相場を読むための4つの株の指標と具体的に投資に役立てる方法

株式取引を行ううえで必ず知っておきたいのが「株価指数」「株価指標(投資指標)」という言葉です。

指数と指標のそれぞれの言葉の意味をしっかりと理解すれば、その区別は容易です。

(実際には双方を含めて「株式指標」と表すこともあり、イメージ的には「株価に関する情報なのだな」というとらえ方をしていただだければOKです)

本編に入る前にそれぞれを簡単に説明しておくと、株価”指数”は日経平均やTOPIXなどの市場全体・指数構成銘柄群全体の値動きを表す数値のことです。

対して株価”指標”(投資指標)は、企業価値・株価を評価する際に用いる尺度・見方で、例としてはPER・PBR・ROEなどが挙げられます。

今回の記事ではそれぞれにフォーカスを当て、投資の役に立つ情報を紐解いていきましょう。

1、株価指標とは?

最初に述べたように、株価指標とはPER・PBRといった株式投資を行ううえで非常に重要となる指標です。

株式投資を行われている方なら一度は耳にしたことがあると思いますが、その指標となるものの数は非常に多く、ROE・ROA・PSR・ROIC・財務レバレッジetc…と、書いていくときりがなくなってしまうので、今回は代表的なものを紹介していきます。

(1)EPS(Earnings Per Share:一株あたり利益)

意外と知られていないのですが、EPSは株価指標の中でも重要な位置づけとして考えらえるものです。

「一株あたりに対し、どれくらいの純利益があるか」すなわち、「一株あたりでどれだけの純利益を稼いでいるか」を表す指標になります。

簡単に言うと、EPS(一株あたり利益)×発行株式数=純利益という計算式になります。

当然ですが、基本的にはEPSが高ければ高いほど効率的に収益を出していると言えるため、投資をするにあたっては類似企業と比べEPSが高い会社を選ぶとよいでしょう。

(2)PER(Price Earning Ratio:株価収益率)

PERは株価指標のなかでも最も代表的なものの一つと言えるでしょう。

教科書的には、「PERが安ければ安いほど割安」となっていますが、あくまでもPERは相対的な指標でしかないため、同業他社との比較・同銘柄の過去PERとの比較等が重要となります。

計算式は

PER=株価÷EPS(一株当たり利益)

PER=時価総額÷純利益

となっています。

(補足:時価総額=株価×発行株式数)

PER=株価÷EPS(一株当たり利益)の計算式を見ると、「一株あたりの利益に対し、株価が何倍まで買われているか」を表していますので、例えばPERが15倍であれば投資金額(株価)が利益の15倍ということになり、投資金額の回収に15年かかる、というのが名目上の意味になります。

(3)PBR(Price Book-Value Ratio:株価純資産倍率)

PBRもPERと並び、よく重要視されることの多い株価指標です。

計算式は

PBR=株価÷1株あたり純資産(BPS)

PBR=時価総額÷純資産

となります。

(補足:純資産は株主資本とも呼ばれます。貸借対照表に記載されており、企業が有する返済する必要のない自己資金のことです)

こちらもPERと同じく、低ければ低いほど割安というのが一般的ですが、「割安のまま放置された低PBR銘柄」というものも多く存在するため、あくまでも一つの視点として利用することが大事です。

PBRのボーダーとして知られているのが「1倍」で、1倍を下回れば割安、上回れば割高、というのが一般的な考え方です。

(4)ROE(Return Of Equity:自己資本利益率)

ROEはPBRと同じく、「純資産(自己資本)」に注目した株価指標のひとつです。

PBRが株価と純資産の関係から割安さを測った指標であったのに対し、ROEは利益と純資産の関係を示した指標です。

計算式は

ROE=純利益÷純資産

となります。

ここまでのPERとPBRの式を合わせてこの計算式を見てみると、

PBR=ROE×PER

PBR=(純利益÷純資産)×(時価総額÷純利益)

という式が成り立つことが分かります。

企業が持つ資産に対し、何倍の利益を上げられているか、という指標なので、こちらはPER・PBRとは異なり、「高ければ高いほど収益の効率性が高い」ということになります。

ただROEも同業他社や市場平均と比較して判断する必要があります。

ここまで代表的な株価指標を見てきましたが、計算式や英語が出てきて初見では理解できないこともあるかと思います。

ただ、各企業の決算情報の閲覧や投資の学習をしていく中ですんなりと腑に落ちてきますので、まずは「こういった指標があるのか」と頭に置いておくだけでもよいでしょう。

計算式や意味は深く覚えなくてもよいので、ある企業における株価指標の年ごとの推移や、業種別の株価指標の平均数値に着目してみると理解が深まるはずです。

2、重要な国内株価指数を株式投資の指標として相場の流れを読む

次に見ていくのが「株価指数」です。

日本で言えば日経平均やTOPIX、米国でいえばNYダウやNASDAQがその代表例だと言えます。

例えば楽天証券の株価指数のページを見てみると、各国の株価指数が逐一更新されているのを確認できます。

(1)代表的な株価指数(楽天証券)

代表的な株価指数(楽天証券)

こういった代表的な株価指数の動きを知っておくことはもちろん、さらにもう一歩踏み込んで「NT倍率」「日経平均VI」「VIX指数」といった株価指数についてもチェックしておきましょう。

(2)NT倍率

NT倍率とは、日経平均株価をTOPIXで割った指数のことです。

NTのNはNikkeiの頭文字、TはTOPIXの頭文字です。

NT倍率は日々変化していますが、これをチェックすることでどんな銘柄が買われているのか、現在の相場はどういった傾向にあるのか、ということを確認することができます。

日経平均構成銘柄は「値がさ株(株価が高い銘柄)」やハイテク・輸出等の外需企業が多くなっている一方、TOPIX構成銘柄は国内の景気動向に影響を受ける内需企業が多くなっています。

NT倍率の低下はすなわち日経平均よりもTOPIXが買われている、ということになりますが、そういった時は内需株に資金が集まっている、ということになります。

またNT倍率が低下しすぎると日経平均の売り込まれが強い、ということを意味し、相場環境が悪くなっていることを示すという見方もあります。

(3)日経平均VI(ボラティリティー・インデックス)

日経平均VIは、日経平均の将来の変動率の予測を元に算出された指数です。

VIが高ければ高いほど将来の株価変動が大きくなることが予想され、逆に低ければ目先小さな値幅での相場が続くということになります。

(4)VIX指数

日経平均VIが日経平均先物・日経平均オプションを元に算出された指数であったのに対し、VIX指数はアメリカの株価指数S&Pを対象とするオプション取引を元に算出されたものです。簡単に言えばアメリカ株版の日経平均VIです

ただ、マーケット的にはVIX指数の方が注目度が高く、これが高まると世界各国のマーケットの値動きが大きくなりリスクオフ相場となることが多いです。

2018年2月にはVIX指数の急激な上昇による米株暴落(一日で1000ドル以上の下げ幅)が見られたり、過去のチャイナショック・リーマンショックの際にもVIX指数は大きく上昇していたため、定期的にチェックしておきたい指数であると言えるでしょう。

VIX指数は別名「恐怖指数」とも呼ばれ、投資家の心理状況をあらわす数値としても知られています。

3、重要な投資指標で株価予想をする

PER・PBRといった重要投資指標を用いて株価予想をすることは、株式取引において非常に重要です。

先ほど「PERやPBRは低い数値ほど割安であることを示す」「ROEは高いほど自己資本を上手く使い収益を稼いでいる」と書きましたが、それよりも大事なことは「同業他社・業界平均と比べてどうなのか」「同社の過去の数値と比較してみてどうなのか」といった点です。

例えば毎日公表されている日経平均のPER・PBRは次のページで確認できますが、過去数年の日経平均の推移とあわせて確認してみましょう。

(1)日経平均適正株価 (日経平均PER PBR)

日経平均適正株価

これは2012年からの日経平均とPERの関係性を表したチャートです。

ここ数年においては、日経平均に関してはPERが13倍~17倍というのがレンジとなっていることが分かります。

また、業界別のPER・PBRに関しては日本取引所グループ毎月発行している資料からかんたんに確認することが可能です。

(2)規模別・業種別PER・PBR(連結・単体)一覧

規模別・業種別PER・PBR(連結・単体)一覧

ある一企業だけのPERを見て「PERの数値が小さいから割安!」と判断するのではなく、繰り返しとなりますが「過去の数値やデータ」「業種平均と比べてどうなのか」ということを確認することが大事です。

例えば日経平均とPERの関係性のチャートを見てみると、「大体13倍くらいになると買いが入って株価が上がって、逆に17倍近くになると割高さが出てきて売られる傾向にあるのだな」という判断をすることができます。

また、PERやPBRはあくまでも「現時点の株価・決算・業績をもとにして算出された数値」であることも頭に置いておかなければなりません。

現在PERやPBRが比較的割安と感じられる企業であっても、業績の悪化が伴えばその割安さは失われてしまうからです。

PER・PBRといった株価指標はもちろん重要なのですが、株式投資を行ううえでは「投資企業の業績が拡大する見込みはあるか」「投資企業がこれから割安さを訂正できるような決算を打ち出せるか」などといったことを判断材料として重要視する必要があります。

まずは先に紹介した「EPS・PER・PBR・ROE」といった基本指標をベースにしながら、投資したい会社のビジネスモデルや業績の動向をあわせてチェックするとよいでしょう。

4、国内株式時価情報をチェックして明日の相場を考える

日経平均やTOPIXといった株価指数は平日であれば毎日変動していますから、株式投資を行ううえで必ず、その数値やそれに付随した株式指標に目を通しておくとよいでしょう。

次の日本経済新聞のページでは毎営業日の国内の株式指標をチェックすることができ、将来の株価予測、相場の変動を予想するのに役立ちます。

(1)国内の株式指標 (日本経済新聞)

国内の株式指標

このページを一目見ると「数字が多すぎて何を見ればよいのか分からない」という方も多いと思いますが、もちろんすべての数値を細かく毎日チェックする必要はありません。

もちろん多くのデータを投資に活かすにこしたことはないのですが、まずは自分の興味の持てそうなところから確認してみるとよいでしょう。

例えば「東証一部の値上がり銘柄数」が多い日は、大型株が買われ日経平均やTOPIXも大きく上昇した日だったのだな、と考えることができます。

また、日経平均やTOPIXに加え、個別銘柄の上昇・下落の背景を追っておくことは後の投資に必ず役立ちます。

(2)Kabutan

Kabutan

Kabutanは、リアルタイムな情報を発信しています。

初心者にも見やすく色分けされていますので、見やすい構成になっています。まずは、今朝の注目のニュースからチェックしていきましょう。

(3)トレーダーズウェブ マーケットの話題

トレーダーズウェブ マーケットの話題

こういったサイトでは先に述べたような「銘柄の値上がり数・値下がり数」についてチェックできるのはもちろん、個別銘柄の株価推移の背景や決算情報などもあわせてチェックすることができます。

PER・PBRといった株価の割安さは確かに大事なのですが、株価が上昇する背景は「割安さから買われる」だけではありません。

上記のサイトは投資初心者の方であってもわかりやすく情報を読み取れ、株価指標の学習とあわせ投資スキルを磨く役に立ってくれるでしょう。

5、リアルタイムで株価指数を見る方法

日本の株式市場は平日の9:00〜11:30、12:30〜15:00に開かれています。

その間、刻一刻と日経平均や個別銘柄の株価は変化していますが、そういった情報もネットを使えば簡単に確認することができます。

(証券会社の店頭にも株価ボードのようなものがいつも映っていますよね)

証券会社の取引ツールやアプリでも現在はリアルタイムの株価指数をチェックできますが、以下のようなサイトでも同様に確認が可能です。

(1)リアルタイム株価指数値一覧

リアルタイム株価指数値一覧

日本取引所グループ(JPX)のサイトからは、リアルタイムでたくさんの株価指数が確認できます。

投資についての情報も多いので、本を読むように活用いただけるサイトです。

(2)日経平均株価 リアルタイムチャート

日経平均株価 リアルタイムチャート

『日経平均株価 リアルタイムチャート』は他にも様々な指標・情報を公開しており、我々投資家にとって非常にありがたいサイトです。

ぜひ毎日確認しておきたい情報源だと言えるでしょう。

まとめ

さて、ここまで株価指数・株価指標といった情報について見てきましたがいかがでしたでしょうか。

前者の株価指数は日経平均株価といった比較的なじみ深いものですが、株価指標は非常に数も多くまた奥が深いものです。

今回は代表的なものを紹介しましたが、決算書の勉強などとあわせて理解を深めていくことで投資の腕も上がっていくことは間違いありません。

まずはこの記事をきっかけに、自分で試行錯誤しながら予測と検証をしつつ、銘柄選択・資産運用を行ってみてください。

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