コーポレートガバナンスを理解して企業価値の高い会社の株を買う方法

個人投資家のみなさん、最近の株式投資は順調に利益を上げていますか?

うまくいっていない方はおそらく、どこの会社の株を買えば良いか、投資する会社選びに迷いが生じているのではないでしょうか?

ROE,PRE,PBR,CFなど投資に向いている会社を判断するための指標は多く存在します。

しかし、それらの指標から判断したとしても上手に株を買えるかは分かりません。

一つでも多く、投資価値のある企業を探す手段を持っていたほうが良いでしょう。

そこで注目するべきは「コーポレートガバナンス」です。

この言葉を初めて聞く方にもわかりやすく、コーポレートガバナンス解説をしていきます。

企業価値が高く、なおかつ投資価値のある企業を探す手助けになれば幸いです。

1、コーポレートガバナンスとは?

コーポレートガバナンスとは、直訳すると「企業統治」です。

分かりやすく言うと、企業経営の仕組みのことで、企業の収益力及び競争力の向上や不正行為の防止のために策定されます。

具体的には以下の5項目です。

  • 株主の権利・平等性の確保
  • 株主以外のステークホルダーとの適切な協働
  • 適切な情報開示と透明性の確保
  • 取締役会等の責務
  • 株主との対話

これら項目は「企業は株主のもの」という大前提の元に策定されています。

株主の利益を守るためにコーポレートガバナンスは存在します。

企業がどのくらいコーポレートガバナンスを遵守しているかにより、企業価値を測ることができます。

また、日本企業が国際競争力をつけるためにもコーポレートガバナンスを徹底する動きが近年活発になってきています。

株式投資をする上でさらに注目するべき制度となります。

2、コーポレートガバナンスコード

コーポレートガバナンスを遵守するために策定された約束事を「コーポレートガバナンスコード」と呼びます。

コーポレートガバナンスコードの達成率で具体的な企業価値を測ることができます。

上述の5項目それぞれを原則とし、詳細内容が策定されています。

2015年3月に金融庁と東京証券取引所で取りまとめが開始されました。

コーポレートガバナンスと合わせてよく出てくる言葉ですので、こちらも覚えておきましょう。

詳細内容については次のJPXの公式サイトで参照することができます。

基本原則一覧

  • 株主の権利・平等性の確保
  • 株主以外のステークホルダーとの適切な協働
  • 適切な情報開示と透明性の確保
  • 取締役会等の責務
  • 株主との対話

JPX:コーポレートガバナンス・コード

3、コーポレートガバナンスのメリットとデメリット

コーポレートガバナンスを遵守することのメリットは何があるのでしょうか。

また、デメリットは存在するのでしょうか。

(1)メリット

コーポレートガバナンスの策定理由である「企業は株主のもの」という原則がそのままメリットとなります。

企業はあくまで企業自身の利益のために存在するのではなく、株主ひいては社会のために存在することを強調できるため、企業により社会的な役割を義務付けることができます。

また、上述の理由から投資家が安心して投資ができる理由にもなります。

コーポレートガバナンスを遵守しているかどうかで株主への利益還元を正しく行っているかを判断することができるためです。

(2)デメリット

「企業は株主のもの」という原則がデメリットに働くこともありえます。

例えば、企業が独創的な挑戦(新製品の開発、海外進出など)をしたい場合は当然リスクが発生します。

投資家によってはリスクのある経営を好まない場合もあるので、リスクをとった経営戦略に反対することもあります。

経営に口出しをされることを好まず、企業内の人間のみで意思決定をしたい場合は、コーポレートガバナンスは足かせになってしまいます。

そのような企業は株式を公開せず、自社の役員のみで経営にあたります。

4、ROE(自己資本比率)8%が目安に!改善に向かう日本企業

1章で述べた通り、コーポレートガバナンスは日本企業の国際競争力を醸成するために策定されました。

2014年に経済産業省から発表された伊藤レポートにおいて、日本企業が海外企業と戦っていくためにはROEを8%以上にすることが叫ばれています。

ROEは自己資本比率のことで、ROE=当期純利益÷自己資本×100で計算され、企業の「稼ぐ力」の指標とも言われています。

ちなみに、世界経済の中心であるアメリカ企業のROEは17%となっており、8%でもまだまだ日本企業は世界のトップに倍以上の差をつけられてしまっています。

アベノミクスが契機となり叫ばれ始めたこの「ROE8%」ですが、アベノミクスが続く限りはまだまだ日本企業のROEは改善に向かっていくでしょう。

コーポレートガバナンス達成の指標としてROEも要チェックです。

5、ROEの高い銘柄を検索して良い点・悪い点を見極める方法

 

投資家がROEを分析コーポレートガバナンスの重要性とROEとの関係については上で述べたとおりです。

では、ROEが高い企業=企業価値が高いと考えていいかというと、そうとは限りません。

具体的にどのように高ROE企業に対して投資判断を行っていけばよいのでしょうか。

代表的な判断基準は、自己資本が多いか少ないかです。

ROE=当期純利益÷自己資本×100で計算されるので、自己資本が極端に少ない企業はそれだけでROEが高く算出されてしまいます。

具体的には借入金が多い企業にこの傾向が見られます。

借入金が多いということは景気の悪化などの影響を受けやすい、リスクの高い経営をしているということなので注意が必要です。

従って、業績好調・当期純利益高・高ROEの三拍子が揃って始めて企業価値の高い企業と呼べるでしょう。

6、2018年コーポレートガバンスの展開は?

2018年はどのようにコーポレートガバナンスは展開されるのでしょうか。

基本的な方向性はこれまでと変わらず、引き続きコーポレートガバナンスが強化されていき企業もより積極的に取り組んでいくでしょう。

詳しい取組内容は、2017年12月8日に閣議決定された「新しい経済政策パッケージ」

参考 http://www5.cao.go.jp/keizai1/package/20171208_package.pdf

上記の3-4頁で以下のようなコーポレートガバナンスコードの見直しを行うと記載されています。

  • 事業ポートフォリオの機動的な組替えなどの果断な経営判断
  • 企業が保有する現預金等の資産の設備投資研究開発投資人材投資等への有効活用
  • CEOの選解任・育成及び経営陣の報酬決定に係る実効的なプロセスの確立、並びに、経営陣に対する独立社外取締役による実効的な監督・助言

コーポレートガバナンスの課題は、「資本コストへの意識の低さ」「持ち合い株式」など海外と同様の資本コストの意識を日本企業も持つことを求められています。

7、さらにくわしく知りたい方にオススメ書籍

よりコーポレートガバナンスを学びたい方には以下の書籍がオススメです。

(1)コーポレートガバナンスの基本

コーポレートガバナンスの基本

一年前に発売したばかりの書籍です。

コーポレートガバナンスが生まれた背景から丁寧に説明されています。

表や図も多く、初心者の方にもオススメです。

(2)コーポレートガバナンスの教科書

コーポレートガバナンスの教科書

こちらはコーポレートガバナンス元年と呼ばれた2015年に発売された書籍です。

Kindle版が安いので今すぐ学びたい方にはオススメです。

まとめ

コーポレートガバナンスと企業価値の高い会社についてまとめました。

ROEをチェックして投資判断をする際にはコーポレートガバナンスのことを意識できるとよいでしょう。

今回の内容がご参考になれば幸いです。