
ヘッジファンドに興味がある人にとって一番怖いのが、失敗することではないでしょうか?大金を預けるのですから、堅実に利益を出せるヘッジファンドに投資したいですよね。
この記事では、ヘッジファンドへの投資でよくある失敗事例や選び方で気を付けるポイントなどを解説していきます。ヘッジファンド選びで失敗したくない人は、最後までご覧いただければ幸いです。
目次
ヘッジファンドに投資する場合によくある失敗事例と原因
そもそも「ヘッジファンドに投資して失敗した」と言っている人は、一体どんなことにつまずいてしまったのでしょうか?ヘッジファンドでよくある失敗事例と原因は、主に次の5つです。
- ヘッジファンドが運用に失敗する
- 手数料が高すぎて利益が出ない
- ヘッジファンド会社が倒産する
- お金が必要なときに解約できない
- お金を集めて逃げる詐欺会社
あらかじめ失敗する原因を知って学んでおけば、投資で失敗する確率を下げられます。原因を詳しく解説していきましょう。
ヘッジファンドが運用に失敗する
ヘッジファンドは投資のプロが投資家のお金を運用する商品ですが、プロと言えど、運用に失敗してしまうことはあります。ヘッジファンドが運用に失敗したため、投資家の資金が元本割れを起こしてしまった、という失敗事例は非常に多いです。
そもそも、投資は大なり小なりリスクが伴うので、投資家は元本保証ではないことを納得した上で投資しましょう。1円も元本割れを許容できない方は、銀行の定期預金のような元本保証の金融商品で運用してください。
とはいえ、数ある投資商品の中ではヘッジファンドはリスクが低い方です。株式や債券といった一般的な商品だけでなく、先物やデリバティブ、オプションなどの専門的な商品にも投資可能な運用で、高い自由度がウリです。この自由度によって、下落相場でも利益を出せるよう工夫しているからです。
元本割れのリスクが高いファンドを避けて、リスクが低いファンドを選ぶには、ヘッジファンドの正しい選び方を身につけることが大切です。具体的な方法は後述するので、自分のお金は自分で守る意識で読み進めていただければと思います。
手数料が高すぎて利益が出ない
ヘッジファンドの失敗事例でよくあるのが、運用で利益は出ているのに、会社の取り分である手数料が高すぎて、投資家にはあまり利益が入って来ないことです。投資家にとっての利回りがよくある投資信託と同じレベルになっていることもあり、こうなるとわざわざヘッジファンドに投資する魅力はありません。
例えば、1,000万円を預けたヘッジファンドが運用で年率20パーセントの利益を出したと仮定しましょう。利回りが高い株式投資でも3パーセントから7パーセントほどが目安なので、利回り20パーセントはかなりの好成績です。
しかし、このうち50パーセントが成功報酬、投資家が得られる利益は10パーセントです。さらに手数料として利益のみならず運用資産全体に5パーセントの手数料がかかった場合、投資家が得られる利益は5パーセント弱となってしまいます。
一般的な株式投資でも3~5パーセント程度の利回りは狙えるので、天秤にかけたときにわざわざヘッジファンドに預ける意味はあるのかどうかを判断しましょう。
この仮定では、年率20パーセントとかなりの高利回りを想定していますが、成功報酬50パーセント・管理報酬5パーセントと高い手数料を設定することで、利益の大部分が相殺されてしまうことがわかります。
このことを知らずにヘッジファンドを選んでしまい、「ほとんど利益が出なかった……」という失敗事例が非常に多いです。
ヘッジファンド会社が倒産する
ヘッジファンド会社が倒産したケースも、失敗事例と言えます。投資家のお金を使って運用に失敗した場合、お金が返ってくる可能性は低いでしょう。
ヘッジファンドの倒産で有名なのが、アメリカのLTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)です。アジア通貨危機やロシア財政危機といった相場の混乱を乗り切ることができず、巨額の損失を出して倒産してしまいました。
当時の損失額は46億ドル(約5,000億円)に上ると言われています。
どんなヘッジファンドも「絶対に失敗しない」と言い切れるわけではありませんが、LTCMなど倒産したファンドから学んでいるため、優良会社は倒産しないようにリスク管理を行っています。金融危機を乗り切れるヘッジファンドを選ぶことが、投資で成功するカギとも言えるでしょう。
お金が必要なときに解約できない
ヘッジファンドの解約は自由にはできないので、「お金が必要になったから解約しようと思ったのに、できなかった!」という意見が多数見られます。契約時に説明を受けていなかったのかもしれませんが、解約できるタイミングは理解してから投資した方が良いでしょう。
ヘッジファンドの運用は、少数の投資家から1,000万円単位のまとまったお金を預かるものなので、自由に解約できるようにするとお金の出し入ればかりが大きくなり、運用しにくくなってしまいます。このような理由のため、解約できる機会が限られているのです。
解約できない期間のことを「ロックアップ期間」と呼び、契約から1年程度のロックアップ期間を設けているファンドが多いです。1ヶ月ごと、3ヶ月ごとに解約できる場合など、ヘッジファンドによって解約に対する考え方が異なります。
ヘッジファンドは自由に解約できないことは理解した上で、会社によって異なる解約時のルールについては契約前に確実に確認しておきましょう。
お金を集めて逃げる詐欺会社
最悪なのが、投資すらしていない詐欺の業者にお金を騙し取られる失敗事例です。「ヘッジファンド詐欺」とも呼ばれており、お金に余裕がある富裕層で被害が相次いでいます。
詐欺会社にお金を騙し取られると、利益が出ないどころか元本の返済についても希望が持てません。警察が対応してくれても全額返金されたケースは少ないので、そもそも騙されないように気を付ける必要があります。
詐欺会社の特徴としては、「絶対に儲かる」などのように元本保証であることを強調したり、新規の契約者を紹介したら報酬がもらえたりといったマルチ商法のようなやり方をしていることが挙げられます。
真っ当なヘッジファンド会社であれば、このようなことは絶対にしません。
また、最初は10万円などの少額で出資を受け付け、徐々に金額を増やしていくといったやり方で資金を集め、トンズラすることもあります。10万円を出資したら実際に利益が振り込まれ、20万円、30万円と増えていったので、思い切って200万円を出資したら会社と連絡が取れなくなった……というケースです。
警戒心を解くために少額の利益を振り込んで大金を出資させるという汚い手口です。
詐欺を働く人も、ぱっと見は良い人そうに見えるので、騙されてしまう人がいるのです。元本保証の強調やマルチ商法に遭遇したら、すぐに契約せずにいったん離れることをおすすめします。冷静になれば、詐欺ではないかと疑えるようになるでしょう。
ヘッジファンドでの失敗を防ぐ対策
詐欺会社の場合は置いておくとしても、どんな優良ヘッジファンドでも運用に失敗して元本割れを起こしてしまうリスクはあります。そうなると投資家が損をすることになるので、ヘッジファンドで大きな失敗をしないために対策をしておきましょう。
次の3点に気を付ければ、リスクを低く抑えて投資することができます。
- 余剰資金で投資する
- できるだけ少額で始める
- ヘッジファンドの選び方を身につける
余剰資金で投資する
ヘッジファンドに限らず、投資に使って良いお金は余剰資金だけです。生活費やマイホーム購入などのために貯めているお金を使ってしまうと、運用に失敗してお金が少なくなったとき、人生設計を変更しなければならない事態になるからです。
運用で大きな利益を出すには元本の大きさも重要なので、生活費や貯金に手を付けたくなってしまう気持ちはわかります。ですが、これらの絶対に減らしてはいけない資金には手を付けないことをおすすめします。
生活費でもなく、使う目的が決まっていないお金のことを「余剰資金」と言います。ヘッジファンドへの投資に使うのは余剰資金だけにしましょう。余剰資金なら元本割れしても構わないとまでは言いませんが、人生設計を変えるほどの大ダメージを被ることはありません。
できるだけ少額で始める
ヘッジファンドの投資申し込みは、1,000万円以上から受け付けていることが多いです。この金額をポンと出せる方なら問題ないかもしれませんが、多くの方にとってはかなりの大金です。
身の丈に合わない投資をすると余剰資金以外のお金に手を付けることになりかねないので、できるだけ少額で始められるヘッジファンドを探して投資することをおすすめします。100万円から投資できるファンドや、500万円から始めて少しずつ増やしていくことができるファンドなど、さまざまな商品があります。
ヘッジファンドは少数の投資家から出資を受け付けているので、少額投資などの相談に個別に対応してもらえることが多いのもありがたいメリットです。金額面で不安なことがあったら、面談のときに確認して希望を伝えてみましょう。
ヘッジファンドの選び方を身につける
ヘッジファンドで失敗しないために重要なのは、ファンドの選び方です。上述したような詐欺会社を見抜くだけでなく、手数料の高すぎるファンドも避けたいですよね。
他にも、収益性を負いすぎてリスクが高すぎるファンドも避けたいですし、収益と低リスクを両立しているファンドを探したいところです。
納得できるヘッジファンドを選ぶためには、選び方を身につける必要があります。どんなポイントに注意すれば正しく選ぶことができるのか、次の章で解説していきます。
ヘッジファンドの失敗しない選び方
ヘッジファンドで失敗しないためには、優良ファンドを選ぶことが重要です。次の5つのポイントに気を付ければ失敗しにくいので、選び方を身につけてからヘッジファンドへの投資を始めましょう。
- 投資戦略
- 投資先
- 運用実績
- 手数料
- 解約方法・ロックアップ期間
投資戦略
ヘッジファンド選びで最も重要なポイントが「投資戦略」です。どうやって利益を出しているのかを把握することで、そのファンドのリスクが高いか低いかをある程度は判断することが可能です。
例えば、割安株に投資する戦略を取っている場合、現在より株価が下がるリスクが低いと考えられ、元本割れのリスクも低く抑えられるでしょう。新興国に投資するヘッジファンドの場合、高い経済成長率に乗って高収益を期待できる反面、新興国特有の政情不安に関するリスクや為替リスクもあり、リスクも高いと考えられます。
また、どのような場合に損失が出るのかをヘッジファンド会社に確認しておくと良いでしょう。申し込み前に社員と面談する機会があると思いますので、どんな状況で損失が出て、どのように対処するのかを確認するのがおすすめです。
ここで言葉を濁すようなら、詐欺の可能性が高いとも言えます。
ヘッジファンドを契約する前に、できるだけ詳しく投資戦略を確認しておきましょう。戦略の細かいところまで社外に漏れるとヘッジファンドが運用しにくくなりますが、概要はきちんと教えてくれるはずです。
投資先
ヘッジファンドが何に投資をしているのかもしっかりと確認しておきましょう。株式や外貨といった投資先には目安の利回りがあるので、ヘッジファンドの運用実績と照らし合わせることで、妥当な運用ができているかを確認できるからです。
例えば、国内の上場株式だと平均的な利回りは3パーセントから7パーセントです。未上場の株式だと、10パーセント以上を狙うこともできるでしょう。
海外だと、先進国5%~10%程度、新興国なら10パーセントから20パーセント程度も狙える範囲です。
以上を踏まえると、もしヘッジファンド会社が「うちは新興国に投資していて利回りは5パーセントです」とか「国内株式への投資で利回り50パーセント以上をたたき出しています」と言った場合、「なんだか変だな」と気づけることでしょう。前者は利回りが低すぎて投資する魅力に欠けますし、後者は利益が大きすぎて怪しいです。
投資先によって取れる利回りがある程度は決まってくるので、目安から著しく外れたヘッジファンドへの投資は控えた方が良いかもしれません。上記の例はかなり極端ですが、似たようなことは実際にあるので、気を付けて選ぶようにしてください。
運用実績
これまでの運用実績も、ヘッジファンド選びで重要なポイントです。継続的にプラスの利回りが出ているか、市場平均(3パーセントから5パーセント程度)を上回るパフォーマンスが出ているかを確認します。
平均を下回るパフォーマンスだったら、投資信託に投資した方が良いと考えることもできるでしょう。
実績を確認するときに気を付けたいのが、利回りに関する用語です。「表面利回り」と「実績利回り」は異なりますし、さらにヘッジファンド会社によっては別の名前で実績を公開していることがあるからです。
表面利回りはヘッジファンドの収益率を示しますが、実績利回りはそこから手数料や税金を差し引いた利回りで、投資家が実際に得られる利益に近いです。会社が提示する表面利回りが高い場合でも、手数料でごっそり利益を差し引かれ、実績利回りは大したことがないというケースもあります。
そのため、必ず実績利回りや投資家の手元に入っている利益の金額を確認しましょう。
また、ヘッジファンド会社によっては利回り以外の言葉で実績を公開していることがあります。詐欺会社の場合、別の言葉をさも実績利回りのように使い、投資家に嘘をつかずに騙すようなことをしています。
ホームページの説明や面談中に「表面利回り」や「実績利回り」以外の用語を見つけたら、必ず意味を確認しましょう。
手数料
ヘッジファンドで失敗しないためには、手数料が適正なファンドを選ぶ必要があります。失敗事例でも紹介したように、利益が出ているはヘッジファンドでも手数料が高すぎて投資家にはほとんど利益が出ないケースがあるからです。
ヘッジファンドの手数料は、主に管理報酬と成功報酬の2つです。あとは、契約時に申し込み手数料がかかる場合があります。
管理報酬は、預かっている資産全体にかかる手数料です。1,000万円を預けている場合、管理報酬が5パーセントなら50万円が手数料として差し引かれます。
これは、ヘッジファンドが利益を出している場合も損失を出している場合もかかります。管理報酬の目安は2パーセントから5パーセント程度が一般的です。
成功報酬は、ヘッジファンドがプラスの利益を出したり、目標の利益を上回ったりしたときにかかる報酬です。「利益の〇%」と設定されていることが多く、成功報酬が50パーセントの場合、利益の半分がヘッジファンドのものになります。
成功報酬は20パーセントから50パーセントが一般的ですが、50パーセントだとヘッジファンドの取り分が大きいので、高利回りなファンドかどうかが投資家のメリットを考える焦点となります。
解約方法・ロックアップ期間
解約方法とロックアップ期間も確認した上で、ヘッジファンドを選ぶようにしましょう。ヘッジファンドによって解約の自由度が異なるので、理解せずに契約してしまうと、お金が必要なときに引き出せなくなってしまうかもしれないからです。
基本的には、契約から1年はロックアップ期間と言い、解約できないケースが多いです。そのため、1年後まで使う予定がない余剰資金で投資をするのが重要にもなってきます。
もし少しの期間だけヘッジファンドを試したいのであれば、1ヶ月ごとに解約ができるファンドなどニーズに合ったファンドを探しましょう。また、申し込み時の面談のときに引き出し制限について確認し、全額解約ではなく一部引き出しが可能かなども聞いておくと良いでしょう。
おすすめのヘッジファンド
ヘッジファンドの選び方を解説してきましたが、具体的にどの会社がおすすめなのか早く知りたいと思っている方もいらっしゃるでしょう。
ここからは、初心者にもおすすめできるヘッジファンド3つを紹介していきます。どの会社が良いのか迷っている方は、ぜひ投資のヒントにしていただければと思います。
Japan Act(ジャパンアクト)
Japan Act(ジャパンアクト)は、アクティビスト投資を行うヘッジファンド会社です。アクティビスト投資とは、企業の株式を買うことで投資し、株主としての議決権を行使することで企業の体質改善などに資する投資方法です。ヘッジファンド会社の提言によって企業の業績が向上すれば、企業も嬉しいですし、ヘッジファンドも株価上昇の恩恵を受けられるので、Win-Winな投資方法です。
Japan Actでは、株式会社サンエー化研や昭和パックス株式会社に対してアクティビストとして提言を行っています。詳しくは公式ホームページに掲載されているので、どんな提言をしているのか興味がある方はご覧ください。
BMキャピタル
BMキャピタルは国内の割安株に投資し、株価上昇などによって利益を出しているヘッジファンドです。Japan Actと同様、アクティビスト投資によって企業に提言もしています。
成功報酬が50パーセントと高めの設定になっているのですが、高収益で人気があるヘッジファンドです。口コミが多いことも投資の判断材料になるでしょう。
トータスパートナーズ
トータスパートナーズも、国内の未上場の株式に投資して株価上昇などによって利益を出しているヘッジファンドです。後継者不足に悩む優良中小企業を支えるというユニークな理念を持っており、投資と社会貢献の両立ができると考えられます。
トータスパートナーズも成功報酬が50パーセントと高めに設定されているのですが、ESG投資で長期的な収益が狙えるファンドです。SDGsなど先進的な考えを取り入れていることが特徴です。
まとめ
ヘッジファンドに投資した人の失敗事例や、失敗しないための選び方などについてお伝えしてきました。投資戦略や手数料などをしっかり比較することで、詐欺会社や無理な運用をしている会社は省くことができます。
この記事で学んだポイントを活かし、低リスクのヘッジファンドを選びましょう。
3年間の金融機関への勤務を通じて投資を学ぶ。1ヶ月で20万円を副業デイトレードで稼いだものの、放っておける長期投資にシフト。20代だが600万円以上を株式、投資信託、ETFで運用し、高配当銘柄で毎月万単位の不労所得を獲得している。iDeCo、NISAも最大限活用中。