コア・サテライト戦略を知っていますか?
投資戦略のひとつで、リスクを抑えつつ最大限のリターンを狙うことができます。
長期投資で安定した運用をポートフォリオのコア(中核)において、その他のサテライト(衛星部分)は、個別企業の株式投資をしたり、アクティブ投資など大きな値動きの投資にチャレンジすることもできます。
コアとサテライトの投資スタイルが、今のあなたのポートフォリオの見直しのご参考になれば幸いです。
1、コア・サテライト戦略とは
コア・サテライト戦略とは、自分のポートフォリオを中核となる部分(コア)と非中核(サテライト)に分ける戦略です。
一般的な資産配分としてはコアが8割、サテライトが2割とする場合が多いです。
(1)コア資産
コアとなる資産はインデックスファンドが基本です。
インデックスとは、「指標」という意味で、日経平均株価やダウ工業平均株価などの経済指標に連動して価格が決まるのがインデックスファンドです。
簡単にいってしまうと、日経平均やダウ全体に投資をするというイメージです。
(2)サテライト資産
サテライトとなる資産はインデックスファンドと比較してリスクの高いものを選ぶことが多いです。
アクティブファンドや個別株などが該当します。
自分の好きな金融商品に投資するので楽しさもあることでしょう。
2、コアとサテライトそれぞれの役割
コアとサテライトについてそれぞれの役割を考えてみましょう。
参照 城北信用金庫
(1)「守りの運用」はコア資産で
「守り」の役割は、値動きの小さい、リスクの少ない投資を行います。
コア資産となりうる金融商品はインデックスファンドや債権などリスクの低いものを設定します。
これらコア資産は期待リターンこそ低いものの、投資の経験や知識が少なくとも安全に運用できるのが特徴です。
サテライト資産でリスクテイクができるのも盤石なコア資産の存在があるからです。
プロの投資家ではない、一般投資家には市場の動きを読み切ることは難しいです。
資産の大半(7〜8割)をコア資産として運用することがコア・サテライト戦略の要となるのです。
(2)「攻めの運用」サテライト資産で
「攻め」の役割は、短期投資で大きなリターンを狙う投資をおこないます。
サテライト資産となりうる金融商品はアクティブファンドや個別株などリスクの高い金融商品を設定します。
これらサテライト資産は期待リターンが高いのが特徴です。
例えば、個別株の中には「テンバガー」と呼ばれる、株価が10倍に上昇した銘柄も過去存在します。
そのような銘柄を見つけることができれば資産運用の大きな助けとなることでしょう
とはいえ、一般投資家にとって今後伸びるアクティブファンドや個別株を見極めることは簡単ではありません。
相場の世界とは多くの要因(社会情勢、景気、企業業績、為替など)が複雑に絡み合うものです。
また、高いリターンの裏には必ず高いリスクが存在します。
テンバガーとなる銘柄もあれば、株価が1/10まで落ちてしまう銘柄もあることを忘れてはいけません。
起こり得る損失から「身を守る」ためにサテライト資産は2割〜3割に留めておくのが良いでしょう。
その範囲で、銘柄選びなど投資の楽しさを味わえることもサテライト資産の特徴です。
3、コア・サテライト戦略のメリット・デメリット
コア・サテライト戦略のメリット・デメリットを解説します。
(1)コア・サテライト戦略のメリット
①分散効果
最も大きなメリットとして、コア・サテライト戦略自体に分散効果があることが挙げられます。
特定の商品に集中投資する場合、その商品の価値が下がってしまうと同時に自分の保有する資産価値全体が下がってしまいます。
分散投資ならば、複数保有する商品のうち、あるひとつの商品の価値が下がったとしても全体から見れば損失は少なくなります。
「卵を同じカゴに盛るな」の考えのもと、分散投資は心がけるべき戦略なのです。
②「攻め」も「守り」も両方選ぶことができる
また、一般的な資産運用は個別株などを持たない「守り」の側面が強調されますが、裏を返せば投資のスリルは味わうことができません。
自分の持っている資産の価値が上がったり下がったりするのも時として楽しいものです。
コア・サテライト戦略ならばコア資産がいわゆる「セーフティネット」の役割を果たすので、言い方を変えるとサテライト資産で好き放題に商品を選ぶことができます。
好きな企業の株を買って値上がりを待つのも投資の醍醐味です。
初心者が投資の勉強をするにも有効と言えます。
(2)コア・サテライト戦略のデメリット
①ポートフォリオの管理が面倒
コア・サテライト戦略のデメリットとして、ポートフォリオの管理の手間が挙げられます。
複数の資産を持つことは分散投資を実践する上で不可欠ですが、資産を複数持つほど資産の組み換えや整理など管理が煩雑になっていきます。
特にサテライト資産は頻繁にメンテナンスをする必要があります。
②リスクに注意を払うことが必要
リスクの高い商品は景気などの外的要因の影響を受けやすいため、市場を観察して都度適切な商品に組み換える必要があります。
資産配分も見直す必要があるでしょう。
4、一般的な分散投資にさらなるメリットが追加
コア・サテライト戦略で1番のメリットはやはり分散投資になりますが、一般的な分散投資をさらにパワーアップすることができます。
(1)一般的な分散投資のメリット
- リスクを分散
- 相場の変動に左右されにくい
- ポートフォリオ全体は守りでリスク軽減
(2)コア・サテライト戦略
- コアで、リスク制御そしてサテライトでリターンの向上を図れる
- 投資目的やリスク許容度に合わせたポートフォリオがつくりやすい
5、ニーズ、リスク許容度に応じたコア・サテライト運用のポートフォリオ
参照:SBI証券
コア・サテライト戦略の主な運用先をまとめると上記のような運用先が挙げられます。
インデックスファンド8割(コア資産)、アクティブファンド2割(サテライト資産)が最もバランスの良いポートフォリオと言われています。
(1)インデックスファンド
インデックスファンドには日経平均株価やTOPIXに連動するものだけではなく、海外国内の債券などにも投資します。
国や投資先を選ぶ際は、分散投資の効果が最大限発揮できるよう、チャートの動きや実績を確認しましょう。
(2)アクティブファンド
アクティブファンドは運用実績に注目して選ぶと良いでしょう。
一般投資家にとって、どのアクティブファンドが今後伸びそうかを判断するのは難しいです。
判断基準として過去の実績を第一に持ってくると良いでしょう。
投資方針が自分に合っているのであれば更に良い資産運用ができます。
(3)ポートフォリオが確定したら
ポートフォリオを確定させた後は基本的には放置しておいて構いません。
コア資産は市場全体に連動して価値が決まるので売買を繰り返す意味がないためです。
サテライト資産に関しては運用実績が悪くなってきたら組み換えを検討する必要が出て来るでしょう。
まとめ
コア・サテライト戦略についてみてきましたが、いかがでしたか。
分散投資は、みなさんご存知とは思いますが、さらにコアとサテライトについても知っていただけましたら、きっと資産運用のお役に立てると思います。
個人投資家の方でも実践しやすいポートフォリオができると思いますので、ぜひ参考にしてください。