せっかく資産運用するのであれば、できるだけリスクを抑えながらより大きなリターンを得たいと思うのではないでしょうか。
それを実現するための近道といえるのが、ヘッジファンドへの投資です。
ヘッジファンドでは投資家から集めた資金をもとに、運用のプロであるファンドマネージャーがデリバティブをはじめとする様々な投資手法を駆使して、数億・数十億規模の運用を行い絶対的な利益を追求していきます。
そのため個人では投資できないような投資対象へも投資でき、持っている情報量も違うため有利な運用ができます。
また、資産家の多くがヘッジファンドに資産を預ける理由は、リターンが大きいというだけではなく、相対的にリスクが低いという合理的な理由もあります。
運用のプロであるファンドマネージャーは常に利益を上げることを求められており、相場が悪かったからという言い訳は通用しません。
そのためどのような相場であっても常に勝ち続けるために、徹底的に負けない(損失を回避する)方法を追求しています。
このようなヘッジファンドの中でも、相場の変化を待つのではなく自ら企業に働きかけることで利益を出していくものがあります。
それが「アクティビストファンド」です。
今回は、そもそもアクティビストファンドがどのようなものか?
ということから、アクティビストファンドに投資するメリット、具体的にオススメのアクティビストファンドを紹介していきます。
メディア「BIGTRADERS」が責任持ってお届けする内容なので、お読み頂くことできっとこれからの資産運用のご参考になることでしょう。
1、アクティビストファンドとは?
アクティビストファンドは「物言う株主」とも呼ばれ、一定以上の株式を保有して議決権を行使し、積極的に経営に関与することで、企業収益の最大化とその収益の株主への還元を求める投資戦略をとるファンドのことをいいます。
アクティビストファンドの経営への関与の方法としては、役員の交代や自らを役員とすることを求めたり、M&Aや事業譲渡、事業再編(合併・分社化・不採算事業売却)など企業体制を大きく変えるものから、配当・自社株買いの要求まで多岐にわたります。
アクティビストファンドは、従来あまり良い印象を持たれていませんでした。
過去に株主への利益配当や提案が経営陣に受け入れられなかった場合、敵対的買収や委任状争奪戦、訴訟などによって強引にでも企業から利益を搾り取って売り抜けることもあったからです。
しかし最近では企業との対話を重視し、短期的な利益だけでなく長期的な視点で企業価値の向上を目指すという友好的なスタンスのアクティビストファンドも増加してきています。
このような友好的なスタンスは他の株主の賛同を得やすく、保有株数が少なくてもファンド側の要求を実現しやすくなるというメリットがあります。
株主利益の最大化を最終的な目的としながら、企業に有益な助言を行うことで成長を後押しし、その結果としての利益を享有するというウィンウィンの関係を目指すアクティビストファンドが、今後ますます増えていくことも予想されます。
2、アクティビストファンドに投資するメリット
アクティビストファンドへの投資は、いわゆる「バリュー(お買い得)投資」と言えるでしょう。
投資先の多くが、本来の価値が市場で評価されておらず株価が低迷している企業だからです。
バリュー投資は、世界的に著名な投資家ウォーレン・バフェット氏も実践する有効な投資手法です。
ただし通常のバリュー投資は、投資家が割安な株価で株を買い、市場がその企業の価値に気づき株価が上がるのを待って利益を得るのに対し、アクティビストファンドは自ら行動を起こします。
具体的にはファンド自らが、経営陣に対し影響力を持つだけの株式を保有し、企業が貯め込んでいる資金を成長のための投資や株主へ還元するよう働きかけます。
そのため、相場の変化を待つバリュー投資よりも高い利益を狙うことができるといえます。
このような投資手法は高い専門性と資金力を持つアクティビストファンドでしかできないと考えられます。
3、アクティビストファンドに投資する注意点
アクティビストファンドでは徹底的に投資対象をリサーチし、厳選して集中投資を行います。
そのうえで投資先企業に対して要求を行い、企業価値の向上と株主利益を追求していきます。
この際に投資先企業と対立してしまい、要求内容が実現できなければ利益が得られないリスクもあるため注意が必要です。
さらに、投資先の選択はアクティビストファンドの手腕に左右されるため、実力・実績のあるファンドを慎重に選ぶことも重要でしょう。
また、アクティビストファンドへの投資は長期での投資が基本となり、まとまった資金が必要となるため、余裕資金で行う必要があります。
4、おすすめアクティビストファンド4選
(1)ストラテジックキャピタル
①特徴
丸木強氏率いる旧村上ファンド系アクティビストファンドであり、原則日本株を投資対象としています。
また、丸木氏は野村證券出身で旧村上ファンドの設立・運営にも参画しています。
②主な投資先
- 図書印刷(凸版印刷子会社)
など
(2)サード・ポイント(Third Point LLC)
①特徴
著名投資家ダニエル・ローブ氏が率いるアクティビストファンドです。
ニューヨークに拠点を置き、運用規模は約110米ドル(1.3兆円)でアクティビストファンドとして大きな影響力を持ち、日本企業にも投資しています。
②主な投資先
- ソニー
など
(3)タイヨウ・パシフィック・パートナーズ・LP
①特徴
米国に拠点を置くアクティビストファンドであり、長期的な保有を前提として日本株式に特化して投資しています。
また、友好的なアクティビストとして、投資先企業の経営の考えを尊重しつつ、積極的な対話を通じて適切な助言を行うことを目的としたファンドです。
②主な投資先
- みらかHD
など
(4)トライアン・パートナーズ(Trian Partners)
①特徴
ネルソン・ペルツ氏率いるアクティビストファンドです。
ニューヨークに拠点を置き、ハインツ、P&G、GEなどの大企業に対してもアクティビスト投資を行っています。
②主な投資先
- P&G
など
5、おすすめの国内アクティビスト投資会社「Japan Act」
最後に、アクティビストファンドではありませんが、アクティビスト投資をするおすすめの投資会社をご紹介します。
(1)特徴
特定の金融やコンサルティング系列に属さない独立系の投資会社です。
日本国内に拠点を置き、独自のスクリーニングと企業分析で本来の企業価値に対して、市場評価が低い上場企業を選定して投資し、対話を重視した関係構築を図ります。さらに積極的な議決権行使をすることで、企業価値の向上を図るとともに、株主価値も向上していくことで、適切なリターンを得るというまさにアクティビスト投資を採用しています。
アクティビストファンド以外でこのような投資方法を採っている投資会社は少ないので、是非一度サイトを訪れて資料請求してみてください。
(2)主な投資先
- サンエー化研
など
まとめ
アクティビストファンドとは、一定以上の株式を保有することで、企業収益の最大化とその収益の株主への還元を求める投資戦略をとるファンドのことです。
高い専門性と資金力をもとに、自ら株主としての権利を行使して利益を生み出す手法をとるため、高い利益を狙うことができるという特徴があります。
アクティビストファンドの選択は慎重に行い、投資にあたっては長期を前提として余裕資金で行いましょう。
この記事が、アクティビストファンドを始める際の参考になれば幸いです。