将来の資産運用の選択肢として、ヘッジファンドを検討している方も多いのではないでしょうか?ヘッジファンドでは、通常の投資信託以上にリターンが期待できるというメリットがあります。
ヘッジファンドを販売している会社に「ヘッジファンド証券株式会社(以下、ヘッジファンド証券)」があります。しかし、ヘッジファンド証券で運用している人が周りにおらず、情報がなくて困っているという方も多いでしょう。
そこで今回は、ヘッジファンド証券について、取り扱うファンドの特徴や実績面、評判・口コミについて解説していきます。
ヘッジファンド証券とは
まずは、ヘッジファンド証券の会社概要について紹介していきましょう。
会社名 | ヘッジファンド証券株式会社 |
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本社所在地 | 〒100-0013 東京都千代田区霞ヶ関3-2-1 霞ヶ関顧問ゲート西館32階 |
連絡先 | TEL:03-3539-5244 FAX:03-3539-5245 |
代表者 | 代表取締役 植頭 隆道 |
設立年月日 | 2010年6月9日 |
資本金 | 1億6,505万円 |
加入協会 | 日本証券業協会 一般社団法人第二種金融商品取引業協会 |
主な事業 | 第一種・第二種金融商品取引業 |
登録番号 | 関東財務局長(金商)第2580号 |
会社名にもある通り、ヘッジファンド証券はヘッジファンドの販売に特化した会社です。
そもそもヘッジファンドとは、インデックスファンドやアクティブファンドなどの投資信託とは異なり、市場の動きに関わらず利益を追求する「絶対収益」の追求を目的としています。したがって、株式の売買だけでなく、先物取引や信用取引も行いながら大きなリターンを狙う運用方法が一般的です。
取り扱うヘッジファンドの種類
ヘッジファンド証券で取り扱うヘッジファンドはすべて、グループ会社である「エピック・パートナーズ・インベストメンツ株式会社」が運用しています。
エピック・パートナーズ・インベストメンツ株式会社の詳細は次の通りです。
会社名 | エピック・パートナーズ・インベストメンツ証券株式会社 |
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本社所在地 | 〒100-0013 東京都千代田区霞ヶ関3-2-1 霞ヶ関顧問ゲート西館32階 |
連絡先 | TEL:03-5521-8821 FAX:03-5521-8824 |
代表者 | 代表取締役 武 英松 |
設立年月日 | 2005年4月14日 |
資本金 | 90億円 |
主な事業 | 投資運用業・投資助言業 |
登録番号 | 関東財務局長(金商)第432号 |
会員番号 | 日本投資顧問業協会加入 第011-01395号 |
2021年6月現在ヘッジファンド証券で販売されているファンドは、エピック・パートナーズ・インベストメンツ証券株式会社(以下、エピック・パートナーズ・インベストメンツ証券)が運用する「エピック・バリアント・ファンド」です。これは、日本株式100%で運用されているファンドです。
ヘッジファンド証券の運用の仕組み
先ほどお伝えしたように、ヘッジファンド証券で販売されているファンドは、エピック・パートナーズ・インベストメンツ証券が運用しているものです。ここでは、ヘッジファンド証券の運用の対象先や運用の仕組みについて解説していきます。
日本国内の株式が運用の対象
2021年6月現在、ヘッジファンド証券で販売されているのは、日本株のヘッジファンドです。「エピック・バリアント・ファンド」という商品を取り扱っていますが、これは海外籍の私募ファンドです。
しかし、日本株のみで運用されているため、日経平均株価やTOPIX、東証マザーズ指数などの株価指数の影響は少なからず受けているということになります。
日本株の中でも複数の銘柄を運用することにはなりますが、カントリーリスクがあるということは考慮しなければなりません。特に、今後日本で経済危機などが発生した場合には、ヘッジファンド証券で販売されているファンドの暴落も懸念されるということになります。
なお、個別の投資先(銘柄)については、公式サイトなどの情報では公表されていません。ほとんどの私募ファンドでは個別銘柄を公開していないため、実際にどの銘柄に投資しているのかを確認するには、運用レポートを確認するか個別銘柄を見る必要があります。
ペア・トレーディングによる運用
ヘッジファンド証券で運用されているファンドでは、ペア・トレーディングを積極的に行い、どんな相場にも対応できるようにしています。ペア・トレーディングとは、ロング(買い)とショート(売り)を同時に行いながら、相場の動きに合わせて運用する投資手法です。
例えば、買い注文や空売りのみを行った場合、相場が反対方向に動いてしまうと損失となってしまいます。
そこでペア・トレーディングを行うことで、ロングとショートの両建てで銘柄を保有します。相場が1方向に動いた場合、片方の注文を損切りさせて利益が出ている方を保有し続け、リターンを狙うといった方法です。
このように、相場がどちらの動きをしても良いように、買い注文と売り注文を組み合わせて確実にリターンを得られるようにするのがペア・トレーディングのメリットです。
ヘッジファンド証券の運用実績
2021年6月現在、ヘッジファンド証券で販売されている「エピック・バリアント・ファンド」の運用実績は次の通りです。
2011年 | 9.00% |
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2012年 | -14.07% |
2013年 | 53.66% |
2014年 | 20.28% |
2015年 | 7.35% |
2016年 | 5.55% |
2017年 | 6.45% |
2018年 | -14.76% |
2019年 | 23.35% |
2020年 | 17.49% |
数年に一度マイナスの収益となることはあるものの、年間を通して高いリターンでの運用成績が見込めています。
例えば、2011年に資金を預けた場合、およそ2.57倍に増えていることになります。2011年にそれぞれ1,000万円、3,000万円、5,000万円を投資していた場合、2020年には次の通りになる計算です。
2011年時点での投資額 | 1,000万円 | 3,000万円 | 5,000万円 |
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2020年の資産残高 | 2,579万円 | 7,737万円 | 1億2,895万円 |
実際の数字で表してみると、かなりのリターンを得られていることがわかります。短期的に見てマイナスとなることもあり得ますが、長期でコツコツと資金を増やしていくには効果的です。
ヘッジファンド証券の口コミ・評判
ヘッジファンド証券や、ヘッジファンドの運用元である、エピック・パートナーズ・インベストメンツの口コミについては、ネット上にはあまり掲載されていません。ヘッジファンドの証券の口コミや評判がほとんど見られない理由は、次のことが考えられます。
- 販売商品のほとんどが償還済みである
- 利用者している個人投資家が少ない
- 私募ファンドのため公開されている情報が少ない
公開されている口コミやブログ等の情報は、過去に販売していたヘッジファンドのものしかなく、2021年6月現在の情報についてものは見当たらない状況です。したがって、投資の手法や過去の運用成績をもとに、ヘッジファンド証券を評価することとなります。
ヘッジファンド証券の手数料・投資方法
ヘッジファンドで資産を運用する際に気になるのが、手数料や最低投資額といった部分でしょう。ここからは、ヘッジファンド証券の手数料や投資方法などについて解説していきます。
最低投資額は1,000万円
ヘッジファンド証券は、1口1円で最低1,000万口からの投資となります。したがって、最低投資金額は1,000万円となり、まとまった金額を投資する必要があります。
もちろん、ヘッジファンドはリスクのある商品ですので、運用した資金に対して数パーセントから数十パーセントの損失が発生してしまう可能性も考慮する必要があります。
また、増資する場合も1,000万口単位で行う必要があります。そのため、投資金額は1,000万円単位で行われる点には注意が必要です。
投資には面談が必要
ヘッジファンド証券で取り扱うヘッジファンドを利用するには、電話もしくはお問い合わせフォームから問い合わせをする必要があります。その後、商品についての詳細や契約の手続きを行う必要がありますが、ファンドの販売となるので面談をしなければなりません。
面談をして投資内容について、リスクの認識、その他重要事項の説明を受けながら同意することで、ファンドを購入することができます。そのため、投資信託のようにネットから簡単に注文できるものではありません。
6ヶ月間は解約できない点に注意
ヘッジファンド証券は一度申し込みを行い出資した後は、6ヶ月間解約ができません。そのため、運用実績がどうなろうと6ヶ月間は保有しておかなければならないことには注意しましょう。
一方で、ヘッジファンド証券では、他のヘッジファンドに比べて解約の流動性が高いことが特徴です。
その他ヘッジファンドの場合 | ヘッジファンド証券の場合 | |
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換金月 | 3ヶ月に1度(3月、6月、9月、12月) | 毎月 |
換金通知 | 45日前 | 25日前 |
他の証券会社では3ヶ月間解約ができないのに対して、ヘッジファンド証券では換金できる月が毎月あるため、すぐに買い戻すことが可能です。資金の入用の際や他の投資先に投資したい場合に比較的スピーディに換金できることはメリットだといえます。
ヘッジファンド証券の手数料
ヘッジファンド証券を利用する際には、販売会社であるヘッジファンド証券と運用会社であるエピック・パートナーズ・インベストメンツの2社にそれぞれ手数料を支払う必要があります。
具体的には、次のような手数料がかかります。
種類 | 費用 | 支払先 |
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管理手数料 | 年間1%〜1.5% | ヘッジファンド証券 |
運用報酬 | 年間3% | エピック・パートナーズ・インベストメンツ |
成功報酬 | 運用益に対して20% | エピック・パートナーズ・インベストメンツ |
上記の手数料のうち、契約手数料以外は毎年発生するものです。したがって、リターンが小さい場合は、コストの方が上回ってしまう可能性もあることには注意が必要です。
その他のおすすめヘッジファンド
ヘッジファンド証券以外にも、ヘッジファンドを取り扱う会社はあります。ここからは、その他のおすすめのヘッジファンドを3つ紹介します。
それぞれ異なる投資手法を用いているため、成長性なども含めて確認しましょう。
ヘッジファンド | 特徴 |
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Japan Act | ・バリュー株投資 ・アクティビストとしての投資 ・年間利回り10%以上 |
BMキャピタル | ・バリュー株投資 ・リスク管理に長けている |
トータスパートナーズ | ・未上場の会社に投資 ・ESGを重視している |
それぞれのヘッジファンドについて、詳しく見ていきましょう。
Japan Act
Japan Act合同会社(以下、Japan Act)は、日本の上場企業を対象に運用しているアクティビストファンドです。
アクティビストファンドとは、成長性が期待できる企業や株価が割安な企業に対して、事業提案を積極的に行い株主としての価値の向上を目指すファンドです。
つまり、投資先の企業に対してアドバイスや提言を行い、企業価値、利益を上げようとしているファンドです。
アクティビスト的に投資を行っているヘッジファンドは日本でも多くありますが、Japan Actは比較的時価総額の小さい企業で、大手のアクティビストたちがカバーできていない銘柄を中心に投資しています。時価総額の小さい企業はまだまだ改善余地があり、アクティビストによる提言の効果が大きいです。
このように、投資家としての本質を目指しながら運用を行っているため、リターンを期待できます。実際、過去の平均利回りは10パーセントほどと、大きなリターンを狙うことも可能です。
BM Capital
ビーエムキャピタル合同会社(以下、BM CAPITAL)は、2013年に設立されたヘッジファンドです。Japan Actと同じく、バリュー株(割安株)への投資を行っています。
リスク管理に強いことが特徴で、2020年1月から始まった新型コロナウイルスの影響による日経平均株価の大暴落の際にも、BM Capitalは損失を回避しプラスの収益となっています。新型コロナウイルス感染時はどのファンドも大きな損失を発生させていたのに対し、BM Capitalでは損失なしという成績を収めたのはリスク管理に長けていると言っても過言ではないでしょう。
TORTOISE PARTNERS(トータスパートナーズ)
TORTOISE PARTNERSでは、未上場の企業に対して投資を行い、その企業の利益や成長後の売却金によって収益を上げています。また、ESG投資を行っており、近年注目されているSDGsを重視している会社を評価しています。
ESGを重視している企業は、最終的には大きく成長されやすいという傾向があり、将来的に大きなリターンを期待することもできます。投資先の特性上、短期的な利益は見込みにくいため、長期的に安定したリターンを得たい方におすすめです。
まとめ
今回は、ヘッジファンド証券を紹介しました。ヘッジファンド証券は、大きなリターンも期待できる一方で、インデックスファンドやアクティブファンド以上のリスクの可能性もあります。
最低投資金額は1,000万円からであり、余剰資金がある場合の分散投資先の選択肢として利用するのが望ましいでしょう。
また、ヘッジファンド証券以外にも、ヘッジファンドを販売している会社はたくさんあります。その中でも、アクティビストとして上場企業の経営陣への提言を行い企業の成長性に着目するJapan Act合同会社は、運用先としてもおすすめのファンドです。
今回お伝えしたことを参考に、ヘッジファンドの購入を検討してみてはいかがでしょうか?