFでは分配金の額にうまく合わせて購入できないといったデメリットが生じます。

少額の定額積立であれば、インデックスファンドの方が適していると言えます。

4、海外ETFの購入方法から口座開設の流れ

海外ETFを取扱う証券会社はいくつかありますが、海外ETFを購入するのであれば売買手数料の安いネット証券がおすすめです。

海外ETFを取扱うネット証券は、SBI証券・楽天証券・マネックス証券そしてサクソバンク証券が新たに加わりました。

売買コスト安と銘柄数ではサクソバンク証券が1番、為替コストが安いのはSBI証券になります。

(1)海外ETFを取扱うネット証券会社比較

SBI証券楽天証券マネックス証券サクソバンク証券
取扱
銘柄数
海外ETF300銘柄346銘柄272銘柄 

約1500銘柄

ADRETF130銘柄105銘柄73銘柄 

約4500銘柄

米国ETF売買手数料
(税込)
約定代金の0.486%約定代金の0.486%約定代金の0.486%約定代金の0.2%
(最低)
5.4ドル
(上限)
20.6ドル
(最低)
5.4ドル
(上限)
20.6ドル
(最低)
5.4ドル
(上限)
20.6ドル
(最低手数料5ドル、上限は15ドル)
NISA口座
【買付】手数料優遇
無料実質無料実質無料
為替手数料
(1米ドルあたり・片道)
0.25円0.25円0.25円0.50円
0.04円0.25円
取引単位1口1口1口1口

(2019年1月時点)

(*)住信SBIネット銀行で米ドルを買い付け、外貨入出金サービスを利用した場合。

SBI証券・楽天証券・マネックス証券の3社では、海外ETFの取扱銘柄や手数料については大きな違いはなく、この中ですでに口座を保有している証券会社があれば、その証券会社を利用すれば良いでしょう。

もしこれから口座を開設する、あるいは少しでもコストを下げたい場合には、SBI証券と住信SBIネット銀行に口座を開設し、外貨入出金サービスを利用することで為替コストを抑えることができます。

ここからは、外貨入出金サービスを利用してSBI証券で海外ETFを実際に購入する方法についてご紹介します。

(2)海外ETFを購入する方法

ここからご紹介する方法は、住信SBIネット銀行で外貨を買い付け、SBI証券で海外ETFを購入する場合の方法です。

その他の証券会社を利用する場合には、その証券会社で直接外貨を買い付け後、STEP3からのスタートとなります。

①STEP1米ドル(その他取引通貨)を買い付ける【住信SBIネット銀行】

これで外貨(米ドル)の買い付けが完了です。

このあとはSBI証券へ外貨(米ドル)を移していきます。

②STEP2外貨入出金サービスを利用して、外貨を証券口座へ入金【SBI証券】






これで、海外ETFを購入するための外貨(米ドル)が準備できました。

続いて海外ETFを購入する手続きに入ります。

③STEP3海外ETFを購入

海外ETFは「外国株式」に該当します。そのため、海外ETFを購入するためには、まず「外国株式口座」を開設しておく必要があります。

外国株式口座を開設することで外国株式のタブから、【外貨建商品取引サイト】を開くことができるようになります。

④外貨建商品取引サイト

内容確認後、注文を確定させれば注文完了です。

取引時間中の成行注文であれば、通常すぐに購入が完了します。

5、海外ETFのオススメ銘柄

海外ETFをポートフォリオに取り入れる上で押さえておきたい、おすすめ銘柄をご紹介します。

(1)バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)世界の株式時価総額の98%以上をカバーするグローバルETF

バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)は、米国をはじめとする全世界の先進国株式、新興国株式を投資対象とする海外ETFです。

世界約47ヵ国・約8,000銘柄で構成される「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」に連動するよう運用が行われます。

この指数は世界の取引可能な株式の時価総額の98%以上をカバーしており、 世界的な企業から通常投資が難しい国の株式まで、幅広く投資することができます。

特定の国や銘柄にこだわらず、1銘柄だけで全世界の上場株式へ分散投資できるという、ETFの醍醐味を存分に感じられる銘柄です。

バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)
上場市場NYSEArca
通貨米ドル
資産クラス
投資地域
株式/グローバル
連動指数FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス
基準価格
(米ドル)
純資産額
(百万米ドル)
直近分配金
(米ドル)
経費率
72.72
(2019/3/23)
12,708
(2019/3/23)
0.281
(2019/3/23)
0.09%

(2)バンガード・S&P500 ETF(VOO)世界経済をリードする米国の代表銘柄に投資するETF

バンガード・S&P500 ETF(VOO)は、米国の主要業種を代表する大型株500銘柄で構成され、米国株式市場の主要指数である「S&P500」に連動するよう運用が行われるETFです。

バブル崩壊からなかなか立ち直ることのできない日本株式市場に比べ、米国株式市場は様々な金融危機などを経ながらも着実に成長している、魅力の大きな市場です。

いきなり個別銘柄に投資するのはハードルが高い、あるいは幅広く米国株に投資したいという方には、このETFがおすすめです。経費率(信託報酬)も0.04%と格安です。

バンガード・S&P500 ETF(VOO)
上場市場NYSEArca
通貨米ドル
資産クラス
投資地域
株式/アメリカ
連動指数S&P500
基準価格
(米ドル)
純資産額
(百万米ドル)
直近分配金
(米ドル)
経費率
256.41
(2019/3/23)
106,395
(2018/3/23)
1.45510
(2018/3/23)
0.03%

6、海外ETFをスクリーニング機能で比較

海外ETFには多くの銘柄があるため、投資対象や投資地域、業種(セクター)などから投資する銘柄を絞りこむ必要があります。

その際には、投資対象や投資地域、業種(セクター)のほか、運用成果(リターン)や経費率などの条件から銘柄を絞りこむことのできるスクリーニング機能が便利なので、積極的に活用するのがおすすめです。

その範囲は全世界の株式からアメリカの〇〇セクター株といった特定の業種、債券、不動産、コモディティなど多岐にわたり、投資スタイルにあわせて自由に選ぶことができます。

ポートフォリオを充実させる方法として、海外ETFを取り入れてみてはいかがでしょうか。

モーニングスター

まとめ

いかがでしたでしょうか。

海外ETFは、株を買うのと同じ感覚で世界中のさまざまな投資対象へ、低コストで分散投資できる商品です。

そんなグローバルな投資ができるのも海外ETFの醍醐味です。

ぜひ、この機会にチャレンジされてはいかがでしょうか。