ロボアドバイザーをおすすめしない人の特徴5つとは?代わりの投資方法を紹介

「投資をしたいけれど、どう始めて良いか分からない」という投資初心者から、「客観的な目で投資商品を選びたい」という投資中上級者まで、手間なく結果を出せると思い、ロボアドバイザーを始める方も多いです。

しかし、実はすべての人にロボアドバイザーがおすすめというわけではありません

ロボアドバイザーを利用することで損をする人や、そもそもロボアドバイザーに向かない人も多いのです。

この記事では、どのような人にロボアドバイザーをおすすめしないのか、ロボアドバイザーが向かない人にはどのような投資がおすすめかについて解説します。

ロボアドバイザーとは?

まずは、前提としてロボアドバイザーの特徴を押さえましょう。
ロボアドバイザーとは、AI(人工知能)を活用した投資アドバイスサービスのことです。

従来、証券会社や銀行などの担当者が窓口や顧客の自宅で投資に対しての相談業務をおこなっていましたが、ロボアドバイザーを利用すれば、担当者とのやりとりなしで投資に関してのアドバイスを受けたり運用を任せたりできるのです。

なお、ロボアドバイザーには、アドバイス型運用型の2つの種類があります。

アドバイス型は、投資家の好みや投資スタイルに合わせておすすめ商品やポートフォリオ作成のアドバイスを受けることができ、運用型は、ポートフォリオ作成からファンド選択、買付、売却、リバランスまですべてを任せることができます。

ロボアドバイザーのメリットとデメリットは以下のとおりです。

メリット デメリット
  • 知識がなくても投資できる
  • 分散投資ができる
  • リバランス対応型なら完全放置も可能
  • ハイリターンを見込みにくい
  • 運用手数料がかかる
  • NISA口座を利用できない
  • 投資内容を把握しづらい
  • 投資商品が限られる

メリット

ロボアドバイザーを利用すれば、まったくの初心者でも投資に取り組むことができます

とりわけ運用型のロボアドバイザーなら、初期登録入金だけで投資を始めることが可能です。

また、基本的にリスク軽減のために「ポートフォリオを作成した分散投資」を目指しているため、資産を複数の金融商品に分けて運用していきます。

リバランスまでトータルで任せられるタイプのロボアドバイザーなら、数年以上、完全放置することもできるのです。

デメリット

ロボアドバイザーでは、基本的にリスク回避型の投資をおこないます。

初期登録の時点で「ハイリスク型」を選択することもできますが、あくまでもロボアドバイザー基準での「ハイリスク」のため、「FRBで利下げをしたからアメリカ株式に資産の100%を投入」といった思い切った投資はおこないません。

リスクを軽減するという点では良いことなのですが、ハイリターンを見込みにくいのも事実です。

また、アドバイス型は無料で利用できるものが大半ですが、運用型は年0.5~1.0%程度の手数料がかかります

つまり、年0.5%程度の運用益が出ていても、手数料と相殺されて、場合によっては損失が生じることもあるのです。

その他にも、何度も売買を繰り返すためにNISA口座が利用できない点や、投資内容をリアルタイムで把握することが難しい点、投資商品の選択肢が限られている点もデメリットです。

ロボアドバイザーをおすすめしない人の特徴5つ

ロボアドバイザーのデメリットが気になる方には、ロボアドバイザーを利用した投資はおすすめできません。

以下のいずれかに当てはまる方は、ロボアドバイザーを使わずに自力で投資していきましょう

  • NISA口座で投資をする人
  • ハイリスクの投資をしたい人
  • 不動産や金などの投資もおこないたい人
  • 投資にかかる手間よりもコストが気がかりな人
  • 投資内容を自分で把握したい人

特徴1:NISA口座で投資をする人

NISA口座は、利益が非課税になるお得な口座です。
ただし、NISA口座は120万円までの金融商品に使えますが、運用している金融商品を売却して空いた枠に関しては再利用ができません。(※)

そのため、売却・購入もすべて任せる運用型のロボアドバイザーには、NISA口座を利用することが不可能です。

反対に、投資商品をアドバイスしてもらうだけのロボアドバイザーならNISA口座でも利用可能ですので、商品選びに活用していきましょう。

※翌年以降に別の金融商品を購入することは可能です。

おすすめはインデックスファンド

NISA口座やつみたてNISAで投資をおこなうなら、長期的に放置できる金融商品を選ぶことがおすすめです。

たとえば、特定の指標に連動して価格変動するインデックスファンドなら急激な値上がりが少ないため、NISA口座やつみたてNISAで長期保有しやすいです。

とりわけ外国株のインデックスファンドは、為替リスクを分散させるためにも買うタイミングを分散できる「つみたてNISA」向きです。使途の決まっていないまとまった資金をお持ちの方は検討してみましょう。

特徴2:ハイリスクの投資をしたい人

ロボアドバイザーを利用する際には投資の好みや方針などについていくつかの質問に答えますが、その中に、かならずリスク許容度に関する質問があります。

しかし、リスク許容度を高くしたとしても、基本的にロボアドバイザーは資産を細かく分散させるため、リスクが高すぎる投資はおこないません

為替や株式の相場に合わせた思い切ったリスクを取る大胆な投資をおこないたい方には、ロボアドバイザーでは理想とするような投資がおこなえないでしょう。

FXや仮想通貨がおすすめ

ハイリスクハイリターン型を目指す人は、自分で投資商品を選択し、自力でポートフォリオを組み立ててください。

たとえばFXや仮想通貨などのハイリスクハイリターン型投資は、ロボアドバイザーには対応していません。

また、特定の銘柄に資産を全額投入するといった投資スタイルも、ロボアドバイザーは対応していません。

短期で高額の利益を目指している人は、ロボアドバイザーに頼らずに自力で投資をおこないましょう

特徴3:不動産や金などの投資もおこないたい人

通常、ロボアドバイザーで投資できるのは金融商品のみです。

金などの現物投資や不動産経営といった幅広い投資を狙うなら、ロボアドバイザーだけでは不十分なこともあります。

一部のみロボアドバイザーを取り入れるのがおすすめ

さまざまな投資に資産を分散させることで、金融恐慌が起こったときなどの危機的な状況に備えることができます。

とはいっても、本業もありながら、不動産経営や現物投資、株式投資、投資信託などの複数の投資をおこなうことは容易なことではありません。

不動産経営や現物投資といった、ロボアドバイザーの守備範囲外の投資は自力でおこない、株式投資や投資信託などのロボアドバイザーが対象とする投資はロボアドバイザーに任せてみてはいかがでしょうか

手間を軽減しながらリスク分散を実現することが可能になります。

特徴4:投資にかかる手間よりもコストが気がかりな人

通常、運用型のロボアドバイザーを利用すると、年0.5~1.0%程度の手数料がかかってしまいます。

しかし、手数料をかけることで、自分で金融商品を選んだり、ポートフォリオを作成したり、売却・購入の手続きや定期的なポートフォリオの見直しをおこなったりといった手間を削減できることも事実です。

コストと手間(=自らの時間的コスト)を比較して、「コストのほうを削減したい」と考える方には、運用型のロボアドバイザーはおすすめできません。

ただし、商品選択型のロボアドバイザーなら無料で利用できることがありますので、コスト軽減を投資のポリシーとしている方にもおすすめです。

ネット証券を活用してコスト削減

自力で投資をおこなえば、ロボアドバイザーの費用をカットできます。

とはいえ、店舗型の証券会社を利用すると、手数料が高く(運用型のロボアドバイザーよりも高いことがある)、自力で投資をしたとしてもコストがかさみます。

コスト削減を重視している方は、自力で投資をおこなうのはもちろんのこと、手数料が安いネット証券を利用することも大切です。

しかし、ネット・店舗連動型の証券会社に手数料が高い傾向が見られます
「ネットで注文するから」と安心してしまうのではなく、かならず手数料を確認してから売買をおこなうようにしてください。

たとえば楽天証券やSBI証券、マネックス証券ではすべての投資信託の買付手数料が無料ですが、依然として購入時に手数料を課すネット証券も少なくありません。

特徴5:投資内容を自分で把握したい人

運用型のロボアドバイザーを利用すると自動的にリバランスをおこなうため、投資内容を常に把握することは困難です。

今、どの金融商品にどの程度の金額を投資しているかを正確に理解しておきたい方には、ロボアドバイザーは向かないと言えるでしょう。

アドバイス型のロボアドバイザーを参考にしつつ、自分で投資商品を選んで自分で購入・売却手続きをおこなうようにしてください。

ロボアドバイザーをおすすめできる人の特徴3つ

ロボアドバイザーの持つ5つのデメリットが気にならない方なら、ロボアドバイザーを利用してみても良いでしょう。

とりわけ次の3点のいずれかに該当する方には、ロボアドバイザーの利用をおすすめします。

  • 投資に対する知識が少ない人
  • 金融商品の中で分散投資したい人
  • 放置したい人

特徴1:投資に対する知識が少ない人

毎月の給与が充分にあり、給与の中から充分に貯蓄できる方であっても投資は必要です

とはいえ、利益を出すためには、投資方法や目論見書の読み方などをしっかりと学び、実際に手掛けて投資の経験値を高める必要があります。それには、ある程度の時間と費用がかかってしまいます

運用型のロボアドバイザーならば投資に対してまったく知識も経験もない人でもリスクに配慮した投資を始めることが可能になります

ただし、アドバイス型のロボアドバイザーは投資の知識と経験がある人向けですので、まったくの初心者にはおすすめできません。

特徴2:金融商品の中で分散投資したい人

運用型のロボアドバイザーでは、リスク軽減のために複数の金融商品に資産を分散させます。

もちろん、自力で投資をおこなう場合でも複数の金融商品に資産を分散させることは可能ですが、それぞれの価格変動を把握して、適したタイミングで売却・購入していくとなると、かなりの手間がかかってしまいます。

その点、ロボアドバイザーに一任すれば、手間をかけずに分散投資を続けることが可能です

金融商品の中で分散投資をしたい方、手間をかけずに分散投資を実践したい方は、運用型のロボアドバイザーを利用するようにしましょう。

特徴3:放置したい人

自動的にポートフォリオの見直しもおこなってくれるロボアドバイザーなら、完全放置も可能です

投資で資産形成したいけれども時間をかけたくない人、また、忙しくて投資に時間をかけられない人も、運用型のロボアドバイザーなら気軽に投資に取り組めるのではないでしょうか。

なお、つみたてNISAや積立投信などの積立型投資も放置することが可能な投資方法です。

しかし、かならずしも常に運用益が出るわけではないため、定期的に見直し、売却や購入をおこなう必要があります

本当の意味で「任せっぱなし」の投資をおこないたい方には、やはりリバランスまでトータルで任せられる運用型のロボアドバイザーがベストの選択となるでしょう。

ロボアドバイザーを利用する際に覚えておきたいこと

ロボアドバイザーを上手に活用すれば、手数料などのコストが気にならないほどの利益を得られることもあります

たとえば運用型のロボアドバイザーの1つ、WealthNavi(ウェルスナビ)では、円建て資産の運用益は平均で年2.9~7.0%です。

年に1.0%の利用手数料がかかったとしても、年1.9~6.0%もの純利益を上げることができています。

賢くロボアドバイザーを利用する方法を紹介しますので、ぜひあなたも手間をかけない投資に挑戦してみましょう。

長期的に利用する

ロボアドバイザーは基本的にリスクを抑えながら運用する分散投資をおこなうため、すぐには成果が出ないことも少なくありません

運用成績をこまめにチェックして一喜一憂するのではなく、5年、10年の長期スパンで利用することがおすすめです。

ただし、あまりにもマイナスの結果が続くときは、リスク許容度や運用方針などの初期設定を見直すか、ロボアドバイザー自体を見直す必要があるでしょう。

アドバイスとして利用する

ある程度の投資経験のある方は、運用までをロボアドバイザーに任せるのではなく、アドバイス型のロボアドバイザーで金融商品選びのみに利用することをおすすめします。

アドバイスのみのロボアドバイザーなら基本的には無料のため、投資コストを抑えることが可能です。

なお、多くの証券会社ではアドバイス型のロボアドバイザーを提供していますが、通常はロボアドバイザーの利用を口座開設者に限定しています。

これから証券口座を開設する方は、ロボアドバイザーサービスを利用しやすいかどうかで証券会社を選ぶのも良いかもしれません。

特徴を押さえて使い分ける

基本的にロボアドバイザーは運用型もアドバイス型も基本料金なしで利用できるので、資産を分散させて、いくつかのロボアドバイザーを使い分けても損をしない仕組みになっています。

人気の運用型ロボアドバイザー3種の特徴は以下のとおりです。

あなた自身の投資のスタンスや志向に合わせて、ロボアドバイザーを使い分けてください。

人気の運用型ロボアドバイザー3種比較
WealthNavi THEO(テオ) Folio(フォリオ)
基本手数料 なし なし なし
運用手数料 預かり資産の年1.0%(3,000万円を超える部分に関しては年0.5%) 預かり資産の年0.65~1.0%(投資額によって異なる。3,000万円を超える部分に関しては年0.5%) 運用資産の時価総額の年1.0%(3,000万円を超える部分に関しては年0.5%)
取扱商品 国内株式、米国株式、新興国株式、米国債券、REIT、金投資信託などの約50ヶ国、11,000以上の金融商品 86の国や地域の11,000以上のETF(上場投資信託) 米国株式、先進国株式、新興国株式、米国債券、金投資信託、REITなどのETF
口座数 26万口座以上 11万口座以上
預かり資産額 2,000億円以上 600億円以上
リバランスの頻度 原則として半年に1回 原則として1ヶ月に1回 原則として1ヶ月に1回
最低投資額 10万円 1万円 10万円

WealthNaviの口座数・預かり資産額は2020年2月19日時点(外部リンク)
THEOの口座数・預かり資産額は2020年1月31日時点(外部リンク)
※Folioの口座数・預かり資産額に関しては、同社のプレスリリースでは詳細な数字について明記されていない

まとめ:投資スタイルに合わせてロボアドバイザーを導入しよう

ロボアドバイザーのメリットとデメリットを把握した上で、自分に合うスタイルで利用することをおすすめします。

以下の3つのポイントに注意し、賢くロボアドバイザーを活用していきましょう。

  • 投資初心者やリスク分散を重視する方、こまめに投資の見直しをおこないたくない方には運用型のロボアドバイザーがおすすめ
  • 運用型のロボアドバイザーは、コストはかかるものの基本料金がないため、複数のロボアドバイザーに資産を分散させることもできる
  • アドバイス型ならコストがかからないため、投資にかかる手間よりもコストを削減した方にはおすすめ