バリュー株の値上がり

バリュー株とは?見つけ方とバリュー株に投資すべきタイミング

  • 2018年3月5日
  • 2022年1月25日
バリュー株の値上がり

チャートや様々なテクニカル指標を駆使した投資手法がある中で、企業本来の価値に着目し、長い間安定した成果を出している投資手法があります。

それがバリュー株への投資です。

このバリュー株への投資によって莫大な財産を築いたのが、かの有名な伝説の投資家ウォーレン・バフェット氏です。

バリュー株投資は、企業の価値を正しく理解した上で、本来よりも安い価格で売られていると判断した企業の株(バリュー株)を買って利益を得るという、単純ですが、株式投資の基本ともいえる手法です。

ではバリュー株とはどのような株なのか、どうやって見つければいいのか。

この記事では、バリュー株投資をはじめるために知っておきたいポイントを解説します。

1、バリュー株(割安株)とは?

バリュー株(割安株)とは、その株(企業)の業績や将来性などからして、本来の価値よりも株価が割安な状態に放置されている株のことです。

チェーンの古本屋やフリーマーケットなどで、すごいレア商品がガラクタと一緒にワゴンセールで売られていることがあるのと同じような感覚だと言えます。

値段をつけたのが新人アルバイトだった、早く処分したかったなど理由は様々ですが、今付いている値段が必ずしもその価値を正しく表しているとはいえないのが株式市場(マーケット)です。

しかし市場の原理として、いずれ本来あるべき価格への修正が行われていきます。

これはレア商品を見つけた本来の価値を知る人が、専門店やネットオークションなどに持ち込めば、再び本来あるべき価格で市場に流通することになるのと同じです。

バリュー株投資とは、割安な状態で放置されているバリュー株を買い、市場が本来の価値に気づき、あるべき水準の株価まで上がるのを待って利益を得る投資手法です。

その株の企業本来の価値を見極め、それよりも安く株を買っていることから値下がりのリスクは相対的に低くなります。

また本来あるべき株価が利益確定の目安となり、売りを出すタイミングもつかみやすい投資手法です。

ただバリュー株には地味な株も多く(だから割安に放置されている)、市場が本来の価値に気づくまでに時間がかかることを覚悟しなければなりません。

したがってバリュー投資は長期投資が基本となります。

2、スクリーニングでバリュー株を見極める

多くの銘柄の中に埋れているバリュー株を見つけ出すには、条件を満たす銘柄を抽出できるスクリーニングが役立ちます。

その銘柄の株価が割安かどうかを判断する指標として代表的なものが、PERとPBRです。

(1)PER(株価収益率)

PER(倍)= 株価 ÷ 1株あたりの当期純利益

株価が1株あたりの純利益(利益からすべての経費を差し引いたあとの利益)の何倍の水準にあるかを表す指標です。

その企業の収益性(利益・業績)に対する株価水準を図るために用いられます。

同業他社のPERを下回る場合には、株価が収益性に対し割安だと判断するひとつの目安となります。

(2)PBR(株価純資産倍率)

PBR(倍)= 株価 ÷ 1株あたりの純資産

株価が1株あたりの純資産(すべての資産からすべての負債を差し引いて残る資産・解散価値)の何倍の水準にあるかを表す指標です。

その企業の資産価値に対する株価水準を図るために用いられ、PBRが低いほど株価が資産価値に対し割安ということが言えます。

PBRが1倍を下回るということは、その企業が解散した場合に株価より多くの払い戻し金がある状態です。

極端な話、株を買い占めてその企業を手に入れ、資産を全部売却することで利益が出せるのです。

そのような状態は普通ではなく、理論上はPBRは1倍を下回らないはずなのですが、中にはPBRが1倍未満の銘柄も存在します。

東証1部全銘柄の平均PBRは1.46倍(2018年1月26日時点)であり、この水準を下回れば現在の株価水準が割安だと判断する目安となります。

(3)その他の判断指標

そのほか、以下のような指標などもスクリーニングの条件として用います。

ROE

(自己資本利益率)

ROE(%)=(純利益÷自己資本)×100

資本を使い効率的に利益をあげているかを示す指標です。

企業の収益力を判断する要素となります。

時価総額時価総額=株価×発行済株式総数

企業の規模を評価する指標です。

流動性を判断する要素でもあります。一定規模以上の企業を投資対象とすることで流動性リスクの軽減を図ります。

自己資本比率自己資本比率(%)=(自己資本÷総資本)×100

企業の総資本(資産)に占める自己資本の割合で、財政状態の健全性や長期的な安全性を示す指標です。

企業の財務状況の安定性を判断する要素となります。市場に評価されるまでに、企業が倒産しては困ります。

(4)スクリーニング条件

バリュー株候補を抽出する際の各指標のスクリーニング条件の目安は以下の通りです。

バリュー株候補スクリーニング条件
(予想)PER市場平均×0.8以下
PBR市場平均×0.8以下
ROE8%以上
時価総額100億円以上
自己資本比率40%以上

スクリーニングは、各証券会社のスクリーニング機能や、FISCO(フィスコ)などのスクリーニング機能を利用すれば簡単に行うことができます。

FISCO スクリーニング・企業報

SBI証券 スクリーニング

スクリーニング の結果抽出された銘柄は、あくまでバリュー株「候補」です。

この候補銘柄の中から、業績や将来性、財務状態などを総合的にみて、その企業価値が株価に「正しく」反映されていないと判断できる銘柄だけがバリュー株と言えます。

3、バリュー株投資の売買タイミング

バリュー株を見つけ出すことができても、実際に投資しなければ利益は上がりません。

ではどのタイミングで売買すればいいのか、確認しておきましょう。

(1)バリュー株の買い時

バリュー株を見つけたのであれば、基本的には見つけた時点で買い時です。

なぜなら、すでに「割安」だと判断したわけですから、特に買わない理由はありません。

また企業の業績などに関わらず、なんらかの原因で相場全体が下がっている時も、買い時だといえます。

これは企業規模がある程度大きく、知名度もある「優良銘柄」には特に有効な買い時です。

企業規模が小さく知名度もないマイナーな銘柄は、相場が下がっても株価への影響は相対的に小さくなります。

(2)バリュー株の売り時

バリュー株の売り時は「割安」ではなくなった時です。

株価が上がり、その企業の本来の価値を反映する水準に近づけば、その時が売り時です。

逆に、想定よりも業績が伸び悩み、企業の価値が下がって現在の株価が適正水準となってしまった場合にも、その後の成長が期待できないようなら売り時といえます。

この割安ではなくなったことを判断するにも、上記のスクリーニングで用いた指標がひとつの目安となります。

4、バリュー株投資に役立つブログ3選

バリュー株投資を実践している投資家が運営しているブログをご紹介します。

(1)澤上篤人の長期投資家日記

澤上篤人の長期投資家日記

『澤上篤人の長期投資家日記』は、澤上篤人氏が運営するブログです。

澤上篤人氏は、大手プライベートバンク・ピクテの日本代表を長年務めた後、 さわかみ投資顧問(現 さわかみ投信)を設立し「さわかみファンド」を立ち上げました。

日本における長期投資・バリュー株投資のパイオニアであり、日本のウォーレン・バフェットともいえる人物です。

このブログでは、彼の投資に対する考え方などを知ることができ、バリュー株投資に限らず、投資を行う上で読んでおいていただきたい内容となっています。

(2)かぶ1000投資日記

かぶ1000投資日記

『かぶ1000投資日記』は、かぶ1000さんが運営するブログです。

かぶ1000さんは1988年から株式投資を始め、株式投資で生計を立てておられるベテランの個人投資家で、バリュー(割安)株投資主体の運用、中でも企業が保有する資産に注目した「アセット(資産)バリュー投資」を中心に3億円を超える利益をあげています(2017年末時点)。

ブログでは、かぶ1000さんの保有銘柄の状況や取引内容が公開されており、アセットバリュー投資における投資判断や売買のタイミングなどを学ぶ上でとても参
考になります。

(3)みきまるの優待バリュー株日誌

みきまるの優待バリュー株日誌

『みきまるの優待バリュー株日誌』は、みきまるさんが運営する株式投資ブログです。

みきまるさんは、株価が割安で、株主優待を実施している銘柄(優待バリュー株)に投資し、しっかりと利益をあげている個人投資家です。

ブログでは、有名投資家の投資手法や、みきまるさん自身が実践している「優待バリュー株投資」について紹介されています。

この「優待バリュー株投資」は優待目的での長期保有株主が多い優待株と、株価が割安なバリュー株という2つの特徴を持つ銘柄に投資する投資手法です。

株価が下がりにくい、中・長期的に値上がりが期待できる、株主優待という楽しみもあるため、なるべくリスクを抑えながら、気持ちにゆとりを持って株式投資を楽しみたい方にはぴったりの投資手法だと言えます。

5、2018年 バリュー株のゆくえは?

2017年は「アベノミクス」「トランプ相場」など1年に渡って世界的な株価上昇が続き、日経平均は約2割も上昇しました。

すでに株価の上昇している銘柄も多く、割高感から下落のリスクも高くなっています。

また利益を確定した資金も、割高な銘柄が増えたことで、次なる投資先が見つかりにくくなりつつあります。

このような相場状況の中で、バリュー株はその魅力をより増してくると言えます。

投資資金の行き場がなくなってくると、今まで見向きもされず放置されていたバリュー株に注目が集まる可能性が高まるからです。

また株価が割安なバリュー株は、株価が下落リスクも相対的に小さいという安心感もあります。

そのような点からも、2018年はバリュー株投資がその真価を発揮する年となることを予想しています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

バリュー株投資は、本来よりも割安な株を買って利益を得るという、株式投資の基本ともいえる投資手法です。

バリュー株であるかの判断には、PERやPBRなどの指標のほか、企業の業績や将来性、財務状態などの総合的な視点から企業の本来の価値を見極めることが最も重要なポイントとなります。

企業本来の価値を見極めてバリュー株を購入できれば、利益が出るまでには時間はかかるものの、低リスクで利益をあげることができるのです。

相場の動きなどに一喜一憂するのではなく、しっかりと腰を据えた投資で確実に利益を出して行きたい方には、バリュー株投資は最良の投資手法と言えるでしょう。

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