熱中症対策とサマーストック(猛暑関連)銘柄25選

7月23日、埼玉県熊谷市で国内観測史上最高の41.1℃となり、5年前の2013年8月に高知県四万十市で観測された41.0℃の記録を更新しました。

熱中症とみられる症状で救急搬送者が相次ぎ、多数の死者も出ています。

気象庁はこの暑さを「命の危険がある災害」であるとの認識を示し、警戒を呼びかけています。

この記事では、今年の猛暑の状況と熱中症への対策、さらに猛暑に関連して注目されるサマーストック(猛暑関連)銘柄についてみていきます。

1、全国で最高気温40度超え!災害レベルの猛暑

熊谷市で最高気温が記録された日、東京・青梅市では40.8℃、都内では観測史上初の40℃超えを記録しました。

岐阜県多治見市でも40.7℃と、各地で40℃を越える、まさに記録的な猛暑となっています。

(引用:日本経済新聞

18〜23日までに熱中症とみられる症状で亡くなったのは、少なくとも30都府県で94人(毎日新聞による集計)に上り、16~22日までに全国で救急搬送された人の数は22,647人(消防庁・速報値)と、昨年の同時期に比べ3倍を超えました。

気象庁は“暑さ”に対して異例の会見を行い、今回の猛暑を「命の危険がある暑さ。一つの災害」として警戒を呼びかけています。

7月中旬の平均気温は、関東甲信や東海、近畿などで幅広い地域で、1961年の統計開始以来最も暑くなっています。

気象庁の会見では、暑さのピークは9月上旬まで複数回ある可能性も示されており、引き続き警戒が必要と言えます。

2、熱中症予防のための指標「暑さ指数」熱中症の症状~応急処置方法

日本は湿度が高く、実際の気温に比べ体感温度が高いとされ、熱中症にかかるリスクが他の国に比べても高いと言われています。

(引用:https://twitter.com/mugitaro_comics/status/1019620914760019968

(1)熱中症の危険度の目安となる「暑さ指数(WBGT)」

熱中症予防のため、環境省では2006年から、国際指標「暑さ指数」を算出し、気温に加え、湿度、物体が出す熱も含めて、熱中症の危険度を5段階で公表しています。

全国の暑さ指数(現在値・予測)

 

気温が同じでも湿度が高い方が熱中症のリスクは高くなる

暑さ指数が厳重警戒(28℃)レベルに達すると、熱中症患者は急増する

(引用:環境省 熱中症予防サイト

①暑さ指数(WBGT)

“暑さ指数(WBGT(湿球黒球温度):Wet Bulb Globe Temperature)は、熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標です。

単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されますが、その値は気温とは異なります。

暑さ指数(WBGT)は人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、人体の熱収支に与える影響の大きい1、湿度、2、日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境、3、気温の3つを取り入れた指標です。

(引用:環境省 熱中症予防サイト

②日常生活に関する指針

(引用:日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針Ver.3」(2013))

③運動に関する指針

部活動中の死亡事故などは度々ニュースとなっています。

運動を行う場合には、休息や水分補給を意識的に行い、状況に応じて運動を中止する判断も大切です。

(引用:日本スポーツ協会 熱中症予防のための運動指針

この暑さ指数は、熱中症のリスクを判断する目安となりますが、体調などによってより低い値でも熱中症となる可能性も十分あります。

そのため、暑さ指数が低くても油断は禁物です。

(2)熱中症予防のための対策

まずは熱中症にならないこと、それには休息や水分補給など、基本的な対策を、“症状が出る前”に“意識的”に行うことが大切です。

(引用:環境省 熱中症予防サイト

(3)熱中症の症状と応急処置方法

熱中症になると、まず手足のしびれやめまい、足がつる(こむら返り)などの症状が出ます(重症度Ⅰ度)。

頭痛や吐き気、倦怠感などがあれば、より症状は進行しています(重症度Ⅱ度)。

このような症状がある場合でも、意識がしっかりした状態であれば、涼しい場所へ移動し、体を冷やし、休息・水分補給を行うことで、多くの場合は回復します。

自力で水分補給ができない、あるいは症状が改善しないようであれば、医療機関を受診して適切な処置を受けましょう。

呼びかけに応えることができず、意識がないようであれば(重症度Ⅲ度)、かなり危険な状態です。

躊躇せず救急車を呼ぶことが、命を守ることにつながります。

救急車が到着するまでは、涼しい場所へ移動し、体を冷やすなどの応急処置を行いましょう。

ただし、窒息などの危険があるため、意識がない状態で水を飲ませてはいけません。

(引用:環境省 熱中症予防サイト

(引用:環境省 熱中症予防サイト

3、暑さ対策別!サマーストック25選

今月27日までに厚生労働省は熱中症対策のため、今年4月から生活保護受給を開始した世帯のうち、高齢者や子どもがいるなど一定の要件を満たした世帯に、5万円を上限としてエアコン購入費用の支給を認める決定をしました。

生活保護受給世帯でも、日用品や家具などは支給される生活保護費をやりくりして購入するのが原則です。

受給開始直後や災害時など、例外的に支援が行われることもありましたが、これまでエアコンは対象となっていませんでした。

しかしこの“災害級”の暑さに対しては、国も動いたようです。

あまりの暑さでエアコンの故障などが相次ぎ、家電量販店などでも、修理や買い替えの相談が相次ぎ、在庫が不足するような状況となっています。

そのほかコカ・コーラボトラーズジャパンは、スポーツ飲料「アクエリアス冷凍ペット490ml」の販売を北海道・沖縄を除く地域で21日から休止しています。

大塚製薬の「ポカリスエット」は一部の小売店で入荷待ち状態(時事通信社)となるなど、予想を上回る猛暑特需により影響はさまざまな業種に及んでいます。

気温とともにサマーストック(猛暑関連銘柄)の株価は上昇することが多いのですが、今年の猛暑についてはすでに株価には織り込まれているとみられ、今からでは高値掴みの可能性もあります。

ただ猛暑による特需は季節要因であり、関連銘柄を押さえておけば来年以降もチャンスがやってきます。

ここでは、注目しておきたいサマーストック(猛暑関連銘柄)を暑さ対策別にみていきましょう。

(1)家電

①ダイキン工業

(6367)ダイキン工業株価
(2018/7/27 終値)13,415円
エアコンの世界トップメーカー、国内業務用機では圧倒的シェア。猛暑による新規・買い替え特需が期待できる。
 

②富士通ゼネラル

(6755)富士通ゼネラル株価
(2018/7/27 終値)1,708円
『ノクリア』シリーズを主力とするエアコンメーカー。猛暑による新規・買い替え特需が期待できる。
 

③山善

(8051)山善株価
(2018/7/27 終値)1,166円
機械・工具・住宅設備・家庭用機器などを扱う大手専門商社。自社ブランドの扇風機なども取り扱っている。
 

④ビックカメラ

(3048)ビックカメラ株価
(2018/7/27 終値)1,749円
大手家電量販店。エアコンなどの猛暑による新規・買い替え特需が期待できる。
 

⑤ケーズHD

(8282)ケーズHD株価
(2018/7/27 終値)1,295円
大手家電量販店。エアコンなどの猛暑による新規・買い替え特需が期待できる。
 

(2)紫外線対策

①テイカ

(4027)テイカ株価
(2018/7/27 終値)2,443円
酸化チタンや界面活性剤などの化学工業薬品を製造・販売するメーカー。酸化チタンはUVカット化粧品などに使用され、紫外線対策ニーズの高まりによる特需が期待できる。
 

②資生堂

(4911)資生堂株価
(2018/7/27 終値)8,491円
大手化粧品メーカー。紫外線対策ニーズの高まりにより、UVケア商品の売上アップが期待される。
 

③花王

(4452)花王株価
(2018/7/27 終値)8,403円
トイレタリー製品の国内トップメーカー、化粧品分野でも大きなシェアを持つ。紫外線対策ニーズの高まりにより、UVケア商品の売上アップが期待される。
 

④ムーンバット

(8115)ムーンバット株価
(2018/7/27 終値)942円
傘のトップメーカー。紫外線対策として日傘に特需が期待される。最近では女性だけでなく“日傘男子”も増えている。
 

(3)冷感グッズ

①マンダム

(4917)マンダム株価
(2018/7/27 終値)3,610円
『ギャツビー』『ルシード』など男性用化粧品に強みを持つ化粧品メーカー。猛暑で制汗剤や汗拭きシートなどの需要増加が期待される。
 

②アース製薬

(4985)アース製薬株価
(2018/7/27 終値)5,830円
大塚製薬グループ、防虫剤や殺虫剤などに強みを持つ製薬会社。傘下の白元で『アイスノン』を取り扱っており、寝苦しい熱帯夜が続くことで需要の増加が期待できる。ただし35℃を超えると蚊の動きが鈍るといわれており、今回の記録的な暑さは、主力製品でもある蚊取り製品にはマイナス。
 

③小林製薬

(4967)小林製薬株価
(2018/7/27 終値)9,600円
芳香消臭剤では国内トップシェアを誇り、特色ある医薬品や健康食品などの開発に定評がある。『熱さまシート』は、発熱時だけでなく暑さ対策としての需要も期待される。
 

(4)水分補給

①伊藤園

(2593)伊藤園株価
(2018/7/27 終値)5,160円
『お〜いお茶』などお茶飲料の最大手。猛暑による特需が期待される。
 

②アサヒビールHD

(2502)アサヒグループHD株価
(2018/7/27 終値)5,569円
『スーパードライ』ビール類国内トップシェア。傘下にはカルピスなど。猛暑では、ビールなどの特需が期待される。
 

③プレミアムウォーター

(2588)プレミアムウォーター株価
(2018/7/27 終値)1,291円
富士山天然水を製造・販売し、宅配水事業も展開。猛暑により販売や新規契約の伸びが期待される。
 

④ナック

(9788)ナック株価
(2018/7/27 終値)986円
ダスキンの最大手代理店。現在は住宅販売事業が売り上げの半分を占めるが、『クリクラ』の宅配水事業も展開する。猛暑により販売や新規契約の伸びが期待される。
 

(5)冷菓

①江崎グリコ

(2206)江崎グリコ株価
(2018/7/27 終値)5,240円
大手菓子メーカー。冷菓ではトップシェアを誇り、猛暑による特需期待は大きい。
 

②井村屋グループ

(2209)井村屋グループ株価
(2018/7/27 終値)3,655円
和菓子メーカーから創業。現在は肉まん・あんまん、冷菓『あずきバー』などが主力商品。猛暑による売上増加が期待される。
 

(6)吸汗・速乾衣料

①ファーストリテイリング

(9983)ファーストリテイリング株価
(2018/7/27 終値)48,680円
『ユニクロ』『GU』などを展開する大手アパレル企業。保温性インナー『ヒートテック』があまりにも有名ですが、速乾性・冷感性インナー『エアリズム』もあり、猛暑による売上増加が期待されます。
 

②クラレ

(3405)クラレ株価
(2018/7/27 終値)1,560円
高機能樹脂(ポバール)やフィルムなどを製造する化学製品メーカー。吸汗性・速乾性に優れた合成繊維『ソフィスタ』は冷感繊維として、需要増加が期待されます。
 

(7)熱中症対策

①サンコーテクノ

(3435)サンコーテクノ株価
(2018/7/27 終値)1,202円
機器をコンクリートなどに固定する特殊ネジや施工アンカーの最大手。電動工具や検知機なども取り扱っており、その中に暑さ指数(WBGT)を計測できる『黒球式熱中症指数計・熱中アラーム』も。熱中症への注目の高まりがらへ需要増加が期待されます。
 

②カンロ

(2216)カンロ株価
(2018/7/27 終値)4,050円
のど飴やグミなどをメインとする菓子メーカー。熱中症対策として『塩飴』などに注目が集まるか。
 

(8)ヒートアイランド対策・屋上緑化

①アサヒペン

(4623)アサヒペン株価
(2018/7/27 終値)186円
家庭用塗料国内最大手。屋外用遮熱塗料をラインナップし、ヒートアイランド対策として需要増加が期待される。
 

②日本道路

(1884)日本道路株価
(2018/7/27 終値)6,010円
清水建設系・道路舗装大手。特殊顔料により太陽光の赤外線を反射させ、蓄熱量を減少させる『シャットファルト』という舗装工法を持ち、ヒートアイランド対策に効果が期待される。
 

③川田テクノロジーズ

(3443)川田テクノロジーズ株価
(2018/7/27 終値)7,140円
鉄骨・鋼橋・PC土木・システム建築の総合大手。水やりが必要なく低コストに屋上緑化を可能にする、雨水循環型緑化システム『みどりちゃん』を扱う。
 

(チャートはSBI証券より)

4、サマーストックのスクリーニングサイト2選

上記で紹介した銘柄以外にも、猛暑による恩恵を受ける企業は多くあります。

以下の株式情報サイトを活用して、サマーストックを検索することができます。

(1)Kabutan

Kabutan

(2)みんなの株式

みんなの株式

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今後も当面は気温の高い状態が続き、熱中症には警戒が必要です。

気温の上昇によって売り上げの伸びるサマーストック(猛暑関連銘柄)には追い風といえるでしょう。

ただし、サマーストックは季節要因で予測がつきやすいこともあり、今年の猛暑についてはすでに織り込まれていると考えられます。

「麦わら帽子は冬に買え」という相場格言もあるように、来年以降に備えて準備しておきたいですね。

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