アルゴリズム取引とは?市場の混乱と暴落に備えるバリュー投資

日々変わる世界情勢に合わせた投資は順調ですか?

市場の流れを把握するためにはアルゴリズム取引(システムトレード)の理解が欠かせません。

コンピュータが発達した近年では株の売買は全て電子的に行われています。注文方法も人間がいちいち指示するのではなくコンピュータが判断し注文するようになってきています。

アルゴリズム取引を理解することで値動きを予測することができ、より大きな利益に結びつくでしょう。

本記事ではアルゴリズム取引の特徴と、どのようにすればよりアルゴリズム取引に勝てるかを解説します。

1、アルゴリズム取引とは

(1)アルゴリズムのあらまし

アルゴリズム取引とは、コンピュータのシステムを使い機械的に取引を行う方法です。

システムトレードも同様の意味で使われます。

最も簡単な例では指値注文もアルゴリズム取引と言えます。

投資家が「A銘柄が○○円になったら△△株買いたい」と考えた時、画面に「○○円」および「△△株」を入力します。すると、コンピュータが自動で売買してくれます。

この指値注文は人間が手動で売買するよりも「早くて」「自動で」「確実」なのがウリです。

このメリットは他のアルゴリズム取引にも言えることです。

さらに高度なアルゴリズムになると、株価や出来高に応じて売買のタイミングや注文数量もシステムが自動で判断するようになります。

結果、利益の拡大だけではなく投資家の負担が減り人件費の削減にも繋がっています。

(2)トランプ氏とアルゴリズム

近年流行ったアルゴリズム取引のひとつに、トランプ氏のTwitterに連動して株を売買するものがあります。

これはトランプ氏がTwitter上で、名指しで批判した企業の株価は下がることを利用したもので、ある特定のキーワードをトランプ氏がTweetしたら自動でシステムが反応し株を売買するのです。

このように、時代の流れにあったアルゴリズムが開発され続けるのも特徴です。

メリットの大きいアルゴリズム取引ですが、システムの導入に大きなコストがかかることから一般投資家の間ではあまり普及していません。

逆に、資金力のある機関投資家や外国人投資家は積極的に利用しており、一般投資家との格差が拡がっていることも問題視されています。

2、HFTとは

(1)高頻度取引

アルゴリズム取引と共に、HFT(high-frequency trading:高頻度取引)も知っておきましょう。

HFTとはアルゴリズム取引の中でも、短時間のうちに超高速で取引を行うものを指します。

1秒に満たないミリ単位で取引が行われるため、人間が速度で勝つことは不可能です。

機関投資家たちはこれを利用して裁定取引などを行い利益の最大化を狙うのです。

いまや取引の半分近くがHFTによるものだと考察する論文も発表されており、一般投資家の知らない世界で大きく普及していることが分かります。

(2)市場の混乱と暴落

しかし、人間の判断の及ばない速度が故にしばしば暴落の引き金にもなりえることが指摘されています。

2010年5月には前触れ無くほんの数分でダウ工業平均株価が1,000ドルも下落しました。

わずかな下落に反応したHFTが大量の売り注文を出し、さらにそれに反応したHFTが大量の売り注文を出す、と言った連鎖的な売りが原因だとされています。

利益の最大化を狙う代わりに、市場の混乱を招いてしまうHFT。徐々に規制する動きもありますが、当分は市場の取引を牛耳っているのも確かです。

個人投資家はしっかり対策をたてて取引に臨みましょう。

3、どんな取引方法があるのか?

アルゴリズム取引には具体的にどのような取引方法があるのか紹介します。

(1)ディレクショナル系

投資家の代わりに株式市場に関わる様々な情報を分析し、適切な売買を行います。

いわゆるテクニカル分析に則るものもあればファンダメンタル分析に基づくアルゴリズムなど分析方法も多様です。

市場の様子に敏感に反応するため、瞬間的な暴落もディレクショナル系アルゴリズム取引によって引き起こされます。

ニュースで取り上げられる「アルゴリズム取引による暴落」の多くはディレクショナル系となります。

(2)マーケット・メイク系

ひとつの銘柄に対して買と売両方の注文を指値提示し、他の取引参加者からの注文を受けることで発生するスプレッド収益を狙います。

スプレッド収益とは提示した買値と売値の価格差のことです。

(3)アービトラージ系

アービトラージとはいわゆる裁定取引を指します。

裁定取引とはある同一価格の商品が複数の市場で売られている状態で価格差が発生していた場合、割安の市場で購入し割高の市場で売り抜け利ざやを狙う取引です。

裁定取引は複数の市場に瞬間的に反応しなければならないため、アルゴリズム取引でないと実質的に不可能です。

最近ですとビットコインをはじめとする仮想通貨で頻繁に使われています。

(4)執行系

大量注文をする場合に価格を調整するために用いられるアルゴリズム取引です。一般的に、大量注文をしてしまうと需給バランスが崩れ株価が下落してしまいます。

そこで注文のタイミングを分散させることで、約定価格の最適化を狙うものです。

また、大量注文によるマーケットインパクトを防ぐためにも使われます。

取引価格を安定させるためにアルゴリズム取引が使われることもあるのです。

4、機関投資家・ヘッジファンドに振り回される個人投資家について

ここまで述べてきたように、アルゴリズム取引は市場において強烈な存在感を発揮しています。

人間よりも高性能・高速度で取引ができてしまうのですから、個人投資家では太刀打ちすることが困難です。

古くから機関投資家やヘッジファンドに代表される大口投資家の戦術に「見せ板」や「騙し上げ」があります。

大口投資家は潤沢な資金力をもって市場をコントロールすることができます。アルゴリズム取引はこれらの戦術をさらに加速させていることは明白です。

また、アルゴリズム取引は導入コストが高額なため、殆どの個人投資家にとって導入は難しいでしょう。

個人投資家がアルゴリズム取引を使いこなす大口投資家に勝つためには、通常とは異なる戦略が必要です。

5、バリュー投資でアルゴリズム・システムトレードに負けない投資

個人投資家がアルゴリズム取引無しで投資を成功させるのは非常に難しいです。

投資はゼロサムゲームなので大口投資家に勝たなければ利益は見込めないためです。

※ゼロサムゲームとは、誰かが儲かれば、誰かが損をすること

アルゴリズム取引に勝つために個人投資家がとるべき戦術は「バリュー投資」です。

今度株価が伸びそうな銘柄に投資をするいわゆる基本戦術です。

しかし、バリュー投資はあらゆる要素(企業業績、社会情勢、景気等 )を網羅することが必須なため初心者には難しいでしょう。

 

バリュー投資を成功させるには個人で投資するのではなく、投資会社を利用するのも手です。

投資会社では、プロの投資家が我々一般投資家から資金を集めます。

集めた資金を元に複数の銘柄に投資を行い、運用益をリターンとして一般投資家に返します。

実質的に一般投資家はプロの投資家に資金を運用してもらうこととなり、自身で銘柄について深く調査せずとも安定した利益を狙うことができます。

投資会社の強みがよく分かる出来事として、リーマンショック時の戦術があります。

リーマンショックの時には、世界中の株価が軒並み暴落し、多くの経済指標が下落しました。

結果、経済指標に連動する金融商品は軒並み資産価値を大きく下げてしまいました。

 

一方で、投資会社の中にはリーマンショックを予期し、空売りで莫大な利益を生み出したものもあったのです。

ヘッジファンドと呼ばれることもあり、最近ではドラマ化もされるなど市場関係者だけではなく一般にも広く認知されはじめています。

例えば投資会社Japan Actは2018年に設立されたばかりですが、すでに投資先の株式を『1.1パーセント』保有し、株主提案を行うなど積極的に活動しています。

公式サイト:Japan Act

Japan Actの特徴として、企業の手掛ける事業の優位性や将来性、保有資産を徹底的に分析し、企業本来の価値と現在の企業価値(市場における時価総額)との間に乖離のある銘柄を投資対象とし、企業への要求や株主提案を行うなど、アクティビストとして積極的に活動しています。

まとめ

アルゴリズム取引(システムトレード)の特徴と個人投資家が取るべき戦略について解説しました。

市場の取引の多くは人間ではなくシステムによって行われているという事実を把握、適切な戦術をとることが求められています。

アルゴリズム取引もITの進化と共に開発され続けていくため、今後の動向にも注目していきましょう。

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