企業の成長に投資し、大きな利益を狙えるのがグロース投資の魅力です。
さまざまな投資手法をご紹介してきましたが、その中でもグロース投資は、将来の株価の上昇を予想できる楽しみがあります。
株式相場に必ず上がるという保証はありませんが、長い目で見て、企業の成長はとても楽しみに待ちたいものです。
企業の未来を予想する方法について、これからグロース投資を始める人ために、知っておきたいメリット・デメリット、そしてグロース株(成長株)の選び方をみていきましょう。
1、グロース投資とは?
グロース投資は成長株投資とも言い、その企業の成長に期待した投資手法です。
将来の業績の伸びによる株価の上昇から利益を得ることが目的であり、投資する銘柄は、その企業の手がけるビジネスの成長性や収益性の高さに着目して選ぶことになります。
その基本は業績と株価が右肩上がりの銘柄への順張り投資で、「株価のモメンタム(勢い)」は上向きであることが前提となります。
そのため株価にはその企業の成長が反映されているのが普通で、割安性の判断指標であるPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)から見れば、(超)割高といえる銘柄も少なくありません。
しかし割高と判断された株価に企業価値が追いつき、追い越していくことで株価を正当化しながら成長していくのが本当の「グロース株(成長株)」であり、これら割安性の判断指標は投資判断の基準にはなりません。
2、グロース投資における投資判断の基準
グロース投資における投資判断の基準としては、成長性の高さをみるために「売上高の伸び率」や「EPS(1株あたりの純利益)の伸び率」が用いられます。
さらに、集めた資金を効率的に使い利益を生み出せているか、うまく経営が行われているかといった収益性を判断する指標として「ROE(自己資本利益率)」も用いられます。
ポイント・目安 | ||
株価 | 株価のモメンタム (勢い) |
右肩上がりに上昇しているか。 業績の上方修正などポジティブサプライズが頻繁にあるか。 |
成長性 | 売上高の伸び率 | 市場予想を上回る伸びを示しており、その伸びが継続しているか。 過去3年売上高変化率:10%以上 |
EPSの伸び率 | 【当期純利益÷発行済み株式数】 市場予想を上回る伸びを示しており、その伸びが継続しているか。 |
|
収益性 | ROE | 【ROE(%)=当期純利益÷自己資本×100】 10%以上 |
このうちROEについては、3つの要素に分解して考えることができます。
売上高当期純利益率 | 売上高のうちどれだけが利益となっているかという企業の収益性をみる指標。 利益率の向上により大きくなる。 |
総資本回転率 | 資産(資本)を使って、その何倍の売上をあげることができているか、経営の効率性をみる指標。 売上の増加あるいは総資産の減少により大きくなる。 |
財務レバレッジ | 自己資本比率の逆数であり、財務状態の安定性をみる指標。 借入などにより総資産が増える、あるいは自己資本を減少させることにより大きくなる。 |
これら、いずれかの要素が大きくなればROEは高くなります。
ここで気をつけなければならないのが、ROEは利益率や売上高の増加によっても高くなりますが、借入を行って自己株式を買って消却するなど、借入比率を高め自己資本を減少させることでも高くなるということです。
つまり業績が振るわなくても、資本金が少ないことでROEが高くなっているような銘柄も中にはあるのです。
そのため、表面的にROEが高いというだけでは足りず、収益性の高さを示す「売上高当期純利益率」がどうなっているか、それが同業他社と比較して高いか、さらに業績(売上高・EPS)の伸びが伴っているかなどを総合的にみていくことがグロース株を見極めるためには必要となります。
3、グロース投資のメリット・デメリット
グロース投資は企業の成長に投資するため、その企業の成長次第では短期間に大きな利益を期待できるというメリットがあります。
一方で「期待」が外れた場合や相場全体が崩れたときには値崩れしやすいといったデメリットもあります。
(1)グロース投資のメリット
①企業の成長次第で大きな利益を期待できる
企業が成長すればするだけ業績や株価が伸びる可能性を秘めており、大きな利益が期待できます。
②株を買った直後から利益がでやすい
今まさに急成長している銘柄に投資するため、株価も右肩上がりに上昇して、株を買った直後から利益がでやすいと言えます。
もし買ってすぐに利益が出ないのであれば、外部要因による影響も考えられますが、成長が鈍化している、あるいはすでに株価に成長が織り込まれたなどの要因も考えられるため、一旦手仕舞うのが無難です。
③相場環境が好調であれば、市場平均を上回るリターン
成長期待の高いグロース株は、相場環境が好調なときには買われやすく、市場平均を上回るリターンを得やすい傾向があります。
④初心者にも馴染みやすい
グロース投資は、企業の成長に投資する(今後伸びる株を買う)という株式投資の基本といえる手法であり、初心者にも馴染みやすいです。
(2)グロース投資のデメリット
①「期待」が外れたときの反動が大きい
グロース株は、その銘柄の成長に「期待」して買われています。
つまり実現していない成長や利益を先回りして買っている状態にあります。
そのため業績が予想を下回ったり成長期待に陰りが見えたりすると、株価を支えていた「期待」が一気に剥がれ落ちることもあり、株価が急落することもあります。
当初描いていた成長シナリオが崩れた場合には、早めに見切りをつけるということもグロース投資では必要になります。
②高値掴みしやすい
グロース投資では、株を買う段階では指標的に株価が割高な状態であることが多いと言えます。
成長が続けば株価は正当化されていきますが、成長が続かなければ期待で上がっていた株を高値で買うことにもつながります。
特に成長の要因が一時的なブームや単発のヒット商品などであれば、株価がバブル状態となっており、株価が急落するリスクが高いこともあります。
このような株を高値掴みしてしまわないためにも、成長が継続的なものかを見極めることが重要になります。
③相場環境が悪化すると、値崩れしやすい
グロース株は相場環境が好調なときには買われやすい反面、相場環境が悪化すると、値崩れしやすい傾向があります。
そのためグロース投資を行う際には、企業の成長性とともに相場環境にも気を配り、リスク管理をしっかり行う必要があります。
4、グロース株(成長株)のスクリーニング方法
多くの銘柄の中からグロース株(成長株)を見つけ出すには、スクリーニングを用いるのも有効な方法です。
スクリーニング機能を利用することで、効率的に銘柄を絞り込むことができます。
スクリーニング条件としては、成長性の基準として「過去3年売上高変化率」や「今期経常利益変化率」、収益性の基準として「ROE」などを用います(スクリーニング項目はSBI証券のもの)。
またグロース株(成長株)には、新興市場銘柄・中小型株が多いため、スクリーニング条件に市場(JASDAQ・マザーズ・東証2部)や時価総額(300〜1,000億円程度)といった項目を追加しても良いでしょう。
スクリーニング項目 | スクリーニング条件の目安 | |
成長性 | 過去3年売上高変化率 | 10%以上 |
今期経常利益変化率 | 10%以上 | |
収益性 | ROE | 20%以上 |
5、グロース投資を実践する投資家のブログ
最後に、グロース投資で成功されている投資家さんのブログをご紹介します。
これからどのようにグロース投資を行っていけばいいかの指針となるはずです。
(1)成長株への長期投資
2013年から、日本株を対象とした成長株への長期投資を実践されているサラリーマン投資家のブログです。
実際に投資している成長株の内容や、成長株投資家としての視点からの相場の見方などが綴られています。
(2)成長株で億万長者
多くのマネー雑誌にも取り上げられている成長株個人投資家・AKIさんのブログです。
注目している銘柄や実際の売買記録などが公開されており、成功している成長株投資家がどのような銘柄に投資しているのかを知ることができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
グロース投資には高値掴みや、期待が外れたときに反落が大きくなりやすいといったリスクも伴います。
しかし企業の成長に投資し、その成長を喜びながら比較的短期間で大きな利益を狙える魅力ある投資手法でもあります。
グロース投資で資産も大きく成長させていきましょう。