ETF(上場投資信託)のデメリットとは?他の投資商品と比較した際のETFのデメリットも

少額資金で始めることができ、手軽に分散投資ができることで人気の高いETF。1日に何度も取引でき、値動きがわかりやすいなどのメリットがあり、初心者から上級者まで多くの人がETF投資を行っています。

しかし、「ETFのメリットだけでなく、デメリットについても知りたい」「インデックスファンドや債券投資と比較した場合の違いは?」「コストは高いの?」など、ETFのデメリットや注意点について疑問を持っている人も多いことでしょう。

そこで、今回はETFのメリットだけでなく、デメリットと他の投資商品と比較する際のポイントなどについて紹介していきます。

この記事をご覧いただくことで、ETFの魅力やリスクへの理解をより深めることができ、安心して取引できるようになります。ぜひ参考にしてください。

ETFとは

ETFとは、Exchange Traded Fundsの略で、上場投資信託のことです。その名の通り、株式市場に上場している投資信託のことで、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)、NYダウなど、さまざまな指数に連動するものがあります。

上場しているためいつでも取引ができ、手軽に分散投資できることが魅力です。証券会社の口座を持っていれば、株式と同じように取引ができます。

ETF投資のメリット

ETF投資には、株式投資や投資信託にはないメリットがあります。ETFの魅力を知るためにも、まずはETF投資の主なメリットについてみていきましょう。

メリット1:市場で売買できる

ETF投資のメリットの一つが、市場でいつでも売買できる点です。ETFは株式と同じように上場しているため、市場が開いている時間内であれば、いつでも売買することができます。

投資信託は1日1回しか取引ができませんが、ETFであれば何度も売買できるので、短期売買で利益を積み上げることも可能です。また、指値や信用取引もできます。市場でいつでも売買できることで、チャンスをしっかりと捉えることができます。

メリット2:少額で分散投資ができる

ETFは、国内・海外のさまざまな指数を投資対象としています。

たとえば、日経平均株価型のETFの場合、日経平均株価指数に連動するため、一つの投資で分散投資を実現することが可能です。TOPIX連動型にしても、一口の投資で東証一部上場企業全体に分散投資ができます。

株式投資の場合、一般的には1社に対する投資となるため、分散投資するには多くの投資先と資金が必要になります。また、銘柄によっては1万円から3万円ほどで投資できるものもありますが、20万円から30万円必要なものもあります。

一方で、ETFは最低購入金額は一般的に1万円からのため、少額で始めることができます。また、少額資金で国内・海外に分散投資することができ、リスクを軽減させることが可能なのです。

メリット3:値動きがわかりやすい

値動きがわかりやすいこともETF投資のメリットの一つです。

株式投資の場合、個別企業の株価や業績をチェックする必要があります。

しかし、ETFの場合は個別企業の状況を確認する必要はありませんし、比較的簡単に値動きを把握することができ、感覚的に理解できます。

また、ETFはTOPIXや日経平均株価、金価格といったさまざまな指数と連動するように運用されています。代表的な指数は、さまざまなコンテンツで情報発信されており、株式投資のように取引画面やチャートを確認しなくても、テレビや新聞、スマホアプリなどで簡単に値動きを知ることが可能です。

メリット4:信託報酬が安い

ETFは、信託報酬が安いこともメリットです。信託報酬は運用管理費用とも呼ばれ、利用料のようなものです。

投資信託の場合、「販売会社」「受託会社」「運用会社」の3社に対して利用料がかかるため、0.5パーセントから1パーセント前後と信託報酬はやや割高となります。中には、1パーセントを超えるものもあります。

 

一方で、ETFの場合は販売会社に信託報酬を支払わなくて良いため、投資信託よりも割安なケースが多く、0.1パーセントから0.5パーセント前後のものが多いです。わずか0.1パーセントの違いでも、長期運用をする場合は大きな差が生じるため、運用コストはできるだけ安く抑えられることはメリットです。

メリット5:選択肢が豊富

ETFで投資できるのは、国内株式だけではありません。NYダウといった海外株式や国内債券、海外債券、不動産、通貨、商品など、さまざまな投資対象が揃っています。

そのため、国内・海外の多数の投資対象に資産を分散させることが可能です。

ETF投資のデメリット

ETFには、もちろんデメリットもあります。どのようなものがあるかを把握しておくことで、対策が立てやすくなりリスクを回避しやすくなります。

ETFの主なデメリットについてみていきましょう。

デメリット1:株の売買手数料がかかる

ETF投資のデメリットの一つが、株の売買手数料がかかることです。売買するたびに各証券会社で決められた手数料がかかるため、短期売買をする人にとっては大きなデメリットとなります。

証券会社によっては1日の取引が10万円未満だと手数料無料になるといったプランもありますが、取引コストがかかることには注意しなければなりません。

運用コストの安さを相殺してしまう可能性もあるため、売買手数料が安い証券会社を選ぶと良いでしょう。

デメリット2:積立ができない

ETFは積立投資ができないこともデメリットです。

投資信託であれば、毎月5,000円など一定額を自動積立していくことができます。毎月決まった日に自動購入していくため、毎回注文をする手間もかからず計画的な購入が可能です。

しかし、ETFの場合は自動積立ができないため、すべて自分で判断して注文をしていかなければなりません。長期間にわたり、毎月一定額を積立していきたい人にとってはデメリットに感じる点でしょう。

デメリット3:少額での取引ができない

ETFは、株式投資と比べると少ない資金で取引ができますが、1口からなど売買単位があるため、最低投資額は1万円以上となることが多いです。数千円でも売買できる投資信託と比べると高くなります。

投資資金に余裕がある人であればデメリットには感じない点ですが、そうでない人にとっては大きなデメリットでしょう。

デメリット4:分配金が自動的に再投資されない

投資信託の場合、分配金を自動的に再投資することができます。しかし、ETFの場合は分配金を得たとしても自動的に再投資できません。手動で再投資する必要があり、その都度売買手数料がかかります。

手間がかかるだけでなく分配金は税引きとなるため、複利的な効果も薄くなってしまいます。

ETFを他の投資と比較した際のデメリット

続いて、インデックスファンドや債券投資、株式投資と比較した場合のETFのデメリットについて解説していきます。投資商品選びの参考にしてください。

インデックスファンドと比較した場合のデメリット

インデックスファンドとETFは似ていますが、それぞれを比較した場合にデメリットがあります。主なデメリットは次の2点です。

  • 最低購入金額が高いこと
  • 自動積立ができないこと

インデックスファンドは数千円からでも購入できますが、ETFは一口あたり1万円を超えるものが多いため、最低購入金額が高くなります。

また、基本的に自動積立ができないため、積立をしたい場合は自身で定期的に売買をしていくことが必要です。

債券投資と比較した場合のデメリット

ETFは、債券投資と比べてよりリスクとリターンが大きいことが特徴です。

債券投資はローリスク・ローリターンの投資商品で、多くの投資家が安全資産としてポートフォリオに組み込みます。債券投資は保有し続ければ安定的にリターンを得る可能性が高いといえるでしょう。

しかし、ETFは価格が変動しますし、確実にリターンを得られるとは限りません。そのため、投資したときより増える可能性がある一方で、資産が減る恐れもあります。

ETFは債券投資よりもリスク・リターンともに高いことを把握しておきましょう。

株式投資と比較した場合のデメリット

ETFと株式投資を比較した場合、ETFには次の2つのデメリットがあります。

  • 信託報酬がかかる
  • 株式投資よりもリターンは少ない

株式投資は購入時に売買手数料がかかるものの、保有中に運用コストがかかることはありません。

一方で、ETFの場合は株式投資同様に購入時に売買手数料がかかるだけでなく、運用中に信託報酬がかかります。そのため、保有期間が長くなればなるほど運用コストの負担が大きくなります。

 

また、株式投資はリスクが大きい反面、十分なリターンを期待することができます。

一方、ETFは個別銘柄ではなくTOPIXや日経平均株価などの指数が投資対象になるため、比較的値動きが安定していることが特徴です。そのため、分散投資でリスクが軽減される反面、リターンも限られてしまいます。

ETFを利用すべき人

それでは、ETFを利用すべき人やEFTが向いている人を3つに分けて紹介しましょう。

もちろんこれらがすべてではありませんが、ETF投資するかどうか迷っている人は参考にしてください。

資金を多めに用意できる人

ある程度資金を用意できる人は、ETF投資は向いているでしょう。ETFは、一口あたりの投資金額はそれほど高いものではありませんが、価格や時間を分散して長期的に投資をするとなると、相応の資金が必要です。

一口だけの売買で済ませる場合はほとんど資金も必要ありませんが、多くのリターンは期待できません。ある程度のリターンを得たいのであれば、それなりの口数を売買する必要があります。

 

仮に、最低購入金額が1万5,000円のETFを毎月1年間買うとなると、18万円の資金が必要です。株式投資ほどではありませんが、それなりに資金は用意しておかなければなりません。

また、資金が多いほど、株式や債券、不動産、商品など、さまざまなETFへ投資することができます。

運用の手間がかかっても良い人

投資信託の自動積立であれば、あらかじめ設定した金額・日程で繰り返し購入できるため、特に運用もすることはありません。

しかし、ETFの場合は自動積立がありませんので、毎回の新規注文と決済注文を自身でおこなう必要があります。分析や注文の実行など、運用の手間を苦痛に感じない人であれば、安心してETF投資ができるでしょう。

リスクを抑えてプロに運用を任せたい人

通常の株式投資は個別企業に対して投資をおこなうため、事前に業界動向や企業情報、財務状況など、さまざまな点をチェックする必要があります。また、銘柄によっては値動きが大きいため、多くのリターンを狙うことができる一方で、相応のリスクもあります。

ETFであれば、運用をプロに任せることができ分散投資もできるため、リスクを抑えた運用が可能です。

まとめ

ETFのメリットだけでなく、デメリットと他の投資商品と比較した際の特徴について紹介しました。

最後に、今回紹介した大切なポイントを確認しておきましょう。

  • ETFは手軽に分散投資ができリスクを軽減することができる
  • 売買手数料がかかり自動積立ができないデメリットがある
  • 株式投資やインデックスファンドなど他の投資商品と比較してもデメリットは少ない

今回紹介した内容を参考にして、ETFや投資信託を始めてみてはいかがでしょうか?