多くの上場銘柄がある中で、投資先として注目されているものの一つに「小型株」があります。では、小型株とはどのようなもので、なぜ注目されているのでしょうか?
この記事では、小型株バリュー投資の魅力に迫っていきます。まずは小型株の位置づけを確認し、儲かる投資法を習得しましょう。
今後のあなたの株式投資にお役に立てましたら幸いです。
小型株とは?大型・中型との違い
まず、小型株とは株式時価総額(=株価×発行済株式総数)と流動性の低い銘柄のことです。
東京証券取引所では、東証1部上場銘柄について次のように大型株、中型株、小型株を定義しています。
- 大型株:時価総額と流動性の高い上位100銘柄
- 中型株:大型株に次いで時価総額と流動性の高い上位約400銘柄
- 小型株:大型株、中型株以外の銘柄
銘柄数では、小型株が全体の7割以上を占めます。ただし、時価総額(浮動株ベース)では、全銘柄の5パーセントに満たない大型株が全体の6割を占めています。
分類 | 東京証券取引所における定義 (東証1部上場銘柄) | 銘柄数 | 時価総額 (浮動株ベース) |
---|---|---|---|
大型株 | 東証1部上場銘柄の中で時価総額と流動性の高い 上位100銘柄 | 100銘柄 (4.6%) | 232兆1,760億円 (59.3%) |
中型株 | 大型株に次いで時価総額と流動性の高い 上位400銘柄 | 400銘柄 (18.6%) | 118兆5,708億円 (30.3%) |
小型株 | 大型株・中型株以外の銘柄 | 1,654銘柄 (76.8%) | 40兆5,008億円 (10.4%) |
(2019年12月末日時点・東京証券取引所)
また、JASDAQやマザーズといった新興市場および東証2部上場銘柄などは、通常「小型株」に分類されます。
小型株の特徴
小型株がどういった銘柄を指すのかわかりましたが、どういった特徴があるのでしょうか?
ここでは、小型株の特徴について解説していきます。
特徴1:値動きが大きい
機関投資家から個人投資家まで幅広い投資家によって取引が行われ流動性の高い大型株は、比較的値動きが安定しています。それに対して、流動性の低い小型株は取引への参加者が少ないため、普段はあまり株価が動かない特徴があります。</span >
そして、取引が増加すると値動きが大きくなることが特徴です。そのため、ストップ高やストップ安をつける銘柄の多く占めるのは小型株です。
値動きが大きければ株価の上昇で大きな利益が期待できる反面、株価が下落してしまうとなかなか取引が成立せず損失が拡大するリスクが高くなります。そのため、小型株を取引する際はリスク管理が重要です。
また、自分の注文によって株価を不利な方向へ動かしてしまうこともあるため、大口の注文を出しにくく、多額の資金を投資する機関投資家などが小型株を投資対象とできない要因となっています。
(出所:SBI証券)
特徴2:事業内容がシンプルでわかりやすい
小型株には、企業規模が小さく事業内容がシンプルな企業が多いです。そのため、収益構造がわかりやすいことが特徴です。
また、業績などの変化が株価に反映されやすい傾向もあります。
特徴3:外部要因の影響が少ない
グローバルに展開する企業が多い大型株は、為替や世界経済の動向によって株価が左右されます。一方で、内需企業の多い小型株の株価は、外部要因の影響を受けにくいという特徴があります。
特徴4:割安に放置されたお宝銘柄が残されている
小型株は機関投資家の投資対象となりにくく、アナリストがカバーしきれていないマイナーな銘柄もあります。そのため、本来の企業価値に対して株価が割安に放置されたお宝銘柄も多く残されていることがあります。
情報の量・質・スピードでは機関投資家に太刀打ちできない個人投資家であっても、小型株であればチャンスは十分にあるのです。
小型株の銘柄の探し方
では、小型株を探すにはどのような方法があるのでしょうか?これから紹介する『バフェット・コード』というサイトを利用すると簡単に見つけることができますよ。
バフェット・コードの簡単な使い方と、優良な銘柄を探すためのスクリーニング条件についてお伝えしましょう。
バフェット・コードを利用する
投資候補となる小型株を探す場合には、時価総額などを基準としてスクリーニング機能を利用するのが便利です。無料で利用できるスクリーニングツールは多くありますが、そのまま企業分析を行うことができ、使い勝手の良い『バフェット・コード』というサイトがおすすめです。
スクリーニング条件を入力して検索すると、条件を満たす銘柄が一覧で表示されます。そして、一覧から銘柄を選択すれば、過去5年間の業績の推移などを確認することができます。
優良小型株のスクリーニング条件
小型株の中でも優良な銘柄を探したい場合は、例えば次のような条件で設定して検索することをおすすめします。
【優良小型株スクリーニング条件例】
- 時価総額:100億円以下
- 自己資本比率:60%以上(財務健全性)
- PER(予想):30倍以下(割安性)
- ROE:12%以上(収益性)
検索すると、次のように該当する銘柄の情報が一覧で表示されます。
(画像:バフェット・コード)
小型株でバリュー投資しやすい理由
まず「バリュー投資」とは、本来の企業価値に対して株価が割安な銘柄に投資する手法のことです。これまでお伝えしてきた特徴から、バリュー投資と小型株とは相性が良いと言えます。
ここでは、バリュー投資と小型株の相性が良い理由について説明します。
理由1:企業価値を見極めやすいから
バリュー投資では、投資候補の株価が割安かどうかを判断する前提として、財務状態やキャッシュフロー、ブランド力などの要素をもとに、その企業の本質的な価値を見極めることが重要なポイントです。一般的に、大型株の場合は多くの事業部門や連結子会社などを抱える会社であり、収益構造が複雑なぶん、企業価値の見極めが難しくなります。
それに対して、小型株の会社は事業内容がシンプルであるため収益構造もシンプルであり、比較的企業価値を見極めやすいと言えます。
ただし、マイナーであるがゆえに情報を入手しづらい、主力事業がコケてしまうと株価への影響がかなり大きくなるリスクがあることは押さえておく必要があります。
理由2:株価が割安に放置されている銘柄が多いから
小型株は機関投資家の投資対象となりにくく、一般の投資家からの注目度も低いため、本来の企業価値に比べ株価が割安に放置されやすい傾向があります。また、発行済株式総数が比較的少ない銘柄や低位株が多く、なんらかのきっかけで注目が集まれば、株価の大幅な上昇が期待できます。
「物言う株主」と言われるアクティビストは割安な小型株を投資対象とするケースが多く、株主としての権利を行使して投資先企業に要求や提案を行い、企業価値(株価)の向上のため、自ら働きかけを行います。
それまで注目されていなかった銘柄に注目が集まるには、一般的に時間がかかるものです。しかし、アクティビストの働きかけによって注目が集まりやすくなり、より早いタイミングの株価上昇を見込めるようになります。そのため、アクティビストの投資する銘柄は要チェックです。
おすすめのバリュー投資ファンド・投資会社
最後に、小型株への投資を行い高い運用成果をあげているおすすめのファンド、投資会社を紹介しましょう。大きなリターンを得たいと思っている方は、投資を検討してみると良いでしょう。
おすすめ1:投資会社Japan Act
Japan Actは、日本市場の中でも小型株をメインとしてバリュー(割安)株投資を行っている独立系の投資会社です。投資先企業の過去の開示資料を詳細に分析し、市場評価と本質的な企業価値との間に乖離が生じている銘柄を対象として、中長期的な視点で企業価値・株主価値向上を図っていきます。
Japan Actは、アクティビスト(物言う株主)として活動しながら、一貫して小型株へのバリュー投資を行っています。市場平均を大きく上回る驚異的なパフォーマンスを上げる一方、相場が低迷する中でもプラスのリターンを維持しており、下値が抑えられた堅実な運用が行われていることがわかります。
公式サイト:JapanAct
おすすめ2:レオス・キャピタルワークス(ひふみ投信)
レオス・キャピタルワークスは、藤野英人氏が2003年に創業した国内トップクラスの資産規模を誇る独立系投信運用会社です。主力商品である『ひふみ投信』は、主に国内外の成長企業を投資対象として、資産を「守る」ことにも重点をおきながら、長期的な資産形成を目指し「守りながらふやす運用」を行っています。
財務指標や株価といった「定量的」な数値と、経営方針・戦略といった数値には現れない「定性的」な要素、その両面から徹底的に調査・分析を行い、投資環境に左右されず独自に成長できる企業へ投資を行っています。
レオス・キャピタルワークスは、業種や企業規模にとらわれず世界中の銘柄を投資の対象とし、変化する相場環境に応じて現金比率を50パーセントまで高められるなど、柔軟な運用ができることも特徴です。
レオス・キャピタルワークスは、成長期待の大きい中小型株への投資比率を高め、高いパフォーマンスをあげたことで一躍注目を集めましたが、大型株主導の相場へ移行したことや、ファンド規模が拡大したことなどから、現在は小型株への投資割合は低くなっています。
大型株の比率が高まったことで市場との連動性が高まっている点は、今後のパフォーマンスへの懸念材料といえます。(2019年12月末時点 参考:ひふみ投信 月次報告書)
公式サイト:ひふみ投信
おすすめ3:コモンズ投信
コモンズ投信は、長期投資を通じて最良な企業と出会える場を提供すれば持続的な価値創造が可能になるという想いのもと、2004年に設立された独立系投信運用会社です。真のグローバル企業を中心に約30銘柄に30年の長い目線で投資する『コモンズ30』と、変化を始めた企業、変化にチャレンジする企業を中心に中長期的に投資を行う『ザ・2020ビジョン』を運用しています。
今年公表された、3月末時点の金融庁・共通KPI実績において、コモンズ投信における含み益の顧客比率は98パーセントと、調査対象会社の中でトップとなっています(参考:日本経済新聞)。
どのファンドも市場平均を上回る運用成果を残しており、コモンズ30はつみたてNISAの対象商品にもなっており、長期的な資産形成におすすめできるファンドだと言えます。
(2019年12月末時点 参考:モーニングスター)
公式サイト:コモンズ投信
おすすめ4:鎌倉投信
鎌倉投信は、鎌田恭幸氏ら外資系金融機関で共に働いていた仲間4人が、2008年に設立した独立系投信運用会社です。『結い2101(ゆい にいいちぜろいち)』を唯一の運用商品とし、「人材を生かせる会社(人)」「循環型社会を創造する会社(共生)」「匠(たくみ)の技術・感動的なサービスを提供する会社」という3つを銘柄選択の柱として、中小型株を中心に(2019年7月19日時点・運用報告書第10期)へ投資しています。
(出所:いい会社とは 鎌倉投信)
運用成績は市場平均をやや下回る水準で推移しています。(2018年9月末時点 参考:モーニングスター)これは、ゆっくりと安定した資産形成を目指すというファンドの運用方針によるところもあり、現金比率やシャープレシオ(投資の運用効率)の高さにもそれは現れています。
高いリターンを狙うファンドではないため、それを理解した上で投資する必要があると言えます。
公式サイト:鎌倉投信
おすすめ5:さわかみ投信(さわかみファンド)
さわかみ投信は、澤上篤人氏により1999年に設定された日本の独立系投信会社のパイオニア的存在のファンドです。唯一の運用商品である『さわかみファンド』では、国内外の株式を主な投資対象としてその時点で最も割安と考えられる投資対象の中から、将来価値に比べ市場価値が割安と考えられる銘柄を選別して投資し、割安な状態が解消されるまで持続して保有する「長期バイ・アンド・ホールド型」のバリュー投資を基本とした運用が行われています。
将来社会に必要とされる製品やサービスを生み出していくと思われる企業に、投資するという投資方針を掲げており、一時的なトレンドやブームに翻弄されることなく、長期的な資産形成を期待することができます。
さわかみ投信はバリュー投資ファンドとして屈指の規模を誇り、長い運用実績を持つ安心感があります。ただ、ファンド規模が大きくなり、市場平均を上回るリターンをあげることは難しくなっている部分もあります。
公式サイト:さわかみ投信
まとめ
小型株とはどのような株なのか定義と特徴について解説し、バリュー投資と相性が良い理由についてお伝えしました。ポテンシャルを持った割安な銘柄の多い小型株は、バリュー投資との相性が良く、魅力的な銘柄が多くあります。
スクリーニング機能やファンドや投資会社の投資する銘柄を参考に、投資候補となる小型株を探してみてはいかがでしょうか?