投資信託として、国内屈指の資産規模と知名度を誇る「さわかみファンド」。
それを運営しているのが「さわかみ投信」です。
では、さわかみ投信の投資手法や運用成績など実態はご存知でしょうか。
さわかみ投信に、大切な資産の運用を任せて安心なのでしょうか。
この記事では、さわかみ投資の実態と評判について解説していきます。
1、さわかみ投信・さわかみファンドとは
さわかみ投信は澤上篤人氏によって設立され、「さわかみファンド」(1999年に設定)を唯一の運用商品とする独立系の資産運用会社です。
さわかみファンドは、証券会社などを介した販売は行われておらず、さわかみ投信が投資家に直接販売(直販)を行っています。
(1)さわかみファンドの運用方針
さわかみファンドは、「一般家庭の財産づくりを本格的な長期投資でお手伝いさせていただくのだ」という想いから立ち上げられたファンドです。
その理念のもと、経済の大きなうねりをとらえた先取り投資を基本に、その時点でもっとも割安と考えられる投資対象に資産を集中投資し、割安が解消するまで保有し続ける「バイ&ホールド」型の長期割安(バリュー)株投資を基本に運用が行われています。
「バイ&ホールド(Buy & Hold)」戦略とは、原則購入した株を売らず長期にわたって保有し続ける戦略のことを言い、世界で最も成功した投資家ともいわれるウォーレン・バッフェット氏も行っている投資手法としても知られています。
投資対象は国内外の株式・債券であり、2018年6月29日時点、ポートフォリオは97銘柄で構成され、大部分(86.62%)を日本株が占めています。
組入上位10銘柄(2018年6月29日時点) | ||
組入銘柄(コード) | 組入比率 | |
1 | 日本電産 (6594) | 5.38% |
2 | ブリヂストン(5108) | 4.10% |
3 | 花王(4452) | 4.00% |
4 | ダイキン工業(6367) | 3.45% |
5 | 浜松ホトニクス(6965) | 3.35% |
6 | TOTO(5332) | 3.24% |
7 | テルモ(4543) | 2.97% |
8 | 信越化学工業(4063) | 2.65% |
9 | トヨタ自動車(7203) | 2.60% |
10 | 国際石油開発帝石(1605) | 2.52% |
(参考:さわかみファンド運用状況 さわかみ投信)
(2)さわかみファンドの資産状況・運用成績
さわかみファンドが設定されたのは、1999年のITバブルの最中でした。
その後のITバブルの崩壊では、日本株投信は軒並み大きく下落しました。
しかし、さわかみファンドはほとんど影響を受けることなく堅調な運用成果をあげたことから、一躍注目を集めました。
その後は一旦基準価額20,000円の大台にタッチするものの、サブプライムローン問題・リーマンショックによる影響で一時10,000円を割り込む水準まで下落したものの、景気回復を受けて再び最高値を更新し、資産を増やしています。
各期間においてトータルリターンはTOPIXを上回っており、アクティブファンドとして成果を出せていると言えます。
しかし資産規模が大きくなったことで、ポートフォリオに大型株を入れざるを得なくなり、TOPIXとの連動性が高まるとともに、TOPIXを大きく上回るようなリターンを上げることは難しくなってきているようです。
(参考:基準価額・総口数の推移 さわかみ投信)
(参考:純資産総額・現金等の推移 さわかみ投信)
さわかみファンド | TOPIX | ||
基準価額 | 26,890円 | — | |
純資産 | 3293.8億円 | — | |
トータルリターン(年率) | 1年 | 9.82% | 7.29% |
3年 | 7.11% | 4.13% | |
5年 | 11.64% | 9.43% | |
10年 | 6.04% | 3.30% | |
シャープレシオ | 1年 | 0.9 | — |
3年 | 0.49 | — | |
5年 | 0.82 | — | |
10年 | 0.32 | — |
基準価額・純資産:2018年9月21日時点
トータルリターン・シャープレシオ:2018年08月31日時点
(参考:モーニングスター)
(トータルリターン相対比較チャート 参考:モーニングスター)
2、より高いリターンを狙うなら別の選択肢も
ファンドの投資方針からも、さわかみファンドは長期的に安定したリターンを得たい方にとっては選択肢のひとつです。
しかし期待できるリターンは、TOPIXのリターンをやや上回る程度にとどまります。
今は好調な景気にも支えられリターンをあげていますが、今後景気が悪化に転じれば、これまでのようなパフォーマンスを維持できない可能性もあります。
より高いリターンを狙うのであれば、個別株への投資、あるいは投資会社やヘッジファンドへ投資することも選択肢となります。
投資会社Japan Actは、目先の株価ではなく企業本来の価値に着目し、割安だと判断した銘柄へ集中投資を行っています。
また物言う株主(アクティビスト)として、企業価値・株主価値の向上を図るため、企業に対して提案・要求などを積極的に行っています。
これはさわかみファンドの投資スタイルとも共通する部分も多いのですが、Japan Actは少数の出資者から募った資金を、より厳選した投資先に集中投資するため、さわかみファンドのようなリターンの希薄化が起こりにくく、高いリターンを実現しやすいと言えるでしょう。
まとめ
さわかみ投信(さわかみファンド)は、長期的な資産形成を目的として運用され、これまで一定の成果をあげてきたことで人気のあるファンドです。
しかし資産規模が増大するにつれて、ポートフォリオの構成にも制約が生じ、リターンはTOPIXへの連動性が高まり、TOPIXをやや上回る水準に落ち着いています。
今後景気後退に転じると、TOPIXとの連動性の高まったさわかみファンドは、今のようなパフォーマンスを維持できない可能性もあります。
積極的にリターンを追求していくのであれば、現在高いリターンをあげている投資会社、ヘッジファンドへの投資も選択肢としてみてはいかがでしょうか。