「物言う株主」とは?企業に求める彼らの戦略の7ポイント

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ニュースなどでも度々耳にする「物言う株主」。

最近ではTBSに対して、物言う株主からの物言い(株主提案)があったことでも話題となっています。

彼らはどのような存在であり、何を目的に活動しているのでしょうか。

投資を行う上で、彼らの動向はわたしたちにも影響があるのでしょうか。

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1、「物言う株主」とは?アクティブな動きを見せる株主の真実

物言う株主とは、アクティビストとも呼ばれています。

彼らは、株主としての権利を積極的に行使し、株主の利益を最大化するために会社に働きかけを行います。

一定数以上の株式を取得することで発言力を確保し、経営陣に対して、コストカットや事業再編、経営陣の交代など具体的な提案を行い、他の株主などを巻き込みながら、その提案の実現を目指します。

かつては、企業に敵対する姿勢を持つハゲタカファンドと言われるアクティビストも台頭し、良い印象を持たれないこともありました。

しかし、現在では経営陣との対話などを通して、企業価値を向上させ、株主利益を実現していくといった、友好的なアクティビストファンドが多くなっています。

2、TBSにも株主提案!企業への影響力を一段と強める「物言う株主」

2018年5月、イギリスのアクティビスト(物言う株主)から、TBS(東京放送ホールディングス・9401)に対して、保有する東京エレクトロン(8035)の株式を株主に還元するよう求める株主提案が行われました。

この提案をしたアクティビストとは、TBS株の2.09%を保有する運用会社アセット・バリュー・インベスターズ(AVI)です。

この株主提案の具体的な内容は、TBSが4.68%の議決権を持っている、東京エレクトロンの株式のうち、40%(金額にして600億円以上)を株主に現物で配当するように求めるというものです。

AVIの主張では、TBSの主力事業である放送事業に関連のない有価証券や、不動産、現金などが、資産総額の72%を占めていることが指摘されています。

中でも東京エレクトロンの株式は、TBSの資産総額の19%を占めています。

しかし、その保有目的や、価格変動のある特定株式へ資産を集中させるリスクに対して、合理的な説明がなされていないと言われています。

このような状況を改善するために、まずは保有する東京エレクトロンの株式を40%削減し、株主に還元せよというのがAVIの要求です(AVI・株主提案)。

TBS側は、東京エレクトロンからの配当金が重要な収益源となっていることや、提案に従った場合の課税負担が企業や株主の利益を損なうなどとして、提案に従わない姿勢を示しています(TBS・当社定時株主総会における株主提案に対する当社の考え方について)。

もともと東京エレクトロン(当時、株式会社東京エレクトロン研究所)は、昭和38年にTBSの関係会社として設立され、50年以上株式を保有してきたものです。

しかし、現在では付き合いで株式を持ち合う「相互保有株式」は、馴れ合いによって企業統治体制が機能し難くなるなどの問題が指摘されており、縮減する方向に進んでいます。

AVIの提案は、その流れにも沿った合理的なものであり、金融機関など他の株主の賛同を得やすいと言えます。

またスチュワードシップ・コード(コーポレートガバナンスの向上を目的とした機関投資家の行動規範)と企業統治(コーポレートガバナンス)の強化は、政策により推進されています。

それも後ろ盾となり、合理性に欠ける経営を行う企業は、今後ますます影響力を強めていくであろう物言う株主からの容赦ない物言い(株主提案)を覚悟しなければならないでしょう。

3、物言う株主の主な戦略

物言う株主の戦略には、主に以下のようなものがあります。

(1)株主利回りの最大化させる

この戦略では、必要以上のキャッシュを抱え込んでおり、保有する資産(資本)を効率的に使えてない企業に対し、配当の引き上げや自社株買いなどを行うよう提案します。

株主還元に振り向ける原資はすでに企業が保有していることが多く、比較的短期間のうちに、株主利回り(配当や自社株買いによる株価上昇による利回りの合計)を最大化するためのアプローチが用いられます。

(2)競合企業間での合併・統合

同じような製品やサービスを、同じ顧客層に提供している企業間の競争は、消費者にとっては、競争によって品質が向上し、価格が下がるといったメリットもあります。

しかし企業にとっては、競争により利益率が下がり、疲弊する原因ともなります。

この戦略においては、アクティビストは競合する企業間での事業統合や、企業合併などを提案します。

経営資源の共有、規模の経済でコストが下がり、収益性、生産性が向上する効果が期待されます。

(3)事業の分社化

相乗効果のない事業を多く抱える多角経営企業では、経営資源が分散してしまい、経営効率が下がる傾向があります。

企業全体の評価も下がりやすくなり、これはコングロマリット・ディスカウントとも呼ばれ、株価を押し下げる要因ともなります。

この戦略では、相乗効果の見込めない各事業を分離し、分社化するよう提案を行います。

これにより、事業ごとに最適な経営判断が迅速に行われるようになり、全体としての業績の最大化につながります。

(4)不採算部門の分離・経営資源の集中

この戦略では、不採算部門を分離して、廃止や売却などを提案し、経営資源を成長性の高い事業に集中させることで、株主利益の最大化が図られます。

これは本来経営陣が行うべきことではありますが、アクティビストがそれを促す形となります。

(5)コーポレートガバナンスの改善

この戦略では、株主利益を無視した経営陣の独断的な経営判断が行われ、企業価値が損なわれている企業に対し、経営陣の交代などによるコーポレートガバナンスの改善を要求します。

コーポレートガバナンスの改善により、損なわれていた企業価値を本来あるべき水準に回復させ、株主利益を高めることを目指します。

4、5%ルールから物言う株主の株価の動向を読む方法

上記のように、物言う株主は様々な戦略によって企業に働きかけを行いますが、その目的は、株主利益の最大化ということで一致しています。

そのため、物言う株主が目をつけた企業の株価は上がりやすく、その動向は注目しておきたいところです。

その動向を読む材料となるのが、「5%ルール」ともいわれる「大量保有報告制度」に基づいて提出される「大量保有報告書」です。

この大量保有報告書は、上場企業の発行済み株式の5%を超えて保有する株主が、内閣総理大臣(金融庁)宛に提出が義務付けられているものです。

提出後に保有割合が1%以上増減した場合や、保有目的が変更となった場合には変更報告書の提出が義務付けられています。

物言う株主は、投資先の企業に対して働きかけを行うため、徐々に株式を買い集めていくことが常です。

物言う株主として知られる投資家が大量保有報告書に登場すると、その後保有割合を高めるための物言う株主による買付や、それに便乗しようとする投資家の買い、さらに株主提案による企業価値の向上や、株主還元の拡大への期待による買いなどによって、株価が上昇しやすくなります。

5、相場に乗って儲ける?会社は誰のものか考える

日本では、会社は経営者や社員のものといった印象が強く、経営陣に株主が厳しい意見を言う、物言う株主はあまり馴染みにくい存在かもしれません。

また物言う株主というと、一世風靡した村上ファンドやライブドアなど、敵対的買収を仕掛けたり、利益を吸い上げたりするようなハゲタカファンドのようなイメージも、印象を悪くしている要因となっているようにも思います。

しかし、会社は株主のものです。

実際にその会社の株を買い占めてしまえば、その会社を手に入れることもできるのです。

とはいえ、株を買い占めるお金があっても、会社をうまく経営できるとは限らないのです。

そのため経営センスのある人に経営を任せているのです。

もし経営を任せた人がきちんと経営できていないと思うのであれば、経営者に意見をしたり、交代してもらうというのは、株主として当然の権利なのです。

それにより、会社が正しい方向へと変わって行くのであれば、物言う株主は歓迎すべき存在であり、その過程を通して私たち投資家にも利益がもたらされます。

そのため会社にとってメリットのある提案を行い、株主利益の最大化を目指す物言う株主であれば、結果的に企業価値は高まり、それに便乗するのも理にかなった投資だと言えるでしょう。

ただ物言う株主の中にも、自分たちの短期的な利益が目的で、長期的な会社の成長の目を潰してしまうような者もいます。

彼らは自分たちの利益が得られれば、売り逃げ、残された会社やそのほかの株主が不利益を被るということもあります。

物言う株主に便乗するのにも、彼らがどのようなスタンスで投資を行っているかを見極めることが大切です。

6.物言う株主(アクティビスト)の戦略についてさらに詳しく知りたい方へオススメの書籍

良い株主 悪い株主

本当の企業価値を高めるのは誰なのか?それは良い株主である。

では悪い株主とどう違うのか。

台頭するアクティビズム、エンゲージメントの強化、ガバナンス改革の先にある構造変化の本質を問う一冊です。

7、日本における「物言う株主」アクティビスト投資の先駆 投資会社M&S

M&Sは、投資家から資金を募り、物言う株主として、企業価値の向上を目的としたアクティビスト投資を行っている投資会社です。

外資系金融出身者やコンサルティング業界をはじめとするさまざまな業界のプロが集まったM&Sは、「強く意思のある投資で、世界経済にインパクトを与える」という企業理念のもと運用しています。

このような経営理念のもと、経営者や従業員との対話を行いながら、提言やサポートを行うことによって、企業の魅力やポテンシャルを最大限引き出し、企業との長期的な共存と成長を目指しています。

そんなM&Sは2017年10月に香港で開催された「AsiaHedge Awards 2017」で、New Fund of the Yearにノミネートされており、今最も勢いのある投資会社の一つと言えるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

物言う株主(アクティビスト)は、経営陣に対して提案を行い、変化を求めます。

ときには強引ともいえる手法が批判されることもありますが、結果的に経営陣の背中を押して、企業がより良い方向に向かうことも少なくありません。

企業が本来持つ価値を引き出し、株主利益の最大化を目指す彼らは、わたしたち個人投資家にとっても、利益をもたらしてくれる存在であると言えるでしょう。

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もの言う株主とも言われるアクティビストの

証券会社、生損保代理店での勤務を経てファイナンシャルプランナーとして独立。

(保有資格)1級FP技能士・証券外務員一種
(試験合格)宅建士・行政書士

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