日本の政策金利が空前の低空飛行を続ける中、海外の金融商品の利回りが魅力的に映る人は多いでしょう。
預金ひとつとっても、日本円で持っているのと外国の通貨に換えて持つのとでは大違いです。
今回は高利回りが期待できる外貨投資の種類やメリット、デメリットなどをお伝えします。
あなたはいくつ挙げられますか?外貨預金なら聞いたことあるけど、他に何があるの……?という人も、ぜひ最後までご覧ください。
1、外貨投資とは?
外貨投資とは、「外貨建て金融商品」に投資すること、つまり日本円以外のお金で運用することを言います。
一般的には日本円を海外のお金(外貨)に換え、その外貨で投資商品を買います。
商品を売ったり満期を迎えたりしたら、そのまま外貨で受け取るか、そのときの為替レートで日本円に戻して受け取ります。
主な目的は、日本円では買うことのできない魅力的な金融商品を買ったり、為替差で利益を生み出したりすることです。
日本以外の将来有望な国に投資する国債分散投資という側面もあります。
対象となる通貨はアメリカドルやユーロをはじめとして、韓国のウォン、カナダドル、イギリスのポンド、中国の元など、世界中が相手です。
南アフリカのランドやトルコのリラなどは、高金利通貨として一部の投資家に根強い人気があります。
2、外貨投資のメリット・デメリット
(1)外貨投資のメリット
①高金利
超低金利の時代の中で、実は外貨投資ですと4%、5%という高水準のものがあります。
②為替レートの動きでリターンを狙う
外貨投資は、為替レートの変動がメリットでもあり、またデメリットでもあります。
例えば購入したアメリカの株式が10%値上がりしたときに、日本円に対するアメリカドルの相場も10%上がったら合わせて約21%のリターンとなります。
しかし逆にドルが10%下がったら、-1%になってしまうのです。
(2)外貨投資のデメリット
①為替差損のリスク
為替が円高になると「為替差損」になる点は注意が必要です。
②為替手数料
ほぼ確実に発生するデメリットは為替手数料です。
安い金融機関ではアメリカドルの場合数銭で済むところもありますが、銀行の為替預金などは、片道一円のところもあります。
100万円に投資でかかる手数料が1万円位取られるのは考えものです。
3、外貨投資の商品の種類は?
外貨投資には、次のような種類があります。
(1)外貨預金
日本円をアメリカドルやユーロなどの外貨に換えて預け入れます。
金利は現地の水準に合わせて支払われます。
普通預金や定期預金、積み立て預金などがあります。
銀行や信用金庫などが取り扱っています。
利息:源泉分離課税
為替差益:総合課税(雑所得)
(2)外国預金
海外の銀行に口座を開いて預け入れる方法です。
外国人が口座を開設するハードルは多くの国で上がっていますが、香港やカンボジアなどは比較的受け入れられやすいようです。
利息課税:国によって異なる
為替差損益:総合課税(雑所得)
(3)外貨MMF
外貨MMFのMMFは「マネー・マーケット・ファンド」の略。
投資信託の一種ですが、安全性の高い短期証券で運用されるため預金に近い性格を持っていますが、利回りは若干高い傾向にあります。
収益分配金:源泉分離課税
為替差益:申告分離課税(譲渡所得)
(4)外国為替証拠金取引(FX)
預け入れた日本円を証拠金として、さまざまな通貨の組み合わせを売買できます。
最大で証拠金の25倍までという高いレバレッジで取り引きができるのが特徴で、短期的なトレードを好む人も多くいます。
売買差益、受取スワップ:申告分離課税(雑所得)
(5)外国投信
日本の投資信託は日本の法律に則って販売・運用されていますが、海外の法律に則って作られたものを外国投資信託と呼びます。
国内の仲介業者が取り扱っていることがあります。
収益分配金:源泉分離課税
売却益:申告分離課税(譲渡所得)
(6)外国債券
海外で発行される国債や地方債、社債などのことで、中には日本円で償還されるものもあります。
利子:源泉徴収
譲渡益、償還差益:申告分離課税(譲渡所得)
(7)外国株式
外国の証券市場に上場している株式です。
アメリカ、イギリス、ドイツ、韓国、ベトナム、上海など世界のさまざまな国や地域の株式が日本の証券会社でも買うことができます。
配当:源泉分離課税
売買益:申告分離課税
4、外貨投資の手数料と税金は?
外貨投資は商品にもよりますが、売買手数料そのものの他に、為替手数料がかかるので注意しましょう。
外貨預金の為替差益は雑所得(総合課税)となりますが、FXの場合は同じ雑所得でも申告分離課税です。
外国株式や外国債券は、基本的に国内の投資と同じように扱います。
各商品によって異なる場合がありますので、事前に確認をするようにしましょう。
総合課税:他の所得と合算(申告が必要)
源泉分離課税:受取時に税金分は源泉徴収(申告は不要)
申告分離課税:他の所得と分けて計算(申告は不要)
5、利回りで選ぶなら外貨投資MMF!取扱い会社比較
外貨MMFは元本保証ではないものの、価格変動の少ない債券で運用するため、外貨建ての下落リスクが非常に低いのが特徴です。
それでいて利回りは外貨預金よりも高いことが多く、おすすめできる外貨投資です。
運用するためにはまず証券会社に口座を開く必要がありますが、どのようなところを選べばよいのでしょうか。
(1)取扱銘柄で選ぶ
取り扱っている銘柄が多ければ、それだけ魅力的な商品が見つかる可能性が高いということ、SBI証券はアメリカドルだけで4本のラインナップがあり、高金利なトルコリラや南アフリカランドなども揃えています。
(2)手数料で選ぶ
意外と見落としがちな手数料。
必ずかかるコストなので、取引回数を積み重ねるほどにリターンに影響します。
業界最安クラスのカブドットコム証券は、コストパフォーマンスに優れています。
6、今人気の外貨投資「積立FX」のしくみとメリット・デメリット
FXというと、どうしても短期的な投機取引を思い浮かべるかもしれません。
最近は長期投資を前提とした積立FXが広がりつつあります。
(1)積立FXとは
「毎月1万円分」「毎日1000円分」など、一定期間ごとに一定金額の外貨を自動的に購入できる金融商品が積立FXです。
よく似たサービスに外貨積立がありますが、FXなのでレバレッジを効かせられます。
最低限の元手でコツコツと外貨投資ができる方法として、密かに人気をあつめています。
(2)積立FXのメリット
レバレッジ以外に、外貨預金にはない外貨FXのメリットとして挙げられる点はスプレッド(為替手数料)の低さです。
前述のとおり外貨預金は1円程度かかることがありますが、積立FXは数銭です。
(3)積立FXのデメリット
通常のFXはアメリカドル/ユーロなど多彩な通貨の組み合わせに対応していますが、積立FXは基本的に日本円を売って外貨を買う取り引きにしか対応していません。
7、外貨投資はじめる前におすすめの本3選
さらに詳しく知りたい人は以下の本を参考にしてみてください。
(1)外貨投資をやさしく教えてくれる本
著者の今井雅人さんは、銀行勤務時代の15年間一度も年間損益がマイナスになったことのない敏腕トレーダーです。
実務的な手法だけでなく外為市場の基本的なところも詳しく解説しており、初心者からあらためて体系的に学びたい経験者まで幅広く親しまれています。
(2)投資フロンティアを広げる外貨攻略法 外貨投資編
マネー本のベストセラーをいくつも生み出しているカリスマ内藤忍さんの資産設計塾第3弾です。
外国株式や債券、外貨MMF、FXなど、過去のデータを詳細に分析して紹介しています。
(3)かしこい私の外貨投資
人気マンガ家、桜沢エリカさんによる入門書です。
「外貨投資って何?」という人でも気軽に学べます。
まとめ
外貨投資は海外の通貨建てで投資する手法を言い、世界の金融商品に幅広く投資できたり、高い利回りを得られたりするのが魅力です。
特に最近は価格変動リスクが低く利回りが高めの外貨FXや、少額から積立ができる積立FXが人気です。
今回の記事で、外貨投資に興味をもっていただけましたら幸いです。