限られた時間の中で収入や資産を増やすには、不労所得を得るのが効率的な方法です。
働かずに所得(収入)が得られるという、まさに夢のような話ですが、あまりにうまい話には大きなリスクがあったり、悪徳商法や詐欺というケースもあります。
そのため、それがどんな仕組みなのか、どのようなリスクがあるのかなど内容をよく理解しておかなければ、思いもよらない失敗をしてしまうかもしれません。
ここでは不労所得にはどのようなものがあるのか、また働きながら不労所得を得るための方法について解説していきます。
1、不労所得とは
不労所得とは、それを得るために労働を要しない所得(収入)のことであり、労働の対価として得られる賃金や報酬以外の所得全般を言います。
(1)不労所得の種類
不労所得には、以下のようなさまざまな種類があります。
①投資による不労所得
- 預貯金の利子・利息
- 債権の利子
- 株式配当
- 株式・先物取引などの売買益
- 為替差益
- 家賃収入
② ビジネスによる不労所得
- 印税・ライセンス収入
- アフィリエイト収入
③公的保障制度による不労所得
- 年金・恩給
- 子ども手当・児童手当
- 失業手当(雇用保険)
- ベーシックインカム
- 定額給付金
④ギャンブルによる不労所得
- 宝くじ当選金
- 公営競技(競馬・競輪・競艇・オートレース)の当選金
このような不労所得の中でも、サラリーマンが資産形成を目的として取り組みやすいと言えるのが、不動産投資(家賃収入)や株式投資です。
2、不動産投資による不労所得(家賃収入)
不動産投資による家賃収入は不労所得を代表するもので、不動産を所有し貸し出して収入を得る方法です。
(1)不動産投資のメリット
①安定した収入が得られる
賃貸契約は年単位の契約が多く、賃料が急に下がるということも少ないため、長期的に安定した収入が得られるというメリットがあります。
ある程度収入の見通しがつくため、老後の公的年金を補う私的年金としても活用できます。
②レバレッジ効果
ローンを活用して不動産を購入することにより、より投資資金に対する利回りを高めるメリットがあります。
③相続対策
相続において、預貯金や債券。株式などは時価評価額が相続税の対象となりますが、投資用不動産は、時価の約70〜80%に相当する路線価で評価されるため、相続税対策となります。
④節税効果
家賃収入からは、必要経費として建物の減価償却費やローン金利、固定資産税などが差し引いて赤字となった場合には、他の所得との損益通算が可能で、所得税・住民税が軽減されます。
(2)不動産投資のデメリット
①空室リスク
入居者がいなければ、いくら不動産を所有していても家賃収入は得られません。
入居者がいなくても維持費はかかるため、空室は大きなリスクです。
②建物の老朽化
建物は時間が経過するにつれ老朽化していきます。
日常的なメンテナンスに加え、将来的には大規模な修繕も必要となってくるため、修繕計画や修繕費用の積立などを考えておかなければなりません。
また築年数が経つほど空室リスクが高まり、家賃を値下げせざるを得ないこともあります。
③不動産価格の下落リスク
新築でも人が住んだ時点で建物価格は2割下がるとも言われ、地価についても多くの地域では依然、下落が続いています。
④資金の流動性の低下
立地などにもよりますが、不動産は売却しようとしてもすぐに買い手が見つかるとは限らず、資金の流動性が大きく低下します。
⑤金利上昇リスク
ローンを利用して不動産を購入する場合、変動金利では金利上昇によって返済額が大幅に増加してしまうリスクを伴います。
一般的に固定金利よりも変動金利は金利が低くなりますが、将来の金利上昇を考慮した判断が必要となります。
⑥保有リスク・保有コスト
近年災害が頻発しており、投資不動産が被災するリスクがあります。
またこのリスクに備えるための保険料、固定資産税や税金など保有にはコストがかかり、リターンにはマイナスとなります。
3、株式投資による不労所得
株式投資による不労所得には、株式を保有することで得られる配当金(インカムゲイン)と売買によって得られる売買益(キャピタルゲイン)があります。
(1)株式投資のメリット
①インカムゲイン
株式投資では、保有する株数に応じて配当金を受け取れます。
しっかりと収益をあげ安定した配当を行っている企業の株に投資すれば、売買しなくとも保有していれば配当金が定期的に支払われるため、比較的安定した不労所得となります。
②キャピタルゲイン
投資した企業が成長し株価が上昇すれば、株を売却することによる売却益(キャピタルゲイン)が期待できます。
③投資した企業の意思決定に参加できる
株を購入して株式会社の株主となることは、その企業の所有者(オーナー)となるということです。
株式会社の経営に関する重要事項については、株主総会で決定することになっており、株主には所有する株数の割合に応じて議決権が与えられ、企業の意思決定に参加できます。
④比較的流動性が高い
(上場)株式は株式市場で自由に売買でき、比較的流動性の高い金融商品です。
⑤複利による運用が可能
株式投資では支払われた配当金などを再投資して、複利で運用を行うことができます。
不動産投資では、通常得られたリターン(家賃)ですぐに別の不動産を買う(再投資)は難しく、基本的に単利運用であるのに比べ、運用効率が高くなります。
(2)株式投資のデメリット
①価格変動リスク・信用リスク
上場株式であれば、日々株式市場で取引が行われており、価格は常に変動しています。
それによって利益を得られるのですが、予想とは反対に価格が動いた場合には損失が発生するリスクがあります(価格変動リスク)。
また、投資先の不祥事によって株価が下落したり、破綻によって株が無価値になってしまうリスクもあります(信用リスク)。
②投資する銘柄や投資するタイミングの判断が難しい
投資する銘柄や投資するタイミングによって得られるリターンは大きく異なり、その判断は容易ではありません。
投資信託や投資ファンドなど、運用のプロに運用を任せられる仕組みもあり、それらを活用するというのもひとつの選択肢です。
4、運用シミュレーション
毎月5万円ずつ積立運用した場合の運用利回りごとの資産額と元金1000万円を運用した場合の運用利回りごとの資産額の推移をシミュレーションしてみると、以下のようになります。
(1)毎月5万円積立運用シュミレーション
毎月5万円積立運用シミュレーション | |||||
元本 | 複利3% | 複利5% | 複利7% | 複利10% | |
5年目 | 3,000,000円 | 3,229,048円 | 3,390,687円 | 3,559,793円 | 3,828,062円 |
10年目 | 6,000,000円 | 6,972,400円 | 7,718,158円 | 8,552,587円 | 9,993,193円 |
15年目 | 9,000,000円 | 11,311,970円 | 13,241,230円 | 15,555,238円 | 19,922,198円 |
20年目 | 12,000,000円 | 16,342,722円 | 20,290,224円 | 25,376,819円 | 35,912,961円 |
25年目 | 15,000,000円 | 22,174,742円 | 29,286,726円 | 39,152,094円 | 61,666,245円 |
30年目 | 18,000,000円 | 28,935,652円 | 40,768,795円 | 58,472,630円 | 103,142,166円 |
(2)元金1000万円の運用シミュレーション
元金1000万円の運用シミュレーション | |||||
複利3% | 複利5% | 複利7% | 複利10% | 単利5%(参考) | |
5年目 | 11,592,741円 | 12,762,816円 | 14,025,517円 | 16,105,100円 | 12,500,000円 |
10年目 | 13,439,164円 | 16,288,946円 | 19,671,514円 | 25,937,425円 | 15,000,000円 |
15年目 | 15,579,674円 | 20,789,282円 | 27,590,315円 | 41,772,482円 | 17,500,000円 |
20年目 | 18,061,112円 | 26,532,977円 | 38,696,845円 | 67,274,999円 | 20,000,000円 |
25年目 | 20,937,779円 | 33,863,549円 | 54,274,326円 | 108,347,059円 | 22,500,000円 |
30年目 | 24,272,625円 | 43,219,424円 | 76,122,550円 | 174,494,023円 | 25,000,000円 |
元手ゼロから毎月5万円ずつ積立投資を始めた場合、30年後の元本は1,800万円です。
それに対して複利で運用した場合、利回り3%できれば30年後の資産額は約2,900万円となり、積立だけを行うのに比べて約1,900万円増える計算となります。
この部分が不労所得であり、利回り10%の想定では30年後の資産額は1億円を超えてきます。
また投資できる資金がすでに手元にあるなら、それを元手に運用を行うことよってさらに運用効率のアップが期待できます。
サラリーマンの方が働きながら不労所得で資産を増やしいくのであれば、まずは当面必要のないお金を元手に運用し、それに加えて毎月の収入から積立投資を継続していくのがおすすめです。
5、サラリーマンに最適なファンドと投資会社
株式投資は複利運用ができ、長期的な資産運用に適した方法だと言えます。
投資についてあまり詳しくない方は、自分で投資について学ぶことはもちろん、プロに運用を委ねられるファンドに投資するのも有効な方法です。
ここでは、サラリーマンの方におすすめのファンドをいくつかご紹介しますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
(1)Japan Act
公式サイト:Japan Act
Japan Actは日本国内に上場する企業を主な投資先として、バリュー/アクティビスト投資を行う独立系の投資会社です。
市場から割安な評価を受けている企業を対象に投資をし、詳細な企業分析と戦略的な対話から、企業価値・株主価値の最大化を目指し投資活動を行っています。
コーポレートガバナンスの適切な実施や、企業価値・株主価値向上を通じたリターンの最大化を大きな目標としながらも、本来の企業価値と市場評価(市場における時価総額)との間に生じている乖離を解消するため、企業に対して戦略的な関与を継続し中長期的な投資を行っています。
独立系投資会社出身でアクティビスト投資を専門に活動していたメンバーが在籍し、アクティビスト(もの言う株主)として積極的に活動しており、株主提案などにより企業に働きかけを行っています。
このような働きかけによって、市場との乖離がなくなるのをただ待つだけでなく、企業価値向上と株主利益の最大化を自らの手ですすめ、企業価値を本来の理論価値に近づけることに努めています。
最低投資額は1000万円(それ以下の投資額については要相談)となっているため、まとまった資金を運用に回せるのであれば、おすすめの投資先です。
(2)ひふみ投信(レオス・キャピタルワークス)
公式サイト:https://www.rheos.jp
「ひふみ投信」はレオス・キャピタルワークスが運営し、主に国内外の成長企業に投資を行い、資産を「守る」ことにも重点をおきながら、長期的な資産形成を目指し「守りながらふやす運用」を行うファンドです。
投資銘柄の選択においては、財務指標や株価など定量的な数値と、経営方針・戦略といった数値にはあらわれない定性的な要素、その両面から徹底的に調査・分析を行い、投資環境に左右されず独自に成長できる企業を見出していきます。
業種や企業規模に捉われず世界中の銘柄を投資対象とし、変化する相場環境に応じて現金比率を50%まで高められるなど、柔軟な運用ができることも特徴です。
運用実績は、直近1年間で16.2%、設定来では411.5%(2018年8月31日時点)と高い運用成果をあげています。
基準価額の推移 出所:2018年8月度 運用レポート(ひふみのあゆみ
(3)さわかみファンド(さわかみ投信)
公式サイト:https://www.sawakami.co.jp
「さわかみファンド」はさわかみ投信が運営するファンドで、同社唯一のファンドとして澤上篤人氏により1999年に設定されました。
ファンドでは国内外の株式を主な投資対象として、その時点で最も割安と考えられる投資対象の中から、将来価値に比べ市場価値が割安と考えられる銘柄を選別して投資し、割安な状態が解消されるまで持続して保有する「長期バイ・アンド・ホールド型」のバリュー投資を基本に運用が行われます。
将来社会に必要とされる製品やサービスを生み出していくであろう企業に投資するという投資方針を掲げており、一時的なトレンドやブームに翻弄されることなく、長期的な資産形成を期待することができます。
運用実績は直近1年で9.8%、設定来では159.3%(2018年8月31日時点)となっています。
基準価額・純資産総額の推移 出所:運用状況 さわかみ投信
まとめ
不労所得を得ることは効率的に資産形成を行う上で、重要なポイントとなります。投資ファンドへの投資は、忙しいサラリーマンでも働きながら不労所得を得られる有効な方法です。
今回ご紹介したファンドを含め、投資ファンドや投資会社への投資を検討してみてはいかがでしょうか。