まとまったお金の運用方法は?おすすめの増やし方と注意点

まとまったお金が貯まったら、何に使おうか悩みますよね。しかし、取り崩し始めたら一瞬でなくなってしまうもの。運用してお金を増やしながら使ったほうが、人生を豊かにできるかもしれません

この記事では、まとまったお金を運用するときのポイントや、おすすめの投資先を解説します。資産形成のシミュレーションも掲載したので、ご自身の資産が成長していくことをイメージしながらご覧ください。

まとまったお金ができたら運用した方が良い理由

まとまったお金ができたら運用した方が良い理由

まとまったお金を運用する理由は、相乗的に資金を増やせるからです。つまり、利益に利益がついて増えていくということです。

例えば、100万円を運用して10%の利益が出て、110万円(10万円増)に増えたとしましょう。その110万円を運用してさらに10%の利益が出ると、121万円(11万円増)になります。

 

このように、まとまった資金を運用することで、利益がさらに多くの利益を相乗的に生み出してくれるのです。

手元にあるまとまった資金を、ただ持っているだけでは資金は増えません。もしインフレが進めば、資金の価値は減ってしまうだけです。

そのため、まとまった資金は運用して増やしていくことをおすすめします。

まとまったお金を運用する際のポイント

まとまったお金を運用する際のポイント

ただし、まとまったお金を運用するには、注意点があります。ここでは特に重要な注意点として、次の5点について解説しましょう。

  • お金を4種類に分ける
  • 分散投資する
  • 長期・積立を前提にする
  • NISA・つみたてNISAを活用する
  • 自分のリスク許容度を把握する

お金を4種類に分ける

まとまった資金は、貴重な資産です。運用する前に、お金を次の4つに分類することをおすすめします。というのも、まとまったお金の使い道は運用だけではなく、日常生活費やライフイベントの準備金など、生活に欠かせない資金にもあるからです。

  • 日常生活費
  • 生活防衛資金
  • ライフイベントの準備金
  • 運用資金

日常生活費

日常生活費とは、食事や日用品等、日々の生活でかかってくるお金のことを指します。生活には欠かせないお金であるため、月々の出費はあらかじめ明確にしておき、出費を把握しておくことが大切です。

生活防衛費

生活防衛資金とは、何か急を要する事態が発生しても、しばらくの間は生活できるように蓄えておくお金のことです。

例えば、病気で仕事ができなくなったときなど、収入が激減してしまいます。そういったときに普通の日常生活に戻るまで、当面の生活をカバーするお金のことです。

一般的には、半年〜2年分の生活費を目安として考えられることが多いです。

ライフイベントの準備金

ライフイベントの準備金は、結婚式の資金や子どもの学費など、人生を歩む上で発生するイベントにかかる出費のことです。一度の出費が大きいですが支払いタイミングは限られます。そのため事前に準備しておけば、慌てて資金を絞り出す必要はありません。

この資金を確実に準備しておくことで、運用資金を取り崩さずに、安定的に運用を継続できるのです。

運用資金

運用資金とは、上記3つに当てはまらない、余ったお金のことです。いわゆる余剰資金で、自分の資産を形成するために使用します。

日常生活費や生活防衛費、ライフイベント準備金があるからこそ、リスクを取って自分の好きな運用ができるのです。

分散投資する

分散投資は、運用する際にリスクヘッジを考える上での方法の一つです。分散投資には、大きく分けて次の2つの方法があります。

  • 投資する資産や銘柄を複数にする
  • 購入するタイミングを分ける

投資する資産や銘柄を分散する理由は、一つの投資方法で損失を被っても、他の投資方法でカバーできるからです。逆に、一つの銘柄で運用していた場合、リターンを得られたら大きいですが、損失が出た場合は大きなダメージを負うことになります。

また、購入するタイミングを分けることで購入価格を平均化でき、相場の変動に強くなります。

 

例えば、ある株式を1株「1万円」「1万5,000円」「1万2,500円」のときに購入したとしましょう。すると、平均購入価格は1万2,500円になって、1万5,000円から1万2,500円に価格が下落しても、損失はありません。

一方で、1万5,000円のときにのみまとめて株式を購入した場合は、1万2,500円になったときに、損してしまいます。

このように購入タイミングを分散することで、価格変動リスクに強くすることで、損失の少ない安定的な運用ができるのです。

長期を前提にする

株式や債券などの市場は、長期的に成長拡大してきた歴史があります。例えば、アメリカの株式市場であるS&P500は、1970年代から現在にかけて右肩上がりに市場規模を拡大させてきました。

一方で、短期的には常に相場が変動し、相場の上下が激しいのです。このことから、短期よりも長期の運用を前提にする方が、安定して利益が出やすいことがわかるでしょう。

そのため、まとまった資金の運用は長期を前提にすることをおすすめします。

NISA・つみたてNISAを活用する

まとまった資金の運用では、コストを最小限にしなければなりません。なぜなら、コストがかかると利益が目減りし(または損失が拡大して)、運用効率が下がるためです。

そこで、節税効果を高められるNISAもしくはつみたてNISAの活用をおすすめします。

 

NISA・つみたてNISAは、日本語で少額非課税制度と呼ばれます。NISAでは毎年120万円を5年間、計600万円、つみたてNISAは毎年40万円を20年間、計800万円で運用して得た利益に税金がかかりません。

例えば、NISAで、年間10万円、5年間で50万円の利益に対する課税をなくせたとします。その場合、数万円から数十万円の節税効果を期待できます。

 

その節税できた金額を再投資すれば、さらなる利益を得られるかもしれません。このように、NISA・つみたてNISAを活用することで、節税しながら利益を再投資して運用効率を上げられるのです。

NISA・つみたてNISAを活用して、支払う税金を減らしましょう。

自分のリスク許容度を把握する

リスク許容度とは、運用資金にどれくらい損失が出たら、生活的な側面や精神的な側面から受け入れられるかという指標です。リスク許容度を把握するのは、自分の身の丈に合わないリスクをとって損失を拡大させないためです。

例えば、まとまった資金をあまり減らしたくないのに、短期的な価格の上下が激しい仮想通貨に投資すると、資金の増減が気になる冷静な投資判断ができませんよね。その結果、感情に流された運用をして、損をしやすくなります。

そのため、家計状況や自分の性格などを考慮して、どれくらいのリスクに耐えられるのか、常に考えることをおすすめします。

まとまったお金の運用におすすめの方法:ローリスク

まとまったお金の運用におすすめの方法:ローリスク

ここからは、具体的な運用方法について解説していきます。

まずは、次のようなローリスク・ローリターンの運用方法を紹介していきましょう。ローリスク・ローリターンな運用は、大きな利益はあまり期待できないものの、お金を減らすリスクを抑えながら確実に増やしていく手法になります。

  • 定期預金
  • 個人向け国債
  • 金投資

定期預金

定期預金とは、あらかじめ預入期間を設定し、主に銀行にお金を預け入れることです。定期預金をおすすめする理由は、元本保証があり、安定的に資金を増やせるからです。

現在は、低金利下で定期預金は増やしにくいという印象があるかもしれません。ただ、ネット銀行には、メガバンクの定期預金の数倍も利率が高いところがあります。

定期預金は、資産を安全に着実に増やせる運用先です。資金を減らしたくない人に打ってつけです。

個人向け国債

国債は、国が発行する債券です。債券とは、政府や企業が資金調達するため、投資家から資金調達することを示す借用証書のことです。

個人向け国債をおすすめするのは、満期を迎えると元本が返済され、金利も上乗せされるため、リスクを抑えてお金を増やすことができるためです。

個人向け国債は最低投資額が1万円と低く、0.05パーセントの最低金利保証があるため、個人投資家に向いています。元本保証があって、満期を迎えると元本が返済されることも安心です。

金投資

金投資とは、その名のとおり、金を購入する投資手法のことです。金投資をおすすめする理由は、次の2点です。

  • 価格の増減が緩やかで安定しているから
  • 金融ショックなどの緊急時に値上がりする傾向にあるから

金は、世界中の人がその価値を認めているため、常に需要があります。そのため、金融ショックや大規模な紛争、自然災害などが発生して、株式や債券市場が暴落すると、多くの投資家が安全資産として金を買い求めます。

以上のことから、金は「有事の金」とも言われ、リスクに強い運用先なのです。投資家なら必ず投資しておきたいところです。

まとまったお金の運用におすすめの方法:ミドルリスク

まとまったお金の運用におすすめの方法:ミドルリスク

続いて、ミドルリスク・ミドルリターン運用方法を紹介していきましょう。

ミドルリスク・ミドルリターンは、ローリスク・ローリターンよりはリスクが上がりますが、その分、リターンも見込めます。リスク許容度の範囲内であれば、積極的にリターンを狙える手法です。

  • 投資信託
  • ETF(上場信託投信)
  • 株式投資
  • 外貨建て保険

投資信託

投資信託は、プロに運用を任せてリターンを狙う手法です。株式や債券、不動産などの多様な資産クラスと銘柄が組み合わさっています。おすすめする理由は、次の2点です。

  • さまざまな銘柄や資産に投資することで商品自体が分散投資を実現でき、損失を出しにくい構造になっているから
  • 運用はプロに任せられ銘柄選定だけで投資できるから

そして、投資信託には運用手法の観点から次の2種類があります。

  • インデックス型投資信託:日経平均やS&P500など、株式や債券などの市場指数と連動した運用成績を目指す
  • アクティブ型投資信託・・・ファンドマネージャが積極的に運用を行い、市場指数以上の運用成績を目指す

インデックス型投資信託の方が安い手数料なので、インデックス型から始めることがおすすめです。

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ETF(上場投資信託)

ETFとは、取引所に上場している投資信託のことです。株式のように取引所が開いているときなら、いつでも売買できるようになっています。

通常の投資信託は取引所の取引がすべて終わった後に価格がつけられますが、ETFはリアルタイムの需要と供給のバランスによって、値段が動き、投資家は価格変動のタイミングを計って購入できます。

 

ETFをおすすめする理由は、投資信託と同じ理由に加え、ETFの方が安い手数料の傾向にあるからです。それは、販売会社による販売手数料がかからないためです。

ただ、投資信託は100円から投資できるのに対して、ほとんどのETFは数万円からとなるため、手軽さと手数料のどちらを優先するかで選んでみてください。

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株式投資

企業は会社を経営していく上で、さまざまな場面で資金が必要です。そのため、株式を発行して出資者を募り、事業を継続するために資金を集めます。

株式とは、株式会社によって発行される証券です。株式を購入することで出資者の一人として株主になることができます。

そうすることで、会社が利益を上げたときに、株価の値上がりや配当金・株主優待として利益を上げられるのが株式投資です。

 

そのような特典の多い株式を「長期」「積立」「分散」で投資することが、ミドルリスク・ミドルリターンの投資手法ではおすすめです。

長期的に見ると値上がりするという株を定期的に積立購入していきます。短期的な目で見ると損する場合もあるかもしれませんが、長期的に見るとリターンが得られるということを予測して分散しながら購入していきます。

 

時間はかかりますが、長期間積み立てるとリターンが大きくなることが魅力です。株式投資は、投資手法が多岐にわたるため、運用方法によっては、リスクやリターンの程度が変化します。

企業分析などをしなければならないため、自分で情報収集して銘柄選定をしていく必要があります。

外貨建て保険

日本の一般的な生命保険は、日本円で保険料を支払って、保険サービスや保険金を受け取ります。一方、外貨建て保険は、保険料の支払いや保険金の受け取りを外国通貨で行う生命保険です。

外貨建て保険をおすすめするのは、次の2点です。

  • 支払った保険料が保険会社によって、海外の債券や不動産で運用されるため高い金利がついて満期保険金や解約返戻金を受け取れる可能性がある
  • 万が一の死亡や病気・ケガなどに備えられる

外貨建て保険は、外国通貨で一定期間積み立てることによって、支払う保険料よりも多くの保険金を受け取れる可能性があります。それは、海外は日本よりも金利が高い国が多く、高い金利で運用できるからです。

外貨建て保険では、死亡や病気・ケガなどの万が一に備えながら、資金を増やせる可能性があるのです。

ヘッジファンド

ヘッジファンドとは、いかなる市況環境でも、利益を追求することを目的に運用されるファンドのことを言います。ヘッジファンドの「ヘッジ」とは、日本語で「回避」を意味し、リスクを避けながら最大のリターンを目指していきます。

ヘッジファンドの投資額は1,000万円〜1億円で、まとまった資産を持った方でなければファンドに参加できません。利用することができる人は限られていますが、高額な資金力であらゆる投資手法を用いて運用するため、資金を預けるだけで高い運用利回りを期待できます。

 

ヘッジファンドをおすすめする理由は、投資のすべてを専門家(ファンドマネージャー)に任せながら、年利10パーセントなどの高い運用成績を目指せるためです。ファンドマネージャに任せることで、自分は何もしなくても高い運用成績を目指せる可能性があります。

例えば、株式投資などのように、投資する際は勉強や実践経験に多くの時間と手間が必要になることが多くあります。専業で投資をしている方なら問題ないでしょう。しかし、多くの方にとって、そんな時間をつくることはなかなか難しいはずです。だからこそ、何もしなくても高い運用成績を残せることに大きな価値があります。

 

またヘッジファンドは、絶対収益を目指しています。絶対収益とは、相場が下落や暴落しているときでもリターンを狙います。

高いとき売って相場が下落したら買い戻す、「空売り」を得意としているヘッジファンドは、下落相場でも年利10パーセントのリターンを狙うことできることが強みです。

預けるだけで良く、絶対収益を目指して高いリターンを狙うことができるため、条件を満たすまとまった資金がある方は、ヘッジファンドがおすすめです。

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まとまったお金の運用におすすめの方法:ハイリスク

まとまったお金の運用におすすめの方法:ハイリスク

続いて、ハイリスク・ハイリターンの投資手法を解説していきます。

今まで紹介してきた運用方法に比べるとリスクが大きく上がり、中には元本を失うだけではなく、マイナスにまでなりかねません。しかし、その分リターンも大きく狙うことができ、中には元本の何倍にも利益が出るものも存在します。

  • FX
  • デイトレード(株式投資)
  • 仮想通貨

FX

FXは外国為替証拠金取引のことで、円やドルなどの為替相場の差を利用して利益を得る投資手法です。短期間で売買を繰り返し、大きなリターンを狙う投資スタイルです。

FXの魅力は、一定額を借入(レバレッジ)して多くの利益を狙える点です。例えば、手元に100万円しかなくても、100万円のレバレッジをかけると200万円で投資することができます。

 

投資成績が良く、資産が2倍になったとしたら資金は400万円に増えます。借入金である100万円を返済しても、実質100万円で300万円に増えたことになるため、200万円の利益を得られるのです。

このようにレバレッジをかけることで、狙うことができる金額を大きくすることができ、高い運用成績をあげられるのがFXの特徴です。

デイトレード(株式投資)

株式のデイトレードによる短期投資は価格の変動が激しく、予想が難しくリスクの高い投資手法です。チャートをもとにして、株価の変動を確認し、短期間で売買を繰り返していくことで利益を上げていきます。

そのため、リスクは大きいですが、短期間で大きなリターンを得る可能性もあることが魅力です。

 

例えば、1,000万円で1株1,000円の銘柄を購入したとします。そして値動きがあって1株1,100円になったとしましょう。そのタイミングで売れば、1,100万円に増え、一気に100万円の利益が出ます。

逆に、価格が下がれば損失にはなりますが、このように短期間で多額のリターンを狙うことができることが魅力です。

 

ただ、価格がどう動くかは誰にもわからず、運の要素も強いところはあります。銘柄選定とチャートによる価格変動の予測が難しいからです。

基本的に、どんなに詳細な分析をしたとしても、どの銘柄がどのように値動きするかは誰にもわかりません。最初は、少額でスタートして、経験を積んでいくにつれて資金を増やすようにしましょう。

仮想通貨

仮想通貨とは、電子的な決済に取引される通貨のことです。代表的なものには、ビットコインやイーサリアムなどがあります。

日々大きな値動きを繰り返しており、その価格変動幅を利用して売買することで利益を上げることが可能です。

 

仮想通貨は、本来商品やサービスの売買など商取引を目的に利用されることが想定されています。しかし、技術がまだ発展途上であるため、投資対象としての役割が多いことが現状です。

そのため、市場も活発で値動きも大きいことが特長です。コインの価格が何十倍にも跳ね上がり大きなリターンを得ることも可能です。

仮想通貨で資産が億単位になった「億り人」という言葉があるように、多大なリターンを得た人がいることも事実で、仮想通貨の魅力です。

運用方法別のシミュレーション

資産形成から資産運用まで

まとまったお金を運用する方法を、リスク・リターンの大きさ別に紹介してきました。これらの商品で運用すると、実際にはどのように資産形成ができるのでしょうか?

同じ商品で20年間運用を続けた場合をシミュレーションし、お金の増え方を確認しましょう。

ローリスク

ローリスク・ローリターンの運用方法として、定期預金、個人向け国債、金投資の3つを紹介してきました。定期預金と個人向け国債について、下表のとおり利回りを仮定して、資産形成のシミュレーションをしていきましょう。

運用方法利回りの仮定
定期預金0.02%
個人向け国債0.05%

なお、金は収益を追求する性質の投資商品ではなく、金融商品のリスクヘッジという性質が強い商品です。経済が好調なとき、価格は落ち着いており、世界経済の状態が悪化したときなどに価格が上昇します。資産を守る役割の投資先であり、年平均の利回りを仮定しにくいため、今回のシミュレーションでは省略します。

100万円を1年間運用した場合、定期預金では200円、個人向け国債では500円の利益が得られます。1年も運用したのに数百円と利益が少ないのは、これらの商品の利回りが非常に低いからです。

数百円の利益を同じ商品に再投資し、20年間運用した場合、次のグラフのように資産形成ができます。

ローリスク・ローリターンのシミュレーション

元本の100万円を、定期預金では100万4,000円、個人向け国債では100万9,000円程度に増やすことができることがわかります。しかし、20年間も運用したのに数千円の利益しか得られません。定期預金や個人向け国債の利回りはほとんどゼロに近いため、お金を増やすにはあまり向いていないのです。

これらの運用方法は、元本保証でリスクがほとんどない一方、期待できる利益も非常に小さいです。少しリスクを取っても良いから、もっと効率良くまとまったお金を増やしたいと感じる方は、次に解説するミドルリスク・ミドルリターンの投資方法を検討しましょう。

ミドルリスク

ミドルリスク・ミドルリターンな運用方法として、投資信託、ETF、株式、外貨建て保険、ヘッジファンドの5つを紹介してきました。各商品の利回りを下表のとおり仮定して、資産形成のシミュレーションをしていきましょう。

運用方法利回りの仮定
外貨建て保険2%
投資信託3%
ETF4%
株式5%
ヘッジファンド10%

100万円を1年間運用すると、外貨建て保険では2万円、投資信託では3万円、ETFでは4万円、株式では5万円、ヘッジファンドでは10万円の利益を得られます。ローリスク・ローリターンな運用方法では数百円しか利益を得られなかったのに対し、大きな利益が期待できることがわかります。

利益を同じ商品に再投資して20年間運用した場合、次のグラフのように資産形成ができます。

ミドルリスク・ミドルリターンのシミュレーション

元本の100万円を、外貨建て保険では150万円、投資信託では180万円、ETFでは210万円、株式では250万円、ヘッジファンドでは600万円に増やせることがわかります。新たな資金を投入しなくても、ある程度まとまったお金をミドルリスク・ミドルリターンの方法で運用し、利益を再投資すれば、資産を2倍や3倍、場合によってはそれ以上に増やすことができるのです。

3%から10%程度の利回りを狙うミドルリスク・ミドルリターンの方法は、初心者にとっても難しくはありません。納得できる投資先を見つけたら、長期投資に取り組んでみましょう。

ハイリスク

ハイリスク・ハイリターンの運用方法として、FX、株式のデイトレード、仮想通貨の3つを紹介してきました。各商品の利回りを下表のとおり仮定して、資産形成のシミュレーションをしていきましょう。

運用方法利回りの仮定
FX20%
株式のデイトレード30%
仮想通貨40%

いずれも、積極的に売買を繰り返し、かつ成功した場合を想定した利回りです。投資初心者の場合、これほどうまくはいかず、マイナスの利回りになってしまうことが多いです。難しい運用方法であることを理解した上で、読み進めていただければと思います。

上記の利回りで100万円を1年間運用すると、FXでは20万円、株式のデイトレードでは30万円、仮想通貨では40万円の利益を得られます。大きなリスクを取っているので、期待できるリターンも大きくなるのです。

利益を同じ商品に再投資して20年間運用した場合、次のグラフのように資産形成ができます。

ハイリスク・ハイリターンのシミュレーション

元本の100万円を、FXでは3,200万円、株式のデイトレードでは1億5,000万円、仮想通貨では6億円に増やせるというシミュレーション結果になりました。かなり夢のある結果ですが、現実的にはほとんど実現不可能です。毎年20パーセントから40パーセントの利回りを出し続けるのは至難の業で、プロでも難しいからです。上記のシミュレーションどおりに運用するのは、投資初心者にはほとんど不可能です。

おすすめのヘッジファンド

おすすめのヘッジファンド

ここまで紹介した投資手法のなかでも、まとまったお金の運用におすすめなのがヘッジファンドです。投資家本人の手間がかからず、継続的に高い利回りを得られる可能性もあるからです。

唯一懸念点は、最低投資額が1000万であることが多い点ですが、この記事のテーマであるまとまったお金を運用するには最適な投資方法です。

特におすすめのヘッジファンドは、次の3つです。

  • Japan Act
  • BM CAPITAL
  • TORTOISE PARTNERS

Japan Act

Japan Act

Japan Actは、バリュー株を投資対象とするアクティビストファンドです。

バリュー株とは企業価値と比較して株価が割安で放置されている銘柄です。今後の成長率が高そうな株とも言えます。

 

アクティビスト投資では、積極的に投資先企業の経営に関わるため、企業を成長させ株価を上げるための施策を実施できます。

Japan Actをおすすめする理由は、次の2点です。

  • 本来の企業価値に対して割安になっているバリュー株に投資し、投資企業の経営について提言するアクティビスト投資を行っている
  • 2019年の利回りが30%弱と好成績をあげている

これらの強みによって投資先の企業は成長し、その株価を上げ続けていきます。このため、Japan Actでは安定的に高いリターンを投資家に還元できています。

BM CAPITAL

BM CAPITAL

BM CAPITALは、投資元本の安全性を最優先している点が魅力のヘッジファンドです。マイナスを出さないというところに徹底的にこだわっています。

しかし、決して保守的というわけではなく、安全性を徹底しながらも年利30パーセント以上を出した年もあります。

 

投資対象はJapan Actと同じくバリュー株です。企業の本質的価値と市場価値の差に目をつけています。

BM CAPITALの魅力は、次のような点にあります。

  • 本来の企業価値に対して割安になっているバリュー株に投資している
  • 平均利回りが10%以上

BM CAPITALはJapan Actと同じく、割安な株を買っていることから高いリターンが期待できます。BM CAPITALの方がよりリスクヘッジに重視している傾向があります。

TORTOISE PARTNERS(トータスパートナーズ)

TORTOISE PARTNERS(トータスパートナーズ)

TORTOISE PARTNERS(トータスパートナーズ)は、社会に必要とされているビジネスを行っている優良中小企業をピックアップして投資しています。

投資対象はPE(プライベートエクイティ)で、取引所に上場していない未公開株です。日本の大切な資産である優良中小企業を存続・発展させることで、日本社会に貢献しながらリターンを狙っています。

TORTOISE PARTNERS(トータスパートナーズ)をおすすめするのは、次のような点があるからです。

  • ESG投資を行っている
  • 目標利回りは3~8%程度

ESG投資とは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字を合わせたもので、このESG評価が高い企業への投資です。

 

ESGの例としては、環境は二酸化炭素排出の抑制、社会は女性の活躍推進、企業統治はコンプライアンス強化などが挙げられます。ESG評価は会社を存続させていくためにも重要な項目であるため、ESG評価が高い企業は長期で安定していくと考えられます。

非上場の企業に投資していることから、市場の動向に運用成績が左右されにくいこととESG投資による安定性、優良企業への貢献ができるという点でおすすめです。

まとめ

まとまったお金を運用するときの注意点やポイント、リスク別の運用方法などを解説しました。シミュレーションも踏まえ、ご自身の資産形成をイメージできたのではないでしょうか?

投資を始めるときは、自分に合った運用方法を選ぶことが重要です。自分が許容できるリスクの範囲で投資を始め、人生をより豊かにしていきましょう。

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