ここ数年で、日本でも恒例のイベントとして定着したハロウィン。
10月末になると若者が外で仮装をしてどんちゃん騒ぎというのは、もはや珍しい光景ではありません。
視点は変わって、我々株式投資家が注目したいのはこういったイベントによって発生する特需、そしてそれによってどんな企業が恩恵を受けるか、ということです。
こういったイベントをトリガーにした関連企業の株価上昇が見られるケースは少なくなく、東京ゲームショウのような大型イベントの前後で株価が大きく動く銘柄が出てきたり、猛暑の夏にはクーラーやアイスを扱う企業の株価が動意したり、といった事例も見られます。
今回は年々拡大しつつあるハロウィン市場について見ていくとともに、ハロウィンによってどんな企業が恩恵を受けるのか、といったことについてチェックしていきましょう!
1、ハロウィンの現状と市場規模
まずハロウィンが過去と比べてどれだけの盛り上がりを見せてきているのか、Googleトレンドを使って確認してみました。
Googleトレンドは横軸に年月日、縦軸に人気度(≒検索数)を表したものですが、2004年は小さな人気度だったハロウィンが、2015年10月になるとかなりの検索数を誇って重大イベントの一つとなっていることが分かります。
お菓子メーカーの戦略なのか、若者のトレンドが変化したのか、その真因は不明ではありますがここ数年で爆発的な人気となっていることが見てとれます。
一般社団法人日本記念日協会によると、2017年のハロウィンの推計市場規模は約1300億円。
Googleトレンドからも分かるように一旦その人気はピークアウトしつつあるものの、同協会の調査によるバレンタインデーの市場規模が同水準であることを考えると、かなり大きなマーケットだと言えるのではないでしょうか。
出典:記念日文化研究所
若者の個人消費を中心に、経済活動を活発化させてくれるハロウィン。
そこから恩恵を受けそうな関連企業を次の項目で見ていきましょう。
2、ハロウィン関連銘柄
ハロウィンと言えば仮装、お菓子、パーティーなどの需要が高まりそうです。
そこで、それぞれのカテゴリーでいくつかの関連銘柄をピックアップしてみました。
(1)仮装・コスプレ
ハロウィンの代名詞とも言えるのが仮装・コスプレ。
主に関連する5銘柄はキャンドゥ <2698>、ワッツ <2735>、セリア <2782>、ドンキホーテHD <7532>、ヴィレッジヴァンガード <2769>となっています。
① キャンドゥ <2698>
株価時系列 キャンドゥ <2698>
キャンドゥは100円ショップ第三位、店舗数約1000店を全国に持っています。
100円ショップの店頭に季節の商品が並んでいるのをよく見かけますが、ハロウィンも例外ではなく、時期が来るとホームパーティー用・仮装用両方で需要が高まりそうです。
② ワッツ <2735>
株価時系列 ワッツ <2735>
ワッツはキャンドゥに次ぎ、100円ショップ第四位の会社です。
日本におけるハロウィンの聖地と言っても過言ではない渋谷にも3店舗を構えています。
③ セリア <2782>
株価時系列 セリア <2782>
生活雑貨中心のセリアはキャンドゥ、ワッツの上に立つ100円ショップ第二位です。
(第一位はダイソーを運営する大創産業ですが非上場)。
「セリア ハロウィン」で検索すると売り切れになっている人気商品もあるようで、月次売上に少なからず影響してくることが予想されます。
④ ドンキホーテHD <7532>
株価時系列 ドンキホーテHD <7532>
ハロウィンの中心地となるであろう新宿・渋谷に、大型店舗を構えるドンキホーテHDはこういったイベントの大本命です。
店内だけでなく店頭にも大量の商品を陳列していますが、ハロウィン前~ハロウィン当日は大きな盛り上がりを見せ、売上にも貢献することが考えられます。
⑤ ヴィレッジヴァンガード <2769>
株価時系列 ヴィレッジヴァンガード <2769>
雑貨、中でもサブカルチャー的なアイテムを扱うのがヴィレッジヴァンガード。
ハロウィンやクリスマスにマッチした商品が多く売られており、パーティー用グッズなどもドンキホーテHDと同じく大きな需要がありそうです。
幅広いニーズに対応した商品を置いており、ハロウィン特需が見られる可能性もあります。
(2)お菓子
トリックオアトリート、という言葉はハロウィンの象徴ともいえるものです。
ハロウィンシーズンはさまざまな場面でお菓子が活躍するのではないでしょうか。
関連銘柄として挙げられるのは森永製菓 <2201>、グリコ <2206>、明治HD <2269>、モロゾフ <2217>、ブルボン <2208>の5銘柄です。
① 森永製菓 <2201>
株価時系列 森永製菓 <2201>
チョコボールやハイチュウが有名で、他にもDARSやエンゼルパイ、パックンチョなど多くのブランドを持っているのが森永製菓です。
② グリコ <2206>
株価時系列 グリコ <2206>
ポッキー・プリッツが主力製品です。
その他、アイスではGIANTシリーズやパピコが有名です。
③ 明治HD <2269>
株価時系列 明治HD <2269>
菓子大手で売上高は1兆円規模です。
(菓子事業は約200億円)きのこの山やガルボといったチョコレートのほか、グミ・スナックなどバラエティに富んだラインナップ。
④ モロゾフ <2217>
株価時系列 モロゾフ <2217>
洋菓子を中心に扱うモロゾフ。
ハロウィンフェアを毎年行っており、ボリュームたっぷりの小分けチョコレートの販売もしています。
⑤ ブルボン <2208>
株価時系列 ブルボン <2208>
プチシリーズやフィットチーネグミ、アルフォートが有名なブルボンは、ハロウィン向けの小分けお菓子を限定デザインで販売しています。
(3)アミューズメント
季節に応じてイベントを行っている各種テーマパークにも注目です。
仮装をOKにしているテーマパークもあり、ハロウィンブームに乗っかって来場者数を増やそうと各社戦略を練っているのではないでしょうか。
① OLC <4661>
株価時系列 OLC <4661>
東京ディズニーランド、東京ディズニーシーを運営するオリエンタルランドコーポレーション。
ハロウィンシーズンにはランド、シーともに特別イベント・限定商品を販売しており、一年の中でも人気のシーズンです。
② カプコン <9697>
株価時系列 カプコン <9697>
アミューズメント施設を運営するカプコン。
ゲームセンターもハロウィン効果で集客増が見込めそうです。
③ サンリオ <8136>
株価時系列 サンリオ <8136>
ハローキティやシナモロールなどキャラクターに強みを持つサンリオ。
サンリオピューロランド、サンリオハーモニーランドではハロウィンイベントが毎年行われており、老若男女問わず人気を集めています。
④ H.I.S <9603>
株価時系列 H.I.S <9603>
長崎のハウステンボスを運営しています。
ハウステンボスでも例に漏れずハロウィンイベントを行っており、一定の集客効果が期待されるところです。
⑤ 富士急 <9010>
株価時系列 富士急 <9010>
富士急ハイランドでは10月21日、22日、31日の3日間は仮装をすると入園料が無料になるなどのキャンペーンがあります。
その他フリーパスが安くなるなど、様々な取り組みを行っていることから入場者数増加に期待がもてます。
(4)飲食店
ハロウィンで騒いだ後にはそのまま飲食店へといった行動パターンも考えられそうです。
全国チェーンの居酒屋やファミレスなどを中心に5銘柄をピックアップしました。
① 鳥貴族 <3193>
株価時系列 鳥貴族 <3193>
格安居酒屋と言えば鳥貴族。若い層にも受けが良く、また都内に店舗を多く構えているためイベント時の人の集まりは良さそうです。
② 串カツ田中 <3547>
株価時系列 串カツ田中 <3547>
2018年6月から全席禁煙化を始めた串カツ田中。
全店の売上高は前年度を大きく上回るなど好調で、ハロウィン等のイベントは更なる客数増加に貢献することが考えられます。
③ ハブ <3030>
株価時系列 ハブ <3030>
ハブが運営する英国風パブチェーンのHUBはワールドカップやスポーツの世界大会の際に観戦イベントを行う店舗が多く、若者にも人気の高い店舗です。
ハロウィンの際もイベントを行うことが予想され、集客・客単価ともに高まりそうです。
④ サイゼリヤ <7581>
株価時系列 サイゼリヤ <7581>
安定のファミレスであるサイゼリヤ、ハロウィンで疲れた一休みの休憩場所としても使われるのではないでしょうか。
⑤ すかいらーくHD <3197>
株価時系列 すかいらーくHD <3197>
すかいらーくHDが運営するガスト、バーミヤン、ジョナサンなどにもサイゼリヤ同様に人が集まりそうです。
※チャートは全て10月10日時点のものになります。
まとめ
ここまで、ハロウィンの関連銘柄について見てきましたがいかがでしたでしょうか。
ハロウィン人気はやや頭打ちになりつつあるものの一定の盛り上がりをキープしており、今後も毎年恒例のイベントとなりそうです。
それにあわせて買われるような銘柄があるかどうか毎回チェックしてみるのも面白いかもしれません。