ETFの積立投資の始め方は?投資信託との違い・おすすめ銘柄2選

  • 2020年8月16日
  • 2021年10月15日
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日本だと、投資はまだまだハードルが高いものと認識される傾向があります。お金持ちが何百万円ものお金を運用しているイメージを抱いている方も多いでしょう。

しかし、実は投資とは貯金感覚でコツコツと始められるものでもあるのです。毎月1,000円など、少額でも長く続けていけば投資の利益も大きくなります。

20年、30年と続ければ大きな資産になっているかもしれません。

 

毎月1,000円くらい積立投資するなら、ETFという商品がおすすめです。アルファベット3文字で難しそうに感じられるかもしれませんが、実は投資の初心者にもぴったりな商品なのです。

この記事では、ETFの積立投資について解説していきます。ETFとは何か、積立投資をするメリットは何か、ETFを積立投資するためにはどうすれば良いのかなどを余すところなく解説していきます。

積立投資におすすめのETFも紹介するので、この記事を読み終わる頃にはETFの積立投資ができるようになっているはずです。

ETFとは

ETFとは

ETFとは、大勢の投資家の資金を投資会社が預かり、代わりに運用してくれる商品です。プロに運用を任せられる商品なので、初心者でも投資を始めやすい長所があります。

ETFは、東京証券取引所などの取引所を通じて売買することができます。つまり、ETFを買うことで、投資会社にお金を預けて運用を任せます。

ETFを売却することで、解約と同じように現金として引き出すことができます。

 

ETFは「Exchange Traded Fund」の略で、「上場投資信託」と訳されます。上場しているので、証券取引所で売買できるのです。

株式と同じように、平日の日中は価格が変動していますが、その間に自分が好きな価格で売買注文を出します。

 

ちなみに、「投資信託」という商品もあるのですが、違いが分かりにくく紛らわしいですよね。ETFと投資信託の違いについても解説しましょう。

投資信託との違い

投資信託も、大勢の投資家の資金を投資会社が預かって運用してくれる商品です。この特徴はETFと同じです。

しかし、投資信託は証券取引所に上場していません。価格が1日に1回決まるので、その値段での売買となります。

時々刻々と価格が変化することがないので、売買タイミングを読むなどの難しさがない反面、自分が狙った価格で売買するチャンスも少なくなります。

 

投資信託もプロに運用を任せられる商品なので、初心者に人気があります。ETFと投資信託の違いを学び、どちらに投資しようか考えたい方は、違いについて解説されているこちらの記事を確認してみてください。

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ETFに向いている人の特徴

ETFに向いている人の特徴

ETFはアルファベットで字面から内容を想像しにくいためか、あまり有名ではありません。そのため、初心者の方は「ETFって難しそう……」と遠ざけ、株式や投資信託など日本語で親しみがある商品から始める方が多いです。

しかし、ETFは初心者でも取り組みやすい商品です。そこで、この項目ではETFに向いている人の特徴を解説していきます。一つでも当てはまった方は、ETFにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

向いている人1:投資信託より手数料が低い商品を探している

プロに運用を任せられるETFと投資信託は、いずれも手数料がかかる商品です。手数料を比較すると、投資信託よりもETFの方が安い傾向があるので、ETFの方が手数料を節約できてお得です。

つまり、利益が出やすいメリットがあります。そのため、ETFは手数料が低い商品を探している人におすすめです。

 

ETFや投資信託の手数料で最も気にしなければならないのが、「信託報酬」です。

信託報酬とは、商品を保有している間はずっと投資家が支払い続けなければならないコストです。運用や資産の管理を任せるための手数料というイメージです。

 

信託報酬は、投資信託だと年率0.1パーセントから2パーセント程度である一方、ETFだと年率0.06パーセントから0.2パーセント程度です。商品によってばらつきがありますが、全体的には投資信託よりETFの方が、信託報酬が安い傾向があります。

手数料が低いので、投資信託よりもETFの方が利益を出しやすいです。そのため、手数料が低い商品を探しているなら、ETFがおすすめです。

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向いている人2:忙しくて株の分析ができない

忙しくて投資に割く時間がない人にも、ETFはおすすめです。

投資というと「株式投資」をイメージする方が多いですが、株式は銘柄を分析して将来有望な株式を見つけなければなりません。財務諸表やIR情報を読み解く知識が必要なのはもちろん、情報を調べる時間も必要なので、仕事が忙しいサラリーマンなどには難しい投資商品と言えるでしょう。

 

一方、ETFなら運用をプロに任せられます。そのため、忙しくて投資の情報収集などができない人にも向いている商品です。

向いている人3:毎月1,000円以上を投資できる

毎月コツコツ積立投資をする場合、毎月1,000円以上を投資できるならETFがおすすめです。ETFは1口何円という単位で、1口1,000円以上だからです。

毎月1,000円以上を積立投資するなら、手数料が安くプロに任せられるETFを活用しましょう。

 

ただし、毎月100円など1,000円に満たない金額で投資をしたいなら、投資信託の方がおすすめです。インターネット証券会社なら100円から積立投資できる会社があるので、ぜひ活用していきましょう。

ちなみに、株式は100株単位で購入するので、最低でも1万円以上、できれば10万円から20万円は予算が必要です。毎月10万円から20万円を投資するなら株式も選択肢に入ってきますが、金額面のハードルは高いと言えるでしょう。

ETFのメリット・デメリット

ETFのメリット・デメリット

ETFが向いている人の特徴がわかったら、いよいよ本格的にETFへの投資を考えていきましょう。ETFがどんな商品なのか理解するために、代表的なメリットとデメリットを一つずつ解説していきます。

ETFのメリット:業績に振り回されにくい

まずはETFのメリットです。ETFには、株式と違って個別の企業の業績に振り回されにくいメリットがあります。

例えば、日経平均株価やTOPIXといった経済全体を表す株価指数と連動する設計となっているため、経済全体に投資できる仕組みになっているからです。

個別の企業株式への投資だと、その会社の倒産リスクなどから逃れられません。しかし、ETFは経済全体に投資しているため、少数の企業の業績が悪化しても大損にはつながりにくいのです。

ETFのデメリット:銘柄数が少ない

ETFのデメリットとしては、銘柄数が少ないことが挙げられます。

2020年6月現在、日経平均株価などに連動する国内のETFは184本、海外でも運用されていて国内の証券取引所にも上場しているETFは37本です。合計221本しか種類がありません。

 

一方、株式の場合、東証一部に上場している銘柄だけで2,000を超えています。投資信託は6,000本を超えるほどの数があり、ETFよりも1桁多い種類があるのです。

そのため、ETFは株式や投資信託に比べると種類が少ないので、選択肢が少ないデメリットがあります。「このETFに投資したい」と思っても1口の価格が高すぎて投資できなかったり、投資できるETFの中に魅力的なものがなかったりする可能性があります。

逆に、種類が少ないから選びやすいと感じる方もいるかもしれません。考え方によってはメリットになる特徴です。

 

代表的なメリットとデメリットを解説しましたが、他にもメリットやデメリットはあります。もっと深く掘り下げてETFについて学びたい方は、こちらの記事もご覧ください。手数料が安いメリットや、爆発的な値上がりは期待できないデメリットなど、ETFの基礎知識をまとめて解説しています。

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積立投資のメリット:購入タイミングを分散できる

積立投資のメリット:購入タイミングを分散できる

貯金の場合、「毎月1万円は貯金する」など月々の目標がありますよね。投資も同じように、「毎月○○円は投資する」といった月々の目標を決めると取り組みやすいです。

給料日に目標額を投資すれば良いのですから、継続もしやすいでしょう。ETFも1口1,000円台で買える商品なら、積立投資しやすいです。

 

さらに、積立投資は取り組みやすいだけでなく、「時間の分散ができる」というメリットがあります。

投資において最も避けなければならないのが、「最高値で投資商品を買ってしまい、その後はずっと価格が下がっていったため、損をしてしまう」というリスクです。投資なので得をすることもあれば損をすることもありますが、「最高値で買うこと」を避けるだけで、失敗しにくくなります。

 

最高値で買わないようにするためには、投資するタイミングをずらすことです。投資商品の価格が上下に激しく動いている場合、毎月25日など決まった間隔で購入することで、高値で買ったり安値で買ったりできます。少しずつ積立投資をすれば高値で買うことも安値で買うこともあるものの、「高値で大量に買ってしまった」という事態を避けることができ、投資が成功に近づきます。

 

このように一定の期間を置いて決まった金額で買い付けしていくことを、ドルコスト平均法と言います。ETFは1口の価格が変動するため、毎回全く同じ金額で買い付けられるとは限りませんが、口数を決めて買い付けをすればドルコスト平均法と似たような効果が得られるでしょう。

ETFへの投資においても、購入タイミングを分散させる積立投資がおすすめです。

ETFを積立投資する方法

ETFを積立投資する方法

毎月1,000円以上を積立投資したいなら、投資信託よりも手数料が安いETFに投資するのがおすすめなのは、すでに解説したとおりです。ETFを積立投資するためには以下の3種類の方法があるので、できそうな方法でやっていきましょう。

  1. 自分で注文する
  2. 積立サービスを利用する
  3. ロボアドバイザーを利用する

方法1:自分で注文する

ETFの積立投資で最もベーシックなのが、自分で注文する方法です。証券会社の口座を開設すれば、証券取引所に売買注文を出せるようになるので、自分で注文を出します。

自分で注文する方法のメリットは、手数料が低いことです。後述する2つの方法は既存のサービスに頼る方法なので、手数料がかかってしまいます。自分で注文する方法の方が手数料を低く抑えられます。

 

自分で注文しても売買手数料がかかることが一般的ですが、少額の売買なら手数料がかからない証券会社も増えてきました。

例えば、SBI証券のアクティブプランなら、1日50万円以下の約定なら手数料は無料です。楽天証券のいちにち定額コースも同様に、1日50万円以下の約定なら手数料は0円となります。

こういったプランを利用すれば、ETFの積立投資にかかる売買手数料を低く抑えられます。

 

自分で注文する方法のデメリットは、手間がかかることです。ETFを注文する前に直近の価格を見て、1口いくらで買うのが妥当か考えて注文を出さなければならないからです。

あまりに安い金額で買い注文を入れても、売り手がつかず約定しません。とはいえ、できるだけ安く買いたいのに、高い金額で買い注文を入れるのも違いますよね。

「自分で注文するのは大変そう」とデメリットを強く感じるなら、これから解説する積立サービスロボアドバイザーを利用することをおすすめします。

方法2:積立サービスを利用する

自動でETFを積み立てしてくれるサービスを利用すれば、自分で注文する面倒臭さから解放されます。

例えば、マネックス証券ではETFを自動積立する「マネックスアドバイザー」があるので、このようなサービスを利用しましょう。自動で積み立てしてくれるメリットがある反面、手数料がかかるデメリットがあります。

マネックスアドバイザーの場合、売買手数料は無料となりますが、年率0.30パーセントのサービス利用料がかかります。ETFの信託報酬に加え、サービス利用料が乗るので、自分で注文する方法よりもコストが高くなってしまいます。

 

また、残念ながら2020年6月現在、ETFの自動積立サービスを展開している大手証券会社はマネックス証券だけです。投資信託に比べて自動積立のサービスが発展していないのです。

すでにマネックス証券に口座を持っている人や、これからマネックス証券を使おうと考えている人は、マネックスアドバイザーを使うのも良いでしょう。

しかし、マネックス証券を使う予定のない方もいますよね。そういった方は、次に解説するロボアドバイザーを利用してみてはいかがでしょうか?

方法3:ロボアドバイザーを利用する

ロボアドバイザーとは、ETF選びや実際の売買、管理などを代行してくれるサービスです。簡単なアンケートに基づいて投資家に合ったETFを選んでくれるので、ETF選びに困らないメリットがあります。

ただし、サービス利用のための手数料が高いデメリットがあります。年率0.5パーセントから1パーセント程度が手数料の相場で、マネックスアドバイザーよりも高いです。

 

積立投資そのものを自動化するサービスのため、ここで紹介した方法の中で最も手数料が高いサービスになっています。

それでも、自動で運用してくれるのは魅力的です。仕事が忙しくて自力でETFを買い付けるのが面倒に感じる方などは、ロボアドバイザーを利用すると良いでしょう。

積立投資におすすめのETF

積立投資におすすめのETF

せっかく投資を始めるのですから、安定した利益が狙えるETFに投資したいですよね。自分で注文して積立投資する場合などは、どのETFに投資するのか選ぶ段階も大切です。

この項目では、1,000円から5,000円で購入できるETFのうち、安定した利益が狙える銘柄を3つ紹介していきます。

上場日経225(ミニ)(1578)

「上場日経225(ミニ)(1578)」は、日経平均株価に連動することを目指しているETFです。日経平均株価に採用されている株式に投資しており、日本経済を代表する会社に幅広く分散投資しているため、安定した利益を狙えるETFです。

組み入れ比率が高い順に、「ファーストリテイリング」「ソフトバンクグループ」「東京エレクトロン」となっています。

 

2020年6月現在、1口あたり1,808円で購入できます。信託報酬は0.23パーセントと高くはない水準です。

上場インデックス世界株式(MSCI ACWI)除く日本(1554)

「上場インデックス世界株式(MSCI ACWI)除く日本(1554)」は、日本を除く世界中の株式に投資しているETFです。世界経済の平均に連動する商品と思ってください。

マイクロソフト ソフトウェア、アップル、アマゾン・ドット・コムなど誰もが知る世界的企業の株式を組み入れています。

 

このETFは日本の企業に投資をしていないので、上述した「上場日経225(ミニ)(1578)」とあわせて投資をするのがよりおすすめです。この2つを組み合わせることで、日本を含む全世界の経済に投資することができるからです。

 

2020年6月現在、「上場インデックス世界株式(MSCI ACWI)除く日本(1554)」は1口あたり2,107円で購入できます。信託報酬は0.15パーセントと低く設定されています。

上場インデックスファンド米国株式(S&P500)(1547)

「上場インデックスファンド米国株式(S&P500)(1547)」は、米国経済を代表する株価指数S&P500に連動することを目指すETFです。

アメリカは先進国の中でも経済に勢いがあるので、利益を追求したいならアメリカへの投資の比重を高めるという考え方ができます。そのような方に、このETFは向いています。

 

2020年6月現在、1口あたり3,650円で購入できます。信託報酬は0.06パーセントと非常に低い水準で、ETFの中でも最安クラスです。

まとめ

ETFと積立投資について解説してきました。

ETFには投資信託よりも手数料が安く、株式と違って個別の企業の業績に振り回されにくいメリットがあります。1,000円台から投資できるので、毎月コツコツ投資していく積立投資にも向いています。

積立投資には購入タイミングを分散できるメリットもあります。毎月の貯金と同じような感覚で、ETFへの積立投資を始めてみてはいかがでしょうか?