「投資信託を運用中だけど確定申告が必要なのか知りたい」
「投資信託を運用中だけど確定申告の方法にはどのようなものがあるのか知りたい」
あなたは今そうお考えではありませんか?
投資信託に投資している際、口座や状況によって確定申告が必要なケースとそうではないケースがあります。この記事をお読み頂ければご自身が確定申告すべきか、また具体的にどのような場合に確定申告が必要となるか分かるはずです。
この記事が投資信託を運用中の方のご参考になれば幸いです。
1、投資信託の税金について
基本的に納税方法は3つあります。
総合課税 | 総所得金額を計算し、その税額を計算し、確定申告で納める方法。配当控除を受けたいときはこの形式を選択。 |
申告分離課税 | ほかの所得と一緒に計算せず、分離して税額計算し、確定申告で納める方法。損益通算などができる。
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源泉分離課税 | 源泉徴収で納税が完了するため、確定申告は不要となる方法。 |
投資信託の場合、分配金を受け取ったときの「配当所得」と換金時の「譲渡所得」が課税の対象になります。それぞれどのように税金がかかるのでしょうか。
(1)分配金を受け取ったとき
投資信託には株式投資信託(株式にも投資できる)と公社債投資信託(公社債で運用し、株式には投資しない)があります。
復興特別所得税が課せられているため(2037年まで)、分配金を受け取ったときは、どちらも所得税15.315%と住民税5%を合わせた計20.315%の税率が課されます。
株式投資信託の分配金を受け取った場合は、配当所得となり、確定申告せずとも源泉徴収で納税が完了する場合もあります。
この他、必要があれば確定申告をし、総合課税、申告分離課税を選択することも可能です。
公社債投資信託の分配金を受け取った場合も、確定申告の必要はありません。
また2016年より、確定申告で申告分離課税を選択することもできるようになりました。
※「普通分配金」と「特別分配金」普通分配金は運用益から分配されるお金のことを指します。
そのため課税対象です。
一方、特別分配金は、運用益ではなく元本を取り崩した上で払い戻されるお金のため、課税対象にはなりません。
(2)売却したとき
株式投資信託の売却益は、譲渡所得となり申告分離課税(所得税15.315%、住民税5%)になります。
公社債投資信託の場合は利子所得になるので、所得税15.315%と住民税5%が源泉徴収されます。
2、あなたは確定申告が必要な人?必要ない人?
取引している口座の種類によって確定申告が必要かどうか異なります。
口座種類 | 納税方法 |
特定口座 源泉徴収あり | 源泉徴収で納税完了のため、確定申告不要 |
特定口座 源泉徴収なし | 確定申告必要 |
一般口座 | 確定申告必要 |
NISA | 確定申告不要 |
iDeCo | サラリーマンの場合→年末調整が可能のため、確定申告不要 自営業→確定申告必要 |
(1)特定口座とは
確定申告のような納税手続きの負担を軽減するためにできた口座です。
源泉徴収を選択すれば、確定申告不要の特例を受けることができます。
源泉徴収を選択しなかった場合は、販売会社から年間取引報告書(翌年の1月までに交付)が送られてくるので、これを添付し、確定申告をすることができます。
書類作成が楽になり大変便利です。
(2)NISAとは
「非課税口座」のことを指し、未成年を対象にした「ジュニアNISA」もあります。
2014年から2023年までの10年間、毎年120万円(2014年、2015年は100万円でした)を上限に投資でき、NISA口座内の上場株式等の配当や分配金、譲渡益については最長5年間非課税となります。
なお、2018年1月からつみたてNISA(年間非課税投資枠は40万円、非課税期間は最長20年間)も始まりますので、こちらの利用もしてみてはいかがでしょうか。
(3)iDeCoとは
60歳まで毎月一定の掛金で金融商品(投資信託、定期預金、保険などを各自選択)を購入し運用するという制度です。
- 掛金全額所得控除され、年末調整や確定申告をすることで税金が戻ってくる
- 運用中に得た利益は全て非課税
- 運用した資産を受け取る際、「退職所得控除」もしくは「公的年金等控除」が受けられ、税金負担が軽くなる
というメリットはありますが、長期になるため、よく考えて金額を決めることをおすすめします。
3、確定申告によって税金を取り戻せる「損益通算」と「譲渡損失の繰越控除」を知っておこう
確定申告をすることによって、税金を軽減できる場合があります。
(1)損益通算
複数の口座で取引をしていて、利益の出ている口座と損失を出している口座を持っている場合は、確定申告をすることで税金を軽減することができます。
これを「損益通算」といいます。
(例)
損益 | 税金(税率20.315%) | |
A社投資信託 | +100万円 | 約20万円 |
B社投資信託 | -20万円 | 0円 |
(損益通算後→) | +80万円 | 約16万円 |
複数口座で投資信託(や株式など)の取引がある場合、確定申告をすることで損益をあわせて計算し、そこから税額を計算することができます。
上記例の場合、確定申告をしなければ約20万円が課税されますが、損益通算をすることで約4万円減額することができます。
(2)3年間の損失繰越控除
損失が出ている場合、確定申告をすることで利益が出た年に税金控除できるシステムがあります。
最大3年間まで損失の繰越が可能です。ただし、この損失繰越控除の特例を利用したい場合、取引をしていない年であっても確定申告が必要になるので注意しましょう。
4、見落としがちな確定申告の注意点
確定申告をする際、所得金額をよく確認しましょう。
「配偶者控除」を例に詳細を説明します。
まず、「配偶者控除」を利用したい場合、配偶者の所得が38万円を超えると控除の対象外となります。
扶養に入っている場合、所得金額は繰越控除前の金額で判定されるので要注意です。
(例)投資信託を解約して50万円の利益を得た。しかし前年度は20万円の損失が出ている。3年間の損失繰越控除の特例を利用し、通算すると30万円の利益となる。
この場合、所得金額は「30万円」とはなりません。繰越控除前の金額となるので「50万円」となります。従って、この場合、配偶者控除を利用することはできません。
5、かんたん確定申告の仕方
確定申告は毎年2月16日~3月15日(休日の関係で変動することがあります)と決まっています。
時期が近づいてきたら、準備を始めるようにしましょう。
確定申告の方法としては2つあります。
(1)オンラインで作成、提出
e-Taxというシステムを使い、ネット上で書類提出ができます。ただし、ICカードリーダライタの購入が必要になるため、手元に用意できない方はこの方法を利用することができません。
http://www.e-tax.nta.go.jp/
(2)「確定申告書等作成コーナー」で作成、印刷後に持参もしくは郵送
国税庁のHPから作成することができます。
特定口座年間取引報告書や源泉徴収票を見ながら、数字をうちこんでいくだけで作成できます。
できた書類を税務署に持参するか、郵送すれば確定申告は完了となります。
郵送の場合、不安であれば控えと返送用の封筒を同封すると、手続き印を押印して返送してくれます。
各種控除についても入力を忘れないようにしましょう。
作成方法が分からない場合は税務署に連絡すると丁寧に教えてもらえます。
ただ、確定申告の時期は税務署も混み合いますので、早めに作業に取り掛かることをおすすめします。
https://www.keisan.nta.go.jp/h28/ta_top.htm#bsctrl
まとめ
「源泉徴収ありの特定口座で取引をしているから確定申告は必要ない」と思っている人もいることでしょう。
もしトータルで損を出しているのであれば、そのまま見過ごさずに確定申告をしてみてください。
税金が戻ってきたら嬉しいですよね。
ご自分の取引内容をよく確認し、申告漏れのないようにしていただきたいと思います。