和製ヘッジファンドとして注目されている「ハヤテインベストメント」をご存じでしょうか?国内の有望企業に投資をしており、過去には年間利回り98パーセントを達成したこともあります。
ハヤテインベストメントに投資しようか迷っている方や、怪しい会社ではないかと心配している方のために、この記事ではハヤテインベストメントの特徴がわかる情報をまとめました。会社の特色や投資方法、手数料体系などを理解してから、投資するかどうかを判断していきましょう。
ハヤテインベストメントとは
ハヤテインベストメントは、創業者である杉原行洋氏が率いるヘッジファンド会社です。2013年には98パーセントという驚異的な利回りを達成したこともあるファンドで、投資家から注目されています。日経新聞にもインタビュー記事が掲載されたこともあります。
ここでは、ハヤテインベストメントの運用方法や本拠地などの特色について解説していきますので、全体像を把握していきましょう。
日本の株式会社への投資
ハヤテインベストメントは、日本の株式会社への投資によって収益を出しています。これから業績が向上すると見込める中小企業などにいち早く投資を行い、株価の向上によって資産を増やしています。
現在、安くて丈夫なアウトドア用の衣料品が手に入るとして大人気の「ワークマン」にも、先んじて目を付けていました。現在の人気ぶりを見ればわかるとおり、株価は大きく上昇しており、杉原氏を始めとするアナリストの分析力を伺い知ることができます。
本拠地は日本
ハヤテインベストメントは、本拠地を日本に構えています。当初は節税メリットが大きいシンガポールで会社を設立しましたが、日本にいる顧客へアプローチするため、日本に拠点を移しました。
また、ハヤテインベストメントは「市場と社会に埋もれた素晴らしい日本企業・技術を世界に知らしめる」というミッションを掲げています。世界から後れを取っていると言われる日本への誤解を解くため、ハヤテインベストメントは日本を拠点にして国内の企業に投資を行っています。
2005年に創業
ハヤテインベストメントは2005年に創業した会社で、15年以上の実績があります。
ヘッジファンドの寿命は比較的短く、数年で運用を終了してしまうこともよくあります。そのような厳しい世界で15年以上も運用を続けることができているので、高い実力を持つヘッジファンドと言えます。
日経新聞に掲載実績あり
日経新聞に、ハヤテインベストメントの記事が掲載(外部リンク)されたことがあります。杉原行洋氏のインタビューを中心に、ハヤテインベストメントの運用方法や特色について述べられています。
新聞社からの取材を受けたことや、オフィスの写真が掲載されていることなどから、ハヤテインベストメントは実体があるヘッジファンド会社であることがわかります。
ヘッジファンド界隈には残念ながら詐欺も多く、投資家からお金だけ集めて逃亡するケースもあります。ハヤテインベストメントの場合、取材対応などを行っていることからやましい事情はないと考えられ、詐欺に遭うのが心配な方も投資することができるでしょう。
ハヤテインベストメントの投資の特徴
ヘッジファンドに投資する際、重視したいのが「収益が見込める投資方法なのか」というポイントです。ここでは、ハヤテインベストメントがどのような投資を行っているのか解説していきます。
特に投資対象となる企業を選ぶ企業調査がユニークなので、高利回りを達成する秘訣について理解を深めていきましょう。
絶対収益追求型
ハヤテインベストメントでは、多くのヘッジファンドと同様に「絶対収益追求型」の運用を行っています。
「絶対収益」とは、市場が上昇しているときも下落しているときも利益が出るように工夫して運用する方法のことです。工夫せずに運用すると、上昇しているときは利益が出て、下落しているときは損失が出ることが多くなりますが、そうならないように工夫をしています。
ただし、利回りがマイナスとなった年もあります。確実に利益を出せるわけではないということは覚えておいてください。
中小企業の株式が中心
ハヤテインベストメントは、中小企業の株式を中心に投資しています。すなわち、日本の証券取引所に上場している約4,000銘柄のうち、時価総額が1,000億円以下である約3,000銘柄の中から、投資対象を厳選しています。
中小企業は、大手企業に比べてメディアへの露出が低かったり、機関投資家による調査が行き届いていなかったりします。そのため、「非常に期待できる企業なのに、株価が低い状態のまま放置されている」といった企業が多く眠っているのです。
ハヤテインベストメントは、そのような中小企業の中から有望な会社を選んで投資をしています。
企業調査により有望な企業を発掘
有望な会社を発掘するために、ハヤテインベストメントは企業調査を重視しています。企業調査の方法がユニークで、企業訪問や工場見学、店舗視察などを通じて現場で情報収集を行っています。それも、アナリスト1人あたり年間で約1,000件の企業調査をしているそうです。
地道な企業調査を重視しているため、他の投資家が目を付ける前に将来有望な投資先を発掘することができているのです。
ただし、人間の手を介さない自動取引が主流になってきており、企業調査で必ずしも勝てるわけではない市場になってきています。これまで上手く行ってきた手法が今後も通用するとは限らず、ハヤテインベストメントにとって今後は苦しい環境になる可能性もあります。
ハヤテインベストメントの評判・口コミ
ここからは、ハヤテインベストメントを実際に利用したことがある人や、面接を行った人の口コミを紹介していきます。実績や仕組みについて解説していきますので、資産運用を任せられる会社なのか考えながら読んでみてください。
過去の利回り
ハヤテインベストメントの過去の利回りは、年によって大きなばらつきがあります。
2013年は98パーセント、2017年は42パーセントと非常に大きな成果を出した年もあれば、2018年の-16パーセントのように苦戦した年もあります。全体的に見ると、10パーセント前後の利回りが目安になるかと思います。
なお、2018年頃に優秀なリサーチャーが1人退職したらしく、-16パーセントというマイナス利回りの要因の一つに考えられます。その方が抜けた穴が大きいのであれば、今後もマイナスの利回りが続いてしまう可能性があるでしょう。
最低投資額
ハヤテインベストメントの最低投資額は1,000万円です。
ヘッジファンドの最低投資額は1,000万円に設定されていることが多いので、標準的と言えます。もう少し少額から投資を始めたい方は、最低投資額が小さいヘッジファンドを検討しましょう。
第三者機関の介入
商品の販売窓口や資産管理、監査などを行うのはハヤテインベストメントではなく、外部の第三者機関です。第三者が介入しているため、不正などが起こりにくい仕組みとなっています。
仕組みは投資信託と似ており、例えば販売窓口はキャピタルパートナーズ証券です。投資家はハヤテインベストメントに直接申し込むのではなく、キャピタルパートナーズ証券に口座を開設し、投資を申し込みます。
ヘッジファンドに第三者機関が関わるため、不正が起こりにくく信頼感のある商品となっています。
ハヤテインベストメントの手数料
ハヤテインベストメントは第三者機関の介入を受けるため、不正が起こりにくいメリットがあります。一方で、各機関に手数料を支払う必要があり、利回りを下げる要因になっていることを見逃すことはできません。
ここでは、購入時手数料や成功報酬など各種の手数料について解説していきます。
購入時手数料
ハヤテインベストメントの購入時手数料は、1.1パーセントです。
購入時手数料は申し込み時に支払う手数料で、申し込み金額に対して1.1パーセントの手数料を支払うことになります。基本的には、販売窓口となるキャピタルパートナーズ証券への支払いとなります。
信託報酬
信託報酬は、年間で2パーセントに設定されています。
信託報酬とは、ハヤテインベストメントに資産運用を任せるための手数料です。運用資産残高に2パーセントかかります。
信託報酬は、運用で利益が出ているかどうかに関わらず支払う手数料です。利回りがマイナスになった年も支払うため、信託報酬はできる限り低い方が投資家にとっては魅力的です。
ハヤテインベストメントの信託報酬は2パーセントで、ヘッジファンドとしては平均的かやや低いかといった良心的な水準です。
成功報酬
成功報酬は、あらかじめ決めた目標を達成したときに支払うボーナスのような手数料です。ハヤテインベストメントの場合は20パーセントに設定しており、利益が出た場合に利益の20パーセントがハヤテインベストメントの成功報酬となります。
ヘッジファンドの成功報酬は30パーセントから50パーセントに上ることも多いため、ハヤテインベストメントの20パーセントという設定は良心的だと感じます。
解約手数料
ハヤテインベストメントのファンドを解約する場合、投資期間が1年未満の場合は3パーセントの解約手数料がかかります。ただし、口コミによると1年以上の投資を行っていれば解約手数料はかからないとのことで、非常に良心的です。他のヘッジファンドだと、解約時にも手数料がかかることが多いからです。
以上のように、ハヤテインベストメントに投資をするなら手数料の支払いも無視できません。ただし、他者のヘッジファンドと比べて著しく高いわけではなく、むしろ良心的な水準と言えます。
ハヤテインベストメントに投資する方法
ハヤテインベストメントに投資するには、キャピタルパートナーズ証券で口座を開設する必要があります。
一般的なヘッジファンドを申し込むときは、ヘッジファンド会社にアポイントを取って面談してから契約となります。しかし、ハヤテインベストメントは運用会社であり、商品の販売は行っていないため、ハヤテインベストメントの社員と面談することはありません。
説明を受けたい場合、販売窓口となるキャピタルパートナーズ証券の社員と面談を行います。また、解約する際もキャピタルパートナーズ証券に申し出ます。
その他のおすすめヘッジファンド
ハヤテインベストメントは国内の有望企業に投資するヘッジファンドであり、日経新聞からも取材を受けている信頼感が魅力に感じられます。一方で、優秀なリサーチャーが抜けてからの運用成績に対する懸念もあります。
したがって、投資をする前に他のヘッジファンドも比較した上で、自分が納得できる会社を選ぶべきです。ここでは、ハヤテインベストメントの他におすすめのヘッジファンドを3つ紹介していきますので、以下のファンドも候補に入れて検討していきましょう。
Japan Act
Japan Actは、アクティビスト投資を行うヘッジファンド会社です。国内の上場企業に投資している点は、ハヤテインベストメントともよく似ています。
「アクティビスト投資」とは、株価が割安な会社の株式を買うことで株主になり、株主の立場から経営に提言を行って株価の向上に資する投資方法です。Japan Actの提言によって業績が改善すれば、市場からの評価が高まって株価が向上するため、割安状態で仕込んだ株式から利益を得ることができます。
Japan Actは情報公開にも積極的であり、株主になっている株式会社サンエー化研や昭和パックス株式会社などに対してどのような提言を行ったのかについて、ホームページで報告しています。
ヘッジファンドは秘密主義な会社が多く、面談するまで詳しい情報を教えてもらえないことが多いのですが、Japan Actは他社よりもオープンに公開されています。情報の透明性はピカイチです。
Japan Actは過去に10パーセントを超える利回りを達成しており、目安としてはハヤテインベストメントと同程度と言えます。
最低投資額は原則として1,000万円ですが、500万円と少額から始め、少しずつ増やしていくことも相談可能です。少額でヘッジファンドへの投資をしたい方にもおすすめのファンドです。
BM CAPITAL
BM CAPITALも、上場の企業に投資するバリュー投資をメインとしたヘッジファンド会社です。Japan Actと同様に、割安な株式を購入して企業の株主になり、時には経営に対して提言を行うことで企業価値の向上や株価の向上に貢献しています。
過去の利回りは10パーセント以上を出しており、ハヤテインベストメントと同じくらいの利回りが期待できます。
BMキャピタルは、ロックアップ期間(申し込み後の解約できない期間)が3ヶ月と短い特徴があります。通常、ヘッジファンドは1年程度のロックアップ期間がありますが、BMキャピタルは3ヶ月と短いです。
そのため、短期間だけヘッジファンドの運用を試してみたい方にもおすすめです。
TORTOISE PARTNERS(トータスパートナーズ)
TORTOISE PARTNERS(トータスパートナーズ)は、国内の非上場企業への投資を中心としているヘッジファンドです。
ESG投資を行っており、SDGsをビジネスチャンスとする会社などに投資を行っています。持続可能な社会に貢献できる会社への投資は、長期にわたって利益を見込むことができます。
これまでの利回りは3パーセントから8パーセント程度とのことで、ハヤテインベストメントやJapan Actなどと比べると、若干低くなっています。ヘッジファンドは10パーセントや20パーセントといった利回りを狙うので、業界全体で見ても若干低めの利回りになっていると言えます。
しかし、TORTOISE PARTNERS(トータスパートナーズ)はESG投資を行っていることから、短期で大きく儲けるよりも長期でコツコツ稼ぐ方針を採用していると解釈できます。長期にわたる投資をしたい方は、トータスパートナーズも選択肢に入ってくるでしょう。
まとめ
ハヤテインベストメントの特色や実績、手数料などについて解説してきました。過去には利回り98パーセントを達成したこともありますが、優秀なリサーチャーが抜けてしまったためか、直近ではマイナスの成績となった年もあります。
どのような投資方法にもリスクはあるため致し方ないですが、他のヘッジファンドも比較した上で、納得できるファンドを選びましょう。