プロに資金を託し運用を行う投資信託。投資信託と一言にいっても多くの種類があり、運用を行う際には、その中から目的にあった種類の投資信託を選ぶことが大切です。
この記事では運用目的にあった投資信託(ファンド)を選ぶために知っておきたい、投資信託の種類や運用スタイルの違いについて解説していきます。
1、投資信託の種類
投資信託(ファンド)にはさまざまな分類方法がありますが、投資信託および投資法人に関する法律(投信法)に定めのある、主な分類についてみていきましょう。
(1)募集形態による分類
投資信託は募集形態によって、「公募型」と「私募型」の2種類に区分されます。
公募 | 不特定多数(50人以上)の投資家から資金を募り、運用を行う。投信法により設定され、組み入れる商品や配当などに関して規制を受ける。 |
私募 | 適格機関投資家や少数(49名以下)の一般投資家に限定して出資を募り運用を行う。投信法では「適格機関投資家私募」「特定投資家私募」「一般投資家私募」の3種類が規定されている。 |
公募 | 私募 | |
対象 | 不特定多数の投資家 | 適格機関投資家 少数(49名以下)の一般投資家 |
運用手法 | 投資方針に基づいて運用され、運用成果は投資対象の値動きに連動 | 相場環境によらず、収益追求する(絶対収益追求型) |
規制 | 厳しい | 緩い |
運用コスト (手数料) | 信託報酬 (運用成果に関わらず預入金額に対して定率) | 成果報酬 (運用成果に対して報酬が発生) |
運用スキル | サラリーマンファンドマネージャーが多い | 実績のある経験豊富なファンドマネージャーが多い |
最低投資額 | 数千円程度〜 | 1000万円程度〜 |
流動性 | 原則いつでも解約して換金可能 | 四半期・半年・1年に1回など解約できる時期が制限される |
(2)組成形態による分類
投資信託は組成形態によって、「会社型」と「契約型」の2種類に区分されます。
日本では契約型が主流となっており、会社型はJ-REIT(不動産投資法人)が中心です。
会社型 | 投資を目的とする法人(投資法人)を設立して組成される。 |
契約型 | 運用会社と信託銀行が信託契約を結び組成される。 |
(3)購入できるタイミングによる分類
投資信託は購入できるタイミングによって、「単位型」と「追加型」の2種類に区分されます。
日本では、追加型投資信託が一般的です。
単位型 | 投資信託の立ち上げ期間(当初募集期間)にのみ購入できる。 |
追加型 | 原則投資信託が運用されている期間中であれば、いつでも購入できる。 |
(4)株式への投資の可否による分類
投資信託は約款に株式に投資できる旨の定めがあるかによって、「公社債投資信託」と「株式投資信託」の2種類に区分されます。
公社債 投資信託 | 約款で株式に投資しない旨が定められている。株式への投資は一切できない。 |
株式 投資信託 | 約款で株式に投資できる旨が定められている。株式への投資は任意。 |
株式へ投資する余地を残すといった目的で、「〇〇債券ファンド」といった名称で販売され、実際には株式が組み入れられていない株式投資信託も多くあります。
身近な公社債投信としては、証券口座における「預金口座」や「貯蓄口座」に近い存在である、『MRF』や『MMF』があります。
これらは短期債を中心に投資される投資信託で、極めて安全性の高いものの、元本保証ではないため、銀行預金に比べ高い利回りが得られるのが特徴です。
(5)投資対象資産(アセット)による分類
ファンドの運用方針には通常、投資対象となる資産や地域が定められており、投資信託は投資対象となる資産(アセット)や地域による区分もなされます。
株式型 | 国内株式型 | 大型株・中型株・小型株 など |
バリュー株・グロース株 など | ||
外国株式型 | 先進国株・新興国株 など | |
債券型 | 国内債券型 | 短期債・中長期債 など |
外国債券型 | 先進国債・新興国債 など | |
REIT(不動産)型 | 国内REIT型 | |
外国REIT型 | ||
コモディティ(商品)型 | 原油・金・プラチナ・トウモロコシなど | |
バランス型 |
(6)運用期間中の解約の可否による分類
投資信託は運用期間中に解約できるかによって、「オープンエンド型」と「クローズドエンド型」の2種類に区分されます。現在投資信託のほとんどはオープンエンド型となっています。
オープン エンド型 | 原則運用期間中に払い戻し(解約)に応じる。ただし、売却(解約)時のペナルティとして、信託財産留保金制度が設けられていることもある。 |
クローズド エンド型 | 運用期間中には払い戻し(解約)には応じない。 |
(7)分配方法による分類
投資信託はファンドの収益の分配方法によって、「分配型」「無分配型」「分配再投資型(累積投資型)」に区分されます。
分配型 | 毎月、四半期、半年などファンドの決算ごとに分配金が投資家に支払われる。 リターンを得た実感が湧きやすく、個人投資家には人気。ただし、分配の都度ファンドから資金が流出し、収益に課税されるため、無分配型に比べ投資効率は低下する傾向がある。 |
無分配型 | 原則投資家への分配は行われない。売却まで課税は繰り延べられ、収益はファンド内で再投資されるため、複利効果によって投資効率の向上が期待できる。投資家は基準価格の値上がりによるキャピタルゲインからリターンを得る。 |
分配再投資型 (累積投資型) | MRFやMMFなど公社債投信に多く見られる仕組みで、決算ごとに分配金が自動的に再投資される(分配金が支払いの都度、保有口数が増加)。 |
2、投資信託の運用スタイル
投資信託はその運用スタイルによっても、値動きの大きさ(リスク)や期待できるリターンも変わってきます。
ここでは投資信託における、運用スタイルの違いについてみていきましょう。
(1)インデックス運用・アクティブ運用
投資信託の運用スタイルは、まず大きく「パッシブ運用(インデックス運用)」と「アクティブ運用」に区分されます。
パッシブ 運用 | 市場平均と同程度のリターンを得ることを目的として、インデックス(指数)に連動した運用成果を目指す手法。ポートフォリオはインデックスを構成する銘柄・比率などから決定され、独自の分析や投資判断などは基本的に不要。 |
アクティブ 運用 | ファンドマネージャーが情報収集・企業分析などを行い、積極的に市場平均を上回る運用成果を目指す手法。 |
(2)トップダウンアプローチ・ボトムアップアプローチ
アクティブ運用における投資銘柄選定のアプローチには、「トップダウン・アプローチ」と「ボトムアップ・アプローチ」があります。
トップダウン アプローチ | 国、あるいは世界全体の景気・経済情勢、為替、金利といったマクロ経済を分析し、今後見通しから国ごと・業種ごとの投資配分を決定。その業種の中から、個別銘柄を選定する。 |
ボトムアップ アプローチ | ファンドマネージャーやアナリストが個別企業を詳細に分析し、収益性・成長性などの観点から有望な銘柄を選定する。 |
(3)バリュー運用・グロース運用
ボトムアップ・アプローチはさらに、「バリュー運用」と「グロース運用」に分かれます。
バリュー運用 | 業績や保有資産から算定したその企業本来の価値に対して、株価が割安な銘柄(バリュー株)を投資対象とする運用。株価が割安であるため下値リスクは小さい一方、企業本来の価値が株価に反映されるまでには、通常長い期間を要する。 |
グロース運用 | 将来高い成長が期待できる企業を投資対象とする運用。成長により株価の大幅な上昇が期待できる一方、すでに期待から株価が割高なことも多く、業績の伸びが予想を下回ると、大きく値下がりするリスクもある。 |
3、資産運用をプロに任せるなら おすすめの投資会社3選
ここでは、資産運用をプロに任せる際おすすめの投資会社を厳選してご紹介します。
(1)セゾン投信【公募型・インデックス/アクティブ運用】
国際分散投資により長期的な資産運用を行いたい方におすすめ
公式サイト:セゾン投信
セゾン投信は、2006年に設立された独立系投信運用会社です。市場の動きの予想は行わず、長期的な視点での分散投資を運用方針として、国内外の資産を投資対象とする2つのファンドを運用。
『セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド』は、世界30か国以上の株式と10か国以上の債券に国際分散投資に原則50%ずつ投資するインデックス(バランス)型ファンド(実際には、株式・債券市場の投資比率について独自の判断を行なっているため、分類上はアクティブ型)。
『セゾン資産形成の達人ファンド』は30か国以上の国の厳選された企業の株式へ国際分散投資を行うアクティブ型ファンド。
(2)鎌倉投信【公募型・アクティブ運用・バリュー運用】
社会の持続的発展に貢献しながら、ゆっくりと安定した資産運用を行いたい方におすすめ
公式サイト:鎌倉投信
鎌倉投信は、2008年に設立された独立系投信運用会社。
唯一の運用商品である『結い2101』は、主に国内株を投資対象とし、顧客・消費者、社員とその家族、取引先、地域、自然・環境、 匠の技術、株主等を大切にし、持続的で豊かな社会を醸成できる企業であり、かつ市場価値が割安であると考えられる銘柄を選別して、長期的な分散投資を行っている。
(3)投資会社Japan Act 【私募型・アクティブ運用・バリュー運用】
プロによる集中投資により高いリターン狙いたい方におすすめ
Japan Act 公式サイト:https://www.japanact.com/
Japan Actは、日本国内の株式を主な投資対象としたバリュー/アクティビスト投資を行っている会社です。
徹底した投資対象の分析から理論価値を算出し、何らかの要因によって市場で過小評価されている企業への投資を行っています。
短期的な利益を追及せず、中長期的な投資スタンスで経営陣との対話を通じ、企業との関係構築を図る方針です。
企業の手掛ける事業の優位性や将来性、保有資産を徹底的に分析し、企業本来の価値と現在の企業価値(市場における時価総額)との間に乖離のある銘柄を投資対象とし、企業への要求や株主提案を行うなど、アクティビストとして積極的に活動しています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
資産運用においては、投資の目的にあった運用方法の選択がポイントであり、それは投資信託や投資会社など、プロに資金を託して運用を任せる場合でも同じです。
具体的な投資先はファンドマネージャーなどが決定しますが、どの投資信託・投資会社を選ぶかはあなた自身が選ぶことになります。
投資信託の種類や運用スタイルの違いについて正しく理解し、あなたにあった投資信託・投資会社を選びましょう。