ファンドマネージャーも手を焼く恐怖(VIX)指数を攻略する3つの方法

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投資家心理を表す指標とされる恐怖指数は、相場全体の流れを掴み、リスクを回避し、利益を狙うために活用されています。

この記事では、恐怖指数(VIX指数)の概要と、その活用法について解説していきます。

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1、恐怖指数とは?

恐怖指数(VIX指数)とは簡単にいえば、リーマンショックのようなことが起こり、相場の先行きに対して投資家の不安が大きくなったり、動揺してパニックになると数値の上がる指数です。

正式にはVolatility Index(ボラティリティ・インデックス)といい、アメリカのシカゴ・オプション取引所(CBOE)が、アメリカの代表的な株価指数であるS&P500を対象としたオプションのプレミアムの値動きをもとに算出し、公表しています。

ここでオプションについて簡単に説明すると、オプションとは将来のある時点に、ある商品を今決めた価格で売買する権利のことです。

その権利を買うために必要なお金をプレミアムと言います。

たとえば、ある商品を将来$100で買える権利(オプション)を$5のプレミアムをつけて買います。

その後、商品の価格が$120になっていても、約束の時点でオプションを行使すれば$100で商品を買うことができるのです。

その結果として、差額分の$15を利益にできる仕組みです。

もちろん価格がプレミアム以上に上がらなければ利益が出ないので、その商品の価格があまり上がらない(変動しない)と予想する投資家が多ければプレミアムは小さくなり、逆に大きく上がる(変動する)と予想する投資家が多ければプレミアムも大きくなります。

この価格の変動幅をボラティリティと言い、一般的にボラティリティが大きい商品ほどプレミアムも大きくなる関係にあります。

相場の先行きに対する投資家の不安が大きくなったり、動揺してパニック状態になると相場は乱高下し、それに伴ってボラティリティが拡大します。

つまり恐怖指数とは、相場のボラティリティに連動するプレミアムの値動きを、投資家の不安や恐怖といった心理状態の変化に置き換えて指数化したものなのです

2、恐怖指数の特徴

恐怖指数は相場のボラティリティが大きくなる、つまり相場が荒れると数値が大きくなるという特徴があります。

株価との関係では、一般的に株価急落時には恐怖指数は上昇し、相場が落ち着き株価が上昇に転じれば恐怖指数は低下する逆相関の関係がみられます。

不安定な相場状況(≒株価急落時)=VIX指数上昇

平常時であれば10〜20の間を推移する恐怖指数は、リーマンショックやブレクジットといった大きなリスクイベントが起こると、急上昇します。

しかしそのまま高止まりするということはなく、いずれ平常時の水準に戻るという特徴があります。

この特徴は恐怖指数を理解する上での重要なポイントです。

恐怖はいつまでも続かない=恐怖指数はいずれ平常時の水準に戻る

Yahoo Finance CBOE Volatility Index

 

発生月 原因 VIX指数最高値
1997/10 アジア通貨危機 38.2
1998/8 ロシア通貨危機 45.7
2001/9 アメリカ同時多発テロ 43.7
2002/7 エンロン不正会計事件 45.1
2008/9 リーマン・ブラザーズ破綻  42.2
2008/10 リーマンショック後の世界金融危機  89.53
*過去最高値
2011/3 東日本大震災 22.8
2011/10 ギリシャ危機 46.9
2015/8 チャイナショック 40.0
2016/6 ブレクジット(英国EU離脱決定) 24.9
2016/11 アメリカ大統領選・トランプ氏勝利 21.3
2018/2 VIXショック 50.3
*変動幅は過去最高

3、恐怖指数を活用した投資方法3選

恐怖指数はあくまで指数であって現物の商品はないため、実際には恐怖指数を対象とした先物やオプション、その先物・オプション価格に連動するETFなどの商品を購入して取引を行います。

(1)恐怖指数が急上昇したタイミングで空売りする(VIXショート投資・暴落相場)

恐怖指数を活用して利益を上げる最も基本的な方法が、恐怖指数が急上昇したタイミングで、VIX先物あるいはVIXのコールオプション、VIX指数連動型ETFを空売りするという方法です。

恐怖指数の「いずれ平常時の水準に戻る」という特徴により、指数が急上昇した後には、比較的短期間のうちに必ず下がるタイミングが訪れます。

いずれ下がるとわかっているものを高値で売り、下がったタイミングで買い戻して利益をあげる。

いたってシンプルな方法と言えます。

しかし、恐怖指数が急上昇している状況では、多くの投資家が恐怖や不安に包まれています。

そのような状況で、この方法を取れる投資家はあまりいません。

そこにチャンスがあるのであり、恐怖に打ち勝ち立ち向かった投資家に利益がもたらされるのです。

もちろんどこまで指数が上昇するかはわからず、リーマンショック時のような事態も想定したリスク管理も必要となります。

(2)VIX連動型ETFを長期保有(ショート投資・安定相場)

恐怖指数の動きに連動した値動きを目指すVIX指数連動型ETF(・ETN)は、相場が落ち着いているときには価格が下がり続ける「減価」という特徴を持っています。

そのため基本的には長期投資には向かない商品とされます。

しかし空売りであれば値下がりによって利益が出るため、ショート(売建)ポジションの長期保有して利益を狙うことが可能となります。

またVIX指数とは逆の値動きを目指すベア型(インバース型)ETFもあり、この場合にはロング(買建)ポジションを長期保有することで利益が狙えます。

ただしリスクイベントや株価の急落などが起こればVIX指数は急騰し、大きな損失を被るリスクがあります。

今年2月に起こったVIXショックでは、ベア型(インバース型)ETFが大暴落し、市場は一時騒然となりました。

「NEXT NOTES S&P500 VIX インバースETN(2049)」(2018/2/21償還)の価格は、1日で96%下落して強制償還となるなど、致命的な損失を被った投資家もいたものとみられます。

Yahoo Finance NEXT NOTES S&P500 VIX インバースETN

長期にわたって世界的に景気拡大・株価上昇が続き、投資家に安心感が広がっていたなかでの株価急落は恐怖指数を急上昇させ、このような事態を招きました。

上昇相場だけでなく、値動きの小さい安定相場でも利益を狙えるのはVIX連動型ETFの魅力です。

しかし相場急変時のリスクの大きさについてはよく理解しておかなければなりません。

(3)リスクヘッジ商品としての活用(ロング投資)

上記2つの投資方法は利益を狙う方法ですが、株価と逆相関関係があり、株価急落時に価格が上昇するVIX関連商品はリスクヘッジ商品としても利用されます。

恐怖指数は先行指標ではないため、突発的なリスクイベントが起こってから買うのでは間に合いません。

しかしリスクイベントが近付いていると察したときには、リスク回避(ヘッジ)するため、さらにはリスクをチャンスに変えるための有効なツールとなります。

このように、恐怖指数(VIX指数)は、ショート・ロングのいずれでも活用できる指標であり、関連商品をうまく活用すれば、どのような相場局面でも利益を狙うことができます。

4、恐怖指数をリスクヘッジと利益獲得に活用するヘッジファンド・投資会社

ヘッジファンドは、相場環境に関わらず絶対的な収益の追求を目的としています。

相場全体が下落していたとしても言い訳にはならず、むしろ収益機会にするくらいでなければなりません。

ここで恐怖指数の出番です。相場環境の悪化によるリスクを回避(ヘッジ)し、収益機会へと変えるため、恐怖指数(とその関連商品)がヘッジファンドによって活用されています。

一般的に恐怖指数関連商品は相場の急落に備え、損失回避(ヘッジ)を目的として用いられます。

しかし、相場の下落局面を予想し、恐怖指数関連商品を利用して積極的に利益を狙いにいくヘッジファンドもあります。

今年2月に株価が急落した際には、米国に本拠を置くヘッジファンド・アイベックス・インベスターズは、元手の20万ドルから1750万ドルを稼ぎだすという驚異のトレードを実現しました

そのリターンは実に8,600%。ボラティリティが低下し、安定した相場に安心しきっていた投資家が、急落によって慌てふためくなか、いずれ急落が起こると予想し、恐怖指数関連商品への投資により巨額の利益をあげたのです。

一般的なファンドでは、ロング(買建)ポジションでの投資が基本となります。

それに対してヘッジファンドでは、恐怖指数関連商品をはじめとしてショート(売建)ポジションも積極的に活用されます。

ヘッジファンドが相場環境に関わらず絶対的な収益を実現できる要因はここにあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

投資家心理を図る指標として、またリスクヘッジや株価下落局面で収益を得るために活用される恐怖指数。

相場の状況に応じて、ロング(買建)でもショート(売建)でも収益を得られるのも大きな特徴と言えます。

特にヘッジファンドや投資会社においては、恐怖指数やその関連商品が積極的に活用されており、相場環境によらない絶対収益の追求、そしてリスクを回避(ヘッジ)しながら資産を守るという目的を果たすため、重要な役割を担っています。

ときに投資家を惑わすこともある指標ですが、その動きには一定の規則性があります。

その仕組みとリスクを理解した上で、投資にうまく役立てていただければ幸いです。

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証券会社、生損保代理店での勤務を経てファイナンシャルプランナーとして独立。

(保有資格)1級FP技能士・証券外務員一種
(試験合格)宅建士・行政書士

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