1000万円を国債で運用するのはアリ?投資商品を組み合わせよう

「1,000万円を貯められたので、投資にチャレンジしてみたい」
「お金は増やしたいけど、1円でも損失が出る可能性があるのは嫌だ……」

そう考えている方の選択肢になるのが、国債です。国債は元本割れしない商品なので、元本割れが怖い方でも活用できます。

しかし、国債は利回りが非常に低く、「お金を増やしたい」という目的を叶えてくれるものではありません。

 

この記事では、国債のメリットとデメリットを解説していくので、自分は国債で資産運用するのが合っているのか、他の商品の方が向いているのか検討していきましょう。

また、国債の他にも投資商品は多数あります。
「国債以外の方法にも興味があるけど、あまりリスクが高いのはちょっと……」
という方のために、低リスク~中リスクの投資方法を紹介していきます。1,000万円の運用方法として候補に入れてみてください。

  • 国債で1,000万円を運用するメリット・デメリット
  • 低リスクの資産運用のコツ
  • 低〜中リスクの投資方法

1000万円を国債で運用するメリット・デメリット

まずは、1,000万円を国債で運用するメリットとデメリットについて解説します。

  • メリットは、元本割れしない
  • デメリットは、利回りが非常に低く、長年運用を続けてもほとんどお金が増えない

メリット:元本割れなしで運用できる

財務省がウェブサイトで公言しているとおり、国債は元本割れしない商品です。満期を迎えれば、最初に投資をした元本は目減りすることなく返済されます。

国が資金調達のために発行する債券。国債を購入した投資家は、一定期間、国にお金を貸すことになる。半年ごとに利子を得られ、満期が来れば元本が全額返済される。

※日本が財政破綻した場合、通常どおりに元本が返済されない可能性がありますが、日本の財政破綻は非常にレアなケースと考えられます。

デメリット:利回りが非常に低い

国債の金利は年率0.05%程度と非常に低いため、お金を増やすには向いていません。

1,000万円を国債で運用しても、次の章で詳しく解説するとおり、ほとんどお金は増えないのです。国債はお金を増やす手段ではなく、減らさないように守る手段と考えてください。

お金を増やしたいなら、元本割れのリスクを取ってでも投資をするという考え方ができます。具体的な投資方法は後述するので、リスクの低い方法から試してみてはいかがでしょうか?

1000万円を国債で運用するシミュレーション

1,000万円を国債で運用した場合、どれくらいお金を増やせるのかシミュレーションしていきましょう。

2022年2月16日時点、個人向け国債の利回りは、下表のとおりです。こちらの利回りで満期まで1,000万円を運用する場合を想定し、シミュレーションしていきます。

商品 満期 金利タイプ 表面利率
固定3年 3年 固定金利 0.05%
固定5年 5年 固定金利 0.05%
変動10年 10年 変動金利 0.11%

※わかりやすさのため、税引き前の利回りでシミュレーションします。

  • 国債は利回りが低く、お金はほとんど増えない
  • お金を増やしたいなら、他の投資方法を検討する

固定3年

「固定3年」の個人向け国債は、満期が3年、年率0.05%の固定金利の商品です。1,000万円を満期まで運用すると、下表のとおり利子を得られます。

元本 1年間で得られる利子 満期までに得られる利子の合計
1,000万円 5,000円 1万5,000円

固定5年

「固定5年」の個人向け国債は、満期が5年、年率0.05%の固定金利の商品です。1,000万円を満期まで運用すると、下表のとおり利子を得られます。

元本 1年間で得られる利子 満期までに得られる利子の合計
1,000万円 5,000円 2万5,000円

変動10年

「変動10年」の個人向け国債は、満期が10年で金利が変動するタイプの商品です。半年ごとに金利が見直されますが、ここでは簡単のため、常に年率0.11%の金利である場合を想定します。1,000万円を満期まで運用すると、下表のとおり利子を得られます。

元本 1年間で得られる利子 満期までに得られる利子の合計
1,000万円 1万1,000円 11万円

以上のように、1,000万円というまとまった元本を運用しても、国債では年額5,000円~1万円程度の利益しか得られません。変動10年で満期まで運用すれば利益が10万円を超える可能性はありますが、投資信託や株式投資など他の方法で運用すれば、10万円の利益など1年で得られることがあります。

リスクを抑えてお金を増やす投資のコツ

お金を増やしたいなら、大なり小なりリスクを取った資産運用を検討する必要があります。

しかし、「リスクのある商品は怖い……」と感じる方も多いでしょう。

投資においてリスクをゼロにすることはできませんが、低く抑えることは可能です。リスクを抑える方法を解説していくので、1,000万円の運用を始める前に、頭に入れておきましょう。

  • 投資先を分散させる
  • 余剰資金で投資をする
  • 手数料を低く抑える

分散投資する

投資のリスクを抑えるためには、投資先を複数に分散させるのが有効です。

一つの投資先で損失が出ても、他の投資先の利益で補える可能性があり、全体としては大損しにくい投資ができるからです。

元本割れしない商品をメインに運用したい方は、国債や預金を中心に、低~中リスクの商品にも少しずつ投資しましょう。ポートフォリオ全体のリスクを抑えつつ、利回りを引き上げることができます。

ポートフォリオの例

投資商品 投資額 目安の利回り
国債 300万円 0.05%
定期預金 300万円 0.02%
投資信託 200万円 1%
株式 200万円 3%

このポートフォリオでは、1,000万円のうち半分以上となる600万円を、元本割れしない国債と定期預金で運用しています。どんなに運用環境が悪化しても、600万円は元本割れしません。

残りの400万円は、低リスクの投資信託と中リスクの株式に投資しています。国債と定期預金だけではあまりにも利回りが低すぎるので、低~中リスクの商品を少し取り入れ、利回りの引き上げを狙っています。

余剰資金で投資をする

投資に回すお金は、余剰資金だけに限定してください。生活費や使い道が決まっているお金を使ってはいけません。

  • 半年~1年分の生活費
  • マイホームの頭金、子どもの教育資金など使い道が決まっている貯金

これらのお金をリスクのある投資に使い、運用に失敗してしまったら、生活が苦しくなってしまうかもしれません。マイホームを諦めたり、子どもが希望する進路を叶えられなくなったりする可能性もあります。

投資で大きな失敗をしないためには、「最悪、なくなっても大丈夫なお金」だけを運用するというリスク管理が大切です。リスクの高い商品を避けること以上に、リスクに晒してはいけないお金で運用しないことが重要です。

  • 生活費や使い道が決まっている貯金には当てはまらない余剰資金
  • 最悪、なくなっても生活に大きなダメージはない金額

手元にある1,000万円のうち、余剰資金はいくらなのか、よく検討してください。実は全額、マイホーム貯金や子どもの学費に充てたい…となる場合、投資はせず貯金しておくのが賢明です。

手数料を理解する

投資商品の購入や解約、売買には、多くの場合、手数料がかかります。高額な手数料が必要な商品だと、投資による利益よりも支払う手数料のほうが大きくなり、損失が出てしまう可能性があります。

投資したいと思う商品を見つけたら、以下の場合にどれくらいの手数料がかかるのか確認しましょう。

  • 購入時
  • 解約時(売却時)
  • 運用中

購入時・解約時(売却時)に手数料がかかる商品の場合、あまり頻繁に購入と解約を繰り返すと、支払う手数料が膨らんでしまいます。長期にわたって投資したいと思える商品を厳選しましょう。

また、投資信託やヘッジファンドなど一部の商品は、購入・解約時のみならず、運用中にも手数料がかかります。一般的に「信託報酬」と呼ばれるもので、期待できる利益よりも信託報酬のほうが高額で、投資家に利益が出ない商品もあります。

最近ではこうした商品は少なくなっていますが、過去の実績と手数料を突き合わせ、きちんと利益が出ているのか確認しましょう。

低リスクのおすすめ投資商品

ここからは、1,000万円の運用に活用したい低~中リスクの投資商品を紹介していきます。まずは低リスクの商品について、表で比較していきましょう。

商品 目安の利回り 最低投資額 特徴
定期預金 0.02% 1万円 国債と同様、元本割れなし
投資信託 1%~3% 100円 少額で投資できるので初心者向き。投資を試してみたい人におすすめ
ETF 2%~4% 約2万円 投資信託よりも低コスト。投資信託で投資に慣れたらETFを検討

定期預金

定期預金は、預入期間を決めて利用する預金です。
1年ものの場合、預入から1年間は引き出すことができません。その代わり、いつでも引き出せる普通預金よりも、高い金利が設定されています。

定期預金は元本保証なので、元本割れのリスクを嫌う人におすすめです。預金額が1,000万円を超えた部分は預金保証の対象外となりますが、1金融機関につき1,000万円以内の預金に押さえていれば問題ありません。

定期預金の金利は高くても0.2%程度ですが、退職金専用の定期預金は0.5%程度など、より高い金利が設定されています。使える期間は3ヶ月程度と短い商品が多いですが、退職金の運用を考えている人は、ひとまずの預け先として有力な候補となります。

投資信託

投資信託は、投資会社にお金を預け、代わりに運用してもらう商品です。インデックス型とアクティブ型に分けられ、リスクの低い運用をしたい方におすすめなのは、インデックス型です。

インデックス型の投資信託は、日経平均株価やTOPIXなどの指標に成果が連動するように設計されています。すなわち、市場の平均に比べて大きな利益は期待しにくいものの、大きな損失も生じにくい商品です。

ネット証券なら100円から購入できるので、投資を試してみたい初心者におすすめです。運用中に手数料がかかる商品なので、手数料が安い商品を選びましょう。

ETF

ETFは投資信託と同様、投資会社に代わりに運用してもらう商品です。国内で売買できるETFはすべてインデックス型で、市場平均並みの成果が期待できます。

投資信託と異なるのは、証券取引所に上場している点です。投資信託は銀行や証券会社など販売会社の窓口を通して申し込みますが、ETFは証券取引所に注文を出して売買します。そのため、初心者には取引方法が少し難しく感じられるかもしれません。

しかし、ETFは販売会社を通さないで売買するため、手数料が安く抑えられている傾向があります。投資信託から始めて投資に慣れてきたら、ETFにも挑戦してみてはいかがでしょうか。

中リスクのおすすめ投資商品

次に、中リスクの商品を紹介します。上述した商品よりはリスクが高まりますが、その分、高い利回りが期待できる商品です。まずは表で特徴を比較しましょう。

商品 目安の利回り 最低投資額 特徴
株式 3%~5% 約10万円 株主優待がもらえるメリットがあり、生活費の節約にも役立つ
不動産 5%~10% 0円~数百万円 ローンを組んで自己資金より大きな資産を手に入れられる
ヘッジファンド 10%~20% 1,000万円 高い利回りを求める人におすすめ。ただし最低投資額は高い

株式

企業が発行する株式を購入すると、その会社の株主になります。定期的に配当金をもらうことができますし、株価が上昇してから売却すれば差額が利益になります。

また、一部の企業は株主優待を導入しています。自社商品や割引券、金券、カタログギフトなどをもらえるので、生活費を節約したり、お得にサービスを楽しんだりすることができます。

 

ただし、投資する企業によって、リスクは大きく異なります。リスクを抑えるためには、以下のポイントを押さえて銘柄を選びましょう。

  • 業績が悪化している企業は避ける
  • 値動きの小さい東証一部上場銘柄から選ぶ
  • 生活必需品メーカーなど、需要が景気に左右されにくい業種から選ぶ

業績が悪化している企業は選ばないでください。株価が下がって損失が生じる可能性がありますし、最悪の場合、倒産して株式が無価値になってしまうかもしれません。

 

中リスクに抑えたいなら、東証一部上場銘柄から選びましょう。マザーズやJASDAQは中小企業やスタートアップ企業が上場しており、大きな値上がりが期待できる反面、大きく値下がりする可能性も大きいです。東証一部上場銘柄は、比較的値動きが小さいです。

また、需要が景気に左右されやすい銘柄は、値動きが大きい傾向にあります。景気の良し悪しに業績が連動しにくい、食品や日用品メーカーなどがおすすめです。

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不動産投資のメリットは、資金が少なくてもローンを組めば、大きな資産を手に入れられることです。一般的に、頭金は不動産価格の1割~3割程度です。場合によっては、頭金なしでローンを組むことも可能です。1,000万円のうち数百万円でも捻出できれば、不動産投資を始めることは可能です。

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ヘッジファンドは投資信託と同様、投資会社に運用を任せられる商品ですが、自由度の高い運用ができるため、投資信託よりも遙かに高いパフォーマンスを期待できます。利回り10%から20%をたたき出すファンドも珍しくありません。

ヘッジファンドは会社によってリスクの大小や性質が異なります。リスクを低く抑えたいなら、商品の内容をよく確認し、不明点は面談でよく確認しましょう。最大損失額を決めているかなど、損失を抑える工夫をしているファンドは、比較的低リスクといえます。

 

ただし、ヘッジファンドの最低投資額は原則として1,000万円です。お手持ちの1,000万円すべてが余剰資金なら問題ありませんが、一部が生活費や使い道が決まっている貯金である方は、他の商品の方が良いでしょう。投資は必ず余剰資金の範囲で行ってください。

まとめ

元本割れしない方法で1,000万円を運用したいなら、国債と言う選択肢はアリです。しかし、利回りが非常に低いので、お金を増やすには向いていません。

お金を増やしたいなら、大なり小なりリスクを取る必要があります。国債や預金を中心に据えて良いので、低~中リスクの商品を織り交ぜ、利回りの引き上げを検討してはいかがでしょうか?