
2019年は、消費税の増税がなされたこともあり、家計に不安を感じているかたも多いことでしょう。
そこで「資産運用」をはじめることも良い対策になります。
まずは高い利回りの期待できる商品にはどんなものがあるのかを、知ることからはじめましょう。
この記事では、高利回りの期待できる6種の金融商品それぞれの特徴と、メリット・デメリットを解説します。
目次
1、高利回り投資は株式の選択次第で可能
2019年2月7日には、6000億円規模の自己株式取得を発表したソフトバンクグループ(9984)株がストップ高となるなど、これだけの大型株であっても1日で20%近く上昇することもあります。
値動きの軽い小型株・低位株であれば、1週間で倍になることも珍しくありません。
しかしそれは、得られたリターンと同じぐらい大きなリスクをとっている裏返しでもあり、同じような高いリターンをあげ続けられる投資家はほとんどいません。
長期にわたり高いパフォーマンスを維持し、世界でもっとも成功した投資家と言われているウォーレン・バフェット氏の年間平均リターンは約20%(*)です。
バフェット氏は、1965年〜2017年の50年のうち年間リターンがマイナスとなった年は2回しかなく、年約20%運用を50年以上にわたり続けています。
それがいかに驚異的なものであるか、運用資産がこの間に11,880倍に増加していることからも明らかです。(*バフェット氏の投資会社バークシャー・ハサウェイの1965年〜2017年の純資産(簿価)成長率は年率19.1%・税引後BPS成長率)
(BERKSHIRE HATHAWAY INC. 2017 ANNUAL REPORT をもとに作成)
単発で年20%のリターンはそう驚くほどのことではありませんが、それを継続するとなると話は別です。
平均で年5%〜10%の運用ができれば、十分に高利回り投資であり、十分な運用成果が得られます。
たとえば1965年〜2017年のS&P500の年間平均リターンは9.9%(税引き前)です。
バフェット氏のような驚異的な運用はできなくとも、投資対象の選択次第で、年平均10%程度のリターンを狙うことも十分に可能です。
ここからは、高利回りを狙える商品の特徴とメリット・デメリットについて、商品ごとに解説していきます。
2、高利回り投資①:高配当株
配当を目的として高配当銘柄に長期スタンスで投資する方法。
(1)高利回り:配当メリット
- 安定した利回りが期待できる
- 短期的な値動きに左右されない投資が可能
(2)高利回り:配当デメリット
- 成長株のような株価の大幅な上昇は期待しにくい
- 減配リスク
減配リスクをなるべく抑えるには、業績、財務状態が安定しており、安定した配当が期待できる銘柄を選ぶことがポイントです。利益を上回る配当(1株あたり純利益<1株配当金)を行なっていないか、記念配当・特別配当などによる一時的な配当ではないかをよく確認しましょう。
日本株高配当利回り銘柄(2019年2月14日時点) | |||
銘柄 (コード) |
SUBARU (7270) |
キヤノン (7751) |
AOKI HD
(8214) |
配当利回り | 5.18% | 5.00% | 4.90% |
株価 (2/14終値) |
2,779円 | 3,202円 | 1,224円 |
最低投資金額 | 277,900円 | 320,200円 | 122,400円 |
時価総額 | 2兆1,380億円 | 4兆2,710億円 | 1,110億円 |
PER | 15.3倍 | 17.8倍 | 15.9倍 |
PBR | 1.38倍 | 1.51倍 | 0.76倍 |
ROE | 9.02% | 8.49% | 4.78% |
自己資本比率 | 53.84% | 57.71% | 61.25% |
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チャート:ヤフーファイナンス(選定条件:時価総額1,000億円以上、自己資本比率50%以上)
3、高利回り投資②:米国高配当株
配当を目的として米国の高配当銘柄に長期スタンスで投資する方法。
(1)高利回り:米国株配当メリット
- 安定した利回りが期待できる
- 短期的な値動きに左右されない安定した投資が可能
- 日本株に比べ株価上昇期待が高い
- 為替差益
(2)高利回り:米国株配当デメリット
- 為替(変動リスク、コスト)
- 減配リスク
米国高配当株投資では、バフェット流の投資を実践するバフェット太郎さんのブログ『バフェット太郎の秘密のポートフォリオ(米国株配当再投資戦略)』が参考になります。
米国高配当利回り銘柄(バフェット太郎さんのポートフォリオ) | ||||
ウォルマート (WMT) |
コカコーラ
(KO) |
アルトリア
(MO) |
フィリップモリス (PM) |
プロクター・アンド・ギャンブル (PG) |
ジョンソン・エンド・ジョンソン (JNJ) |
ベライゾン (VZ) |
アイビーエム (IBM) |
マクドナルド (MCD) |
エクソンモービル (XOM) |
4、高利回り投資③:ETF(上場投資信託)
ETF(上場投資信託)は、特定の指数(日経平均株価やTOPIX、S&P500)に連動する運用成果をめざす投資信託のうち、証券取引所に上場しているものです。
株式のほか、債券や不動産(REIT)、通貨、商品(コモディティ)などの指数に連動するETFもあります。
(1)高利回り:ETFメリット
- 少額で連動する指数(市場)全体への分散投資と同じ運用成果が期待できる
- 個別銘柄への投資よりもリスクが軽減される
- コスト(売買手数料、信託報酬(保有時)など)が一般的な投資信託に比べ割安
- 証券取引所の取引時間内であればリアルタイムで売買できる
(2)高利回り:ETFデメリット
- 連動対象の指数(市場)が下落すればパフォーマンスの低下は避けられない
ETFはインデックス投資の一種であり、パフォーマンスは連動対象の指数と一蓮托生です。
相場全体が下落すればパフォーマンスの低下は避けられません。
ただ成長が見込める市場(指数)を対象とするETFであれば、長期的にみた平均リターンは通常プラスとなります。
相場の下落局面での買い増し、積立の継続は利回りを高めることにつながります。
投資(連動)対象 | 銘柄(コード) |
米国株式 (S&P500) |
SPDR S&P500 ETF (1557) |
日本株式 (TOPIX) |
TOPIX連動型ETF (1306) |
米ドル建て投資適格社債 (米ドル建てリキッド投資適格指数) |
iシェアーズ・米ドル建て投資適格社債ETF (1496) |
5、高利回り投資④:海外ETF
海外の市場に上場しているETFを「海外ETF」といい、外国株式を取り扱う国内の証券会社で取引することができます。
(1)高利回り:海外ETFメリット
- 国内ETFよりも圧倒的に銘柄数が多い
- 少額で連動する指数(市場)全体への分散投資と同じ運用成果が期待できる
- 個別銘柄への投資よりもリスクが軽減される
- コスト(売買手数料、信託報酬(保有時)など)が一般的な投資信託に比べ割安
- 現地証券取引所の取引時間内であればリアルタイムで売買できる
- 為替差益
(2)高利回り:海外ETFデメリット
- 売買手数料が国内ETFに比べ割高
- 為替(変動リスク、コスト)
- 連動対象の指数(市場)が下落すればパフォーマンスの低下は避けられない
投資(連動)対象 | 銘柄(コード) |
世界株式 | バンガード・トータル・ワールド・ストックETF (VT) |
米国株式 (米国株式市場全体) |
バンガード・トータル・ストック・マーケットETF (VTI) |
米国株式 (S&P500) |
バンガード・S&P500ETF (VOO) |
iシェアーズ コア S&P 500 (IVV) |
|
米国株式 (米国優先株式) |
iシェアーズ・米国優先株式ETF (PFF) |
米国債券
(米国投資適格債券) |
バンガード・米国トータル債券市場ETF (BND) |
米国不動産 | iシェアーズ 米国不動産ETF (IYR) |
6、高利回り投資⑤:アクティビストファンド
アクティビストは物言う株主ともいわれ、株主の立場から投資先企業に対して提案などを行い、株主価値の最大化を図ることにより、収益獲得をめざします。個人投資家は出資を通じ、その運用成果を享受することができます。
(1)高利回り:アクティビストファンドメリット
- 株価上昇を待つだけの一般的な株式投資に比べ、利益が得られる可能性が高い
- 目先の株価ではなく本質的な企業価値を基準に投資判断を行うため、運用成果が相場環境に左右されにくい
- 高い利回りが期待できる
(2)高利回り:アクティビストファンドデメリット
- 出資にはまとまった資金が必要(最低出資額1000万円以上など)
- ファンドの資金力や分析・運用能力により運用成果が左右される
最近では海外に拠点を持つアクティビストファンドも積極的に日本の上場企業に対して株主提案を行っています。
海外のアクティビストファンドへ直接コンタクトを取ることはハードルが高いですが、日本国内にも活躍しているアクティビストファンドは存在します。
(3)株式会社ストラテジックキャピタル
日本国内に拠点を持ち、旧村上ファンド出身者が運営するアクティビストファンド。市場からの評価が低い株に集中的に投資を行い、少数株主として積極的に企業に働きかけを行い、潜在的な価値を顕在化させる独立系投資会社。
主な投資先(大量保有報告書提出銘柄・2019年11月1日時点)
淺沼組(1852)、有沢製作所(5208)、極東貿易(8093)など
(4)Japan Act合同会社
日本国内に拠点を持ち、『改革者として、日本市場にイノベーションを起こす』ことをビジョンに掲げているアクティビストファンド。経営陣との対話を重ねながら、積極的に働きかけを行うことによって、企業価値や株主価値を向上させることを目的とし、日本企業の改革、日本市場の発展に貢献できるように中長期的な投資を行う独立系投資会社。
主な投資先(会社四季報記載銘柄・2019年11月1日時点)
サンエー化研(4234)など
7、高利回り投資⑥:J-REIT(不動産投資信託)
REIT(不動産投資信託)は、投資家から集めた資金を不動産に投資し、運用によって得た賃料収入を投資家に分配する金融商品であり、証券市場に上場し、株式と同様に取引されている。
(1)高利回り:J-REITメリット
- 利益の90%超を分配すれば法人税が課税されない仕組みがあるため、収益のほとんどが投資家に分配されるため高い利回りが期待できる
- 賃貸収入(インカムゲイン)が主な収益源であるためリターンが安定している
- 少額で不動産への分散投資ができる
- 市場で自由に売買できる(換金性が高い)
- インフレに強い
(2)高利回り:J-RETEデメリット
- 自然災害による毀損や空室などによる収益変動リスク
- 金利変動リスク
- 法律・税制改正によるリスク
銘柄(コード) | 運用資産 | 分配金利回り | 時価総額 | NAV倍率 |
サムティ・レジデンシャル投資法人 (3459) |
住居主体型 | 7.35% | 476億円 | 0.99倍 |
インヴィンシブル投資法人 (8963) |
総合型 | 6.99% | 2,640億円 | 0.92倍 |
タカラレーベン不動産投資法人
(3492) |
事務所主体型 | 6.78% | 321億円 | – |
*NAV倍率:不動産を時価評価した純資産価値に対する投資口価格の割安度を表す指標(株式におけるPBRに相当)。低いほど割安といえる。
(2019年2月15日時点 参考:不動産投信情報ポータル)
まとめ
いかがでしたでしょうか。
高利回りが期待できる金融商品にもそれぞれ特徴があり、期待リターンの大きさやリスクもさまざまです。
その違いをふまえた上で、投資の目的にあった商品を選ぶことが大切です。
証券会社、生損保代理店での勤務を経てファイナンシャルプランナーとして独立。
(保有資格)1級FP技能士・証券外務員一種
(試験合格)宅建士・行政書士